2005年06月11日

特許制度は良い方向に向かっているのか

松下vsジャストの時にもさんざん書いたように、現行の特許制度がITの時代に合わなくなっているのは確かです。
特にソフトウェア特許関連はいろいろと問題が多いところです。
とは言え、ソフトウェア特許なんてやめちゃえというのは暴論に近いと個人的には思っていて、如何にして特許制度の枠組みの中で制度や運用を時代に適合できるように変えていくかを考えるべきだと思ってます。

で、当然ながら、やや遅きに逸したとは言え、特許制度の改正の動きがいろいろと進んでます。

米国のケースですと、
1.異議申立制度の採用
2.先発明主義から先願主義への移行
あたりが進行中のようです(参照記事)。

1.については、どう考えても特許に値しない発明が特許化されてしまった時は、権利行使の前に、裁判するまでもなく無効にする手段を設けようということで、当たり前のことですね。
2.については、世界中で先願主義(一番最初に出願した人を優先)を採用してないのは米国だけだったのでまあ当然の動きです。
先発明主義は一見公平に見えても、権利が確定した後で、「いやー実は同じ発明をオレが先にしてたんだよー」と言う人が後から出てきたりして、実務上は非常に問題が多かったのです。

また、日本では知的財産侵害の刑事罰の罰則の強化(5年以下の懲役→10年以下の懲役)が検討されています(参照記事)。
5年が10年になっても抑止力としてはそんなに変わらないかもしれませんが、まあ、窃盗罪と同等にしておくというのは意味があることだと思います。

また、ソフトウェア特許の乱用を抑えるための指針をMETIが策定予定です(参照記事)。
「一部の企業がソフト開発に不可欠な基盤技術の特許を独占し、他の企業の技術開発を不当に妨げることを防ぐ」ことを目的としているようで、ぜひこれは実現してもらいたいものです。
産業の発達を阻害しないことが担保されれば、ソフトウェア特許自体は決して悪ではないと思います。

投稿者 kurikiyo : 19:58 | コメント (2)

2005年06月06日

「セシルマクビー事件」:やはり商標法は大企業重視

最近、商標の話ばっかり書いてますが、商標に関する事件は内容的に生々しいのが多くてネタとして書きやすいんですよね。^_^;

さて、みなさん「セシル・マクビー」というと何を想い浮かべるるでしょうか?
普通は若い女性向けのファッション・ブランドでしょうね。
ところが、ちょっとでもジャズに詳しい人は黒人のベテランジャズベース奏者を思い浮かべるでしょう。
1950年代から活躍し、エルビンジョーンズなど大御所ともやってますし、山下洋輔氏のピアノトリオで来日ツアーもしてる人です。
超有名とまでは言いませんが、有名なジャズミュージシャンと言ってよいでしょう。
私も個人的に大好きなベーシストの一人です。

なので、初めてファッションブランドの「セシルマクビー」の看板を見た時は、「同姓同名のデザイナーでもいるのだろうか?そんなにありふれた名前でもないのに?」と思っていたのですが、このブランドを使ってる会社は純然たる日本の会社で「セシルマクビー」という名前を適当に選んで付けたようです(判決文ではこの辺の事情がぼかされているのですが、たぶん、代理店の人がたまたま見かけたレコードかポスターなどから何となく「おしゃれな響きの名前だなー」ということで選んだのではないかと想像します。)

で、ジャズ・ミュージシャンの方のセシル・マクビー氏は、このファッション会社の商標権の無効審判を請求しました。
請求理由は、ホリエモンの話のときにも出てきた商標法4条1項8号です。
今回は条文の読み方がポイントとなるのでちょっとややこしいですが略さずに書きますと「他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く)」は商標登録しないということです。
今回の話に関係あるところだけ整理すると、
1.他人の氏名
2.他人の著名な略称
は商標登録しないということです。
たとえば、「キムタク」は明らかに2なので、 木村拓哉氏の承諾がなければ商標登録されません(当たり前)。

で、セシル・マクビーの件ですが、裁判所の見解は、
a.セシル・マクビーは本名ではない。同氏の本名はミドルネームを入れたセシル・リロイ・マクビーである。
b.ゆえに、「セシル・マクビー」は「セシル・リロイ・マクビー」氏の略称である。
c.「セシル・マクビー」という略称はジャズの世界では有名かもしれないが、それを超えて著名とは言えない。
なので、上記の1にも2にもあたらないということで、セシル・マクビー氏の訴えはすべて却下されました。

うーんどうなんでしょうね。
「ジョージ・ブッシュはアメリカ大統領の本名はではなくその略称である。」
というのは結構違和感がある判断ではと思うのですが(何か前例がある判断なのでしょうか?)。

まあ、何回も繰り返しているように、商標法は業界秩序維持が最優先なので、こういう個人の訴えを認めていたら切りがなくなるという判断が最初にあったのは否めないでしょうね。

ところで、ベーシストのセシル・マクビー氏なんですが、プレーはかなり黒っぽいですし、ルックスも濃い(写真参照)ですし、おしゃれなファッション・ブランドとはぜんぜんイメージが違うので、自分は(ジャズ好きな人はみんなそうだと思いますが)このブランドの宣伝見るたびに違和感を感じてしまうんですね。
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投稿者 kurikiyo : 14:00 | コメント (8)

2005年06月04日

もうひとつの「がんばれ!ニッポン」事件

以前にドクター中松と日本オリンピックによる「がんばれ!日本」商標についての争いについて書きました(前編後編)。
この事件は新聞で報道もされたのでよく知られていると思いますが、調べてみるとこのJOCはこの商標についてもうひとつ無効審判を請求していたことがわかりました。
商標法の運用の実態が良く現れていると思いますので、ちょっとここで紹介しておきます。

JOCが「がんばれ!ニッポン」を商標登録出願するずっと以前の1998年6月18日、茨城県の某酒造会社が「日本酒」を指定商品として「がんばれニッポン」を出願しており、登録されていました。
で、JOCはこの登録を消滅させるべく無効審判を請求しました。
ドクター中松の時には、「商標を登録しただけでちゃんと使用してないので取り消しだよ」という不使用取消審判を請求したわけですが(これに対しては、「会報誌のタイトルとして使っているだけでは商品についての使用に当たらない」というちょっと微妙な判決がなされました)、今回はこの酒造会社はちゃんと「がんばれニッポン」ブランドの日本酒を製造販売してますのでこの手は使えません。

JOCの主張は、かいつまんで言うと「われわれは、1979年から大金をつぎ込んで「がんばれ!ニッポン!オリンピック・キャンペーン」をやってきたので、『がんばれ!ニッポン』は周知になっいており、これに類似した商標を使うと消費者がJOCの公認グッズと勘違いするおそれがあるので、この酒造会社の商標登録は無効だよ。」というものです。
これに対して酒造会社側は「『がんばれ!日本』という商品名だからといってJOC公認だと勘違いする消費者なんていないよ。」と主張しましたが認められず、この商標は無効にされてしまったわけです。
しかも理由は公序良俗違反(商標法4条1項7号)。
JOC以外の者が「がんばれ!ニッポン」を商標として使うということは、公の秩序と善良の風俗を害するという判断です。

個人的には「オリンピック」の表記を使えばさすがにまずいかもしれませんが、「がんばれ!日本」をJOC以外の人が商標として使ってはダメというのはちょっと厳しすぎという気がします。
しかし、やはりJOCは一応公益性が高いし、キャンペーンに大金を使ってきたので、その利益は一酒造会社の利益よりも優先させるべきという、まず業界秩序維持ありきの判断がされるのは、商標と言うものの特性を考えればしょうがないことであります。

仮にこの争いが、酒造会社対JOCではなく、日本サッカー協会対JOCだったらどうなっていたのでしょうかね。

投稿者 kurikiyo : 10:45 | コメント (4)

2005年06月03日

商標ゴロは商売になるのか?

今朝の朝日新聞見てたら「ホリエモン」や(レッサパンダの)「風太」のような旬の言葉の商標登録出願の話題が出てました。
趣味で旬の言葉をどんどん商標登録出願してお小遣い稼ぎをしようとしている人の話も出てました。
商標法上「自己の業務に関する商品に使用する商標は~商標登録を受けることができる。」(3条1項、一部書換)と記載されているように、自分で商売に使う意思がないのに商標登録出願するのは本来的にはNGです。
ただ、実際には使用するかどうかは原則的にはチェックされないですし、商標権を財産権として取引の対象とすることで権利の活用が促進されるという効果もあるので、まあ、自分で使用する意思がないのに出願してしまうケースは通常になっているわけです。

では、こういう先取り的に商標登録出願して転売して儲けるという商売が成立するかと言うと結構難しいと言えます。
たとえば、昨日のエントリーに書いたように、「ホリエモン」などのような「他人の著名な略称」はその他人の許可がなければ登録されませんので、「ホリエモン」の商標権獲得はライブドア(または、堀江社長本人)以外はまず無理です。
また、「日本または外国で著名になっている他人の商標を不正目的で」出願した時も、4条1項19号違反でNG。
外国で流行ったブランドをいち早く日本で登録して買い取ってもらおうとしても無駄と言うことです。
さらに、4条1項7号に「公序良俗を害する商標」は登録しないと言う非常に広範な規定がありますので、特許庁の審査官が「これ登録したらちょっとまずいだろう」と判断した商標はこの規定で拒絶することができてしまいます(この事例について明日書く予定です)。
仮に上記の点で審査段階で見落としがあって登録されてしまったとしても、登録後に第三者が異議申立や無効審判を請求することで商標権を消滅させることができます。

ということで、現行の商標法は、商標ゴロで濡れ手に粟というのは実質的には非常に困難な制度になっているわけです。
お小遣い稼ぎくらいなら何とかなるかもしれませんが(決して奨励するわけではないですけど)。

投稿者 kurikiyo : 09:45 | コメント (9)

2005年06月02日

「ホリエモン」、「フルブラウザ」等々商標関係がばたばたしてますが

最近、商標関係のニュースが一般メディアにもいろいろ出てますね。

まず、「ホリエモン」ですが、ライブドアより先に福産起業という会社が、「被服、履物、おもちゃ、人形、遊戯用器具、菓子、パン」を指定商品にして今年の2月28日に出願、あわててライブドアが3月22日に出願(指定商品は多いので省略)、さらにエムエムスカイというところが3月24日に、イオンド大学日本校というところが3月29日に出願してます。
これは、おそらく、ライブドア以外の出願はすべて商標法4条1項第8号の規定「他人の~著名な~芸名~を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く)」に引っかかって登録されることはないでしょう。

NTTドコモの「フルブラウザ」の方はちょっと微妙ですが、個人的には3条1項1号「その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する商標のみからなる商標」にひっかかると思います(なお、ロゴに特徴があったりすれば「普通に用いられる方法」ではないので登録される可能性もありますが、今確認したらドコモの出願は普通の書体でした)。
ただ、審査官が「フルブラウザ」を携帯電話器の機能の普通名称であると認識しているかどうかはわかりません。
万一、登録されてしまったとしても、同業他社が、出願時点では既に「フルブラウザ」は業界において普通名詞として使用されていたと、雑誌記事やパンフレット等の証拠を示して異議申し立てすれば、取り消しになるのではと思います。

#しかし、i-Modeにこだわってフルブラウザの展開が他社に遅れたドコモが先に商標出願をしてしまうというのもちょっと皮肉な状況ですね。

投稿者 kurikiyo : 10:17 | コメント (5)

2005年05月26日

「阪神優勝」商標事件のその後

ちょっと前の「がんばれ!日本」商標に関するエントリーのコメントで、
><この件を聞いて思い出したのが「阪神優勝」の商標に関するトラブルです。今回の「がんばれ日本」も同じに感じますが、この手の言葉を商標として認めることが感覚的に違和感があります。
>商標になりえる言葉の定義のようなものは特許庁は示しているのでしょうか。

というご質問を受けていたのですが、もちろん基準は公開されてます。
特許庁のWebサイト上で「商標審査基準」というドキュメントが公開されてます。

「阪神優勝」について言えば、明らかに「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」の規定にひっかかり、阪神タイガース以外の人に商標権を与えるべきではないので、これは特許庁のミスと言う他はないと思います。
もちろん、阪神タイガースによる無効審判請求により、この商標登録は無効になってますので、問題は解決済みです。
その後も、「中日優勝」だとかの商標登録出願がいろいろな人からされてますが、当然ながらことごとく拒絶されています(ダメモトで出願してるのでしょうかね、手数料の無駄としか言いようがないです)。

ところで、阪神タイガースはその語「阪神優勝」の商標権を得ようと思えば得られることになったのですが、結局、再出願はしてないようです。
これは、この商標を自由に使ってくださいよというう球団の粋な計らいなのか、当面優勝の可能性はないので今出願しても無駄と考えているからなのかはわかりません。

「がんばれ!日本」はどうなのか?それから最近話題になった角川の「NPO」とか「ボランティア」とかはどうなのかについてはまた明日書きます。

投稿者 kurikiyo : 11:47 | コメント (2)

2005年05月09日

「がんばれ日本」商標事件:ドクター中松対日本オリンピック委員会(後編)

#いろいろ調べすぎてまとめるのに手間取りました^_^;

#前回書きそびれましたが、「フオルッアジャパン\がんばれ日本」とは「フオルッアジャパン」と「がんばれ日本」を二段書きした商標で、フオルッアはイタリア後の"forza"です。
#普通にカナ書きすると「フォルツァ」でしょうね^_^;

このドクター中松の商標は日本オリンピック委員会(JOC)より先に出願されて登録されていますし、「がんばれ日本」と「ガンバレ!日本」は明らかに類似してますので、先願主義の原則により通常であれば指定商品「印刷物」についてJOCが「ガンバレ!日本」の商標登録を受けることはできません。
JOCはこれはまずいということで、ドクター中松の商標権について、特許庁に対して不使用取消審判というものを請求しました。
前回も書いたように、商標というのはそれだけで価値を持つというよりは、商品と一緒に商売に使って初めて価値を持つものなので、商標権を取得しても一定期間使用していないものについては取り消しを請求することができる仕組みになっているわけです。
#こういう使用義務があるというのが商標権が特許権と大きく違う点のひとつです。
#また、先願者の権利を無効にすれば、自分で権利を取得できるのも商標権の特徴です。
#特許権の場合には一度公開されてしまったならば、先願者の権利を無効にしたところで、自分で権利取得することはできません。

で、ここで焦点になったのが、ドクター中松氏が「~がんばれ日本」というタイトルの冊子を配っていたという点です。
ドクター側はこれをもって、ちゃんと商標を使用しているぞと主張したわけです。
この事件、特許庁と裁判所の間を2回往復してて結構ややこしいのですが、結局、裁判所の判断は、この冊子は、「ドクター中松の個人的なことしか書いてないし、囲む会の会員にのみ配られていたので商品とは言えないよ」ということで、ドクター中松の商標権の取消が確定したということです。

日本弁理士会のWebサイトで商標委員会副委員長の古関宏先生がこの事件に関して意見を述べられています。
「私の知る限り、定価を表示した会報の題号として使用された表示が、商品としての「印刷物」についての使用にあたらないと判断された、初めての判決です。」ということで、古閑先生も「ちょっと意外な判断」という印象をもたれたのではと推測します。

私も、この件についてはドクター中松ちょっとかわいそうかなという気がします。

ただ、商標法の場合、特許法よりも業界の秩序維持を優先するという性格が強く、個人の権利はやや犠牲にされる傾向がありますから、JOCが印刷物について「がんばれ日本」の商標を使えないのは社会的にさすがにまずいだろうという裁判所の判断が先にあったと考えればししかたのないことではあります。

そういえば、以前に紹介した今野浩先生の「ソフトウェア特許」本のコラムに「裁判所とは正否を決めるのではなく当否を決める場所だ」という話が出ていました。
要するに、法を理論的に当てはめて絶対的に正しいか間違っているかを決めるのではなく、常識的に見て妥当で思われるという結論に持っていくために法を現実的に解釈していくのが裁判だということです。

また、「理詰めで行くように見えて最後の最後で現実を見た妥協案に落とし込むという点で法学と工学は似ている、工学と数学の間の距離より、工学と法学の間の距離の方が近いのでは。」という記述もあってなるほどと思いました。

投稿者 kurikiyo : 13:24 | コメント (2)

2005年04月26日

「がんばれ日本」商標事件:ドクター中松対日本オリンピック委員会(前編)

ちょっと古いネタですが、「がんばれ日本」という商標の商標権についてドクター中松と日本オリンピック委員会(JOA)が争っていた事件で、ドクター中松側の敗訴が確定したという件(参照記事)です。

商標権の概念について理解するのに良いネタだと思うので、この事件を2回に分けて分析していきましょう(既に知識のある人にとっては分析というほど大層なものではないでしょうが)。

商標権は要するにブランドを保護するための権利で、特許権と同じく知的財産権に属する権利です。
一番最初に登録された人に対して独占的権利(他人に勝手に使わせない権利、使うならライセンス料を取るよう契約を結べる権利)を付与するという意味では特許に似ているのですが、いくつかの大きな相違点があります。

一番大きな違いは商標権が指定商品についてブランドを商売で使う権利であるということです(正確には商品だけではなく役務(サービス)もあるのですが、単純化のため、以下サービスと商品をあわせて商品と書きます)。
指定商品というのは商標登録出願をする時に、このブランドはこういう商品で商売をする時に使うブランドですよというのを願書に書くわけですが、その商品群のことを言います。
商標権は、常に、ブランドと指定商品のペアで見る必要があるということです。

たとえば、「1・2・3ダァーッ」が商標登録されている(商標権者は(株)猪木事務所)のはトリビアの泉でもやったのでご存知の方も多いと思いますが、だからと言って、「1・2・3ダァーッ」と言うたびに猪木の許可が必要というわけではありません(当たり前)。
「1・2・3ダァーッ」というブランドでかつこの商標登録の指定商品(ものすごい数があるのですが、たとえば日本酒)の商品を売ったり、宣伝したりするためには猪木事務所の許可が必要となるということです。
また、たとえば「1・2・3デヤー」というブランドのビールを販売すると猪木事務所から差し止め請求を受ける可能性があります。
商標権は類似の商標を類似の指定商品に使うのにも及ぶからです(そうでないと、微妙に違ったブランドを使えば、いくらでも抜け道できてしまうので当たり前)。

ドクター中松(中松義郎)氏は、1994年に「フオルッアジヤパン\がんばれ日本」という商標を指定商品=印刷物で商標出願しており、1997年に商標登録されました。
一方、(財)日本オリンピック委員会は1998年に「がんばれ!ニッポン」という商標を多数の指定商品で1998年に商標登録出願しており、2001年に登録されました。

ここまでが前振りです(長い)。後半に続きます。

投稿者 kurikiyo : 10:50 | コメント (1)

2005年03月02日

特許の新規性に関する誤解

発明が特許査定されることの重要な要件として新規性というものがあります。
既に世の中で知られていたり、実施されてる発明に特許権を付与してはならないのは当たり前ですね。

ここでよく勘違いされがちなのが発明者自身が出願前に実施したり公開してしまった場合にも新規性のルールは適用され特許は無効・拒絶になると言うことです。
なので、特許を出願したいと考えている方は、決して出願前にアイデアを公の場で実行したり人に話したりしてはいけません(弁理士には守秘義務があるので、弁理士さんと相談するのはOKです。また、自分で試験のために実施した場合等は新規性喪失について一定の救済措置があります。)

何でこんな話を急に言い出したかというと、、、
いつも行ってるカレー屋に「えびめし」(えび入りカレーチャーハンみたいな料理)というメニューがあるのですが、店内のビラに「製法特許取得済」と書いてあるのですね。
特許を取得してないものに対して特許の表示をすると虚偽表示の罪により最悪懲役刑を課されてしまう(特許法198条)ので、おせっかいながら本当に特許取得済かどうか調べてみました。
そうすると本当に特許登録されているようです。
たぶん、特許番号2894982号の「調味用ソースおよびこれを用いたピラフ」という特許発明です(請求項に「海老」という文字列がある特許はすごく少ないのですぐ調べられました)。

それはそれで良いのですが、店内の別のビラには「昭和30年創業変わらない味」と書いてあります。
もしこれも本当だとすると「えびめし」の製法特許はとっくの昔に新規性喪失してることになります。
最近レシピを変えてそのタイミングで特許出願したのかもしれないですが。
#いずれにせよ「えびめし」特許の無効審判を請求しても自分には何の得にもなりませんから、ほっておきますが。

さらにさらに思い出した話が、以前のエントリーにも書いたJALの搭乗券予約に関するビジネスモデル特許について調べた時に見た記事「日航が全日空を特許侵害で訴えた本当の理由は・・・」

JALの特許出願前にJASは似たような搭乗券予約システムを実施していたそうです。
さらに、(JALとJASの合併により)「JASの予約システムが廃止になったために、特許侵害訴訟で争ったとき、先使用の例がなくなったので、ANAの抗弁ができにくくなり安心して侵害訴訟をできる環境になったのではないか」と知財専門の助教授の推測が書かれており、この記事の著者であるジャーナリストの人も「これは卓越した推測である」と分析しています。

あれれ、もしJASが実施していた予約システムとJALが出願した予約システムが同等なものであれば、JALとJASが企業としてひとつになろうが、JASが予約システムを廃止しようが、一度公然実施してしまったのですから、JALの特許が無効になるのは同じのはずですよ。
専門家の人でもこんな勘違いをしてしまうんだなと思いました。
#もし、JASの実施を理由として無効審判が請求された時に、今やJASはJALと一体なので自社に不利な証拠を出さなくなる(のでJALが有利になる)ということであればまだわかりますが、ちょっと元記事の文章からはそうは読み取れないですね。

投稿者 kurikiyo : 09:51 | コメント (9)

2005年03月01日

【雑談】中小企業保護のためにもソフトウェア特許は必要では

右のお気に入りリンクにもあるパテントサロンからリンクされている毎日新聞の記事「現場から2005 大企業との特許紛争」

大企業にノウハウを盗用されてしまいがちな中小企業の現状を書いた記事で、知財戦略の重要性を訴えています。
この記事の内容は製造業に関するものですが、同じことはソフトウェア特許にも当てはまると思います。
前のエントリーとの繰り返しになりますが、やはり中小企業が大企業と対等に戦えるための武器としてもソフトウェア特許は必要だというのが私のポジションです(もちろん、トンデモ発明が特許化されることがない運用上の十分な注意がなされることが前提です)。

投稿者 kurikiyo : 23:46 | コメント (2)

2005年02月27日

マイクロソフトのトンデモ特許?

右の「お気に入りリンク」の中にThe Registerというサイトがありますが、これは、英国のITニュースサイトです。
米国系の大手Webメディアはほとんど日本のWebメディアと提携しているので、あまり時間差なしに翻訳記事を見ることができますが、The Registerはどうもそうではないようです(The Registerから米国系のメディアに記事がシンジケート提供されて、それが日本のメディアで翻訳されているケースはあるようですが)。なので、たまに除いてみるとまだ翻訳されてないおやっというような記事を見つけることがあります。

ちょっと気に止まった記事はマイクロソフトの特許出願に関するもの(Slashdot本家では既に話題になってますね)。

Visual Basic言語において変数が指すアドレスの先が等しくないかどうかを判定するオペレータであるIsNotをマイクロソフトが特許出願したという記事です(出願しただけでまだ特許にはなってません。)
うーむ。これはどう考えても新規性(少なくとも進歩性)はないような気が。単にポインタと等号の組み合わせで実現できてしまうし。
百歩譲って仮に新規性があったとしてもプログラミング言語の仕様そのものは特許すべきではないという気がします。

この特許の出願者の一人であるマイクロソフトのPaul Vick氏のblogでも、読者からかなりの突っ込みがされてます。
Vick氏の考え方は私の考え方に似ていて(というかIT関連会社に勤める人はたいていそうだと思いますが)「ソフトウェアを特許の対象とするのはちょっとまずい(少なくともグレーゾーン)と思う、しかし、現実に世の中がそいういう仕組みで動いている以上、防衛のためにもゲームには参加せざるを得ない」ということです。
#ところで、MSでもblogやってる人多いですね。
#おもしろそうなものは右のお気に入りblogに載せるようにします。

この特許も他社へのけん制(仮に特許を取れなくてもけん制にはなりえる)か、または、なんかの間違いで特許されれば儲け物というレベルの出願なのではと思います。

前にも書きましたけど、マイクロソフトが特許戦略を強化しているのは確かで、これから同社によるソフトウェア特許出願も増えていくでしょう。
しかし、どう考えても産業の発展に寄与しない特許出願が増えると、ソフトウェア特許自体に反対する世論作りを推進することになってマイクロソフトにとっては逆効果なのではという気もします。

投稿者 kurikiyo : 23:33 | コメント (2)

2005年02月22日

ソフトウェア特許:日欧米の対応の違い

欧州議会がソフトウェア特許に関して慎重であるという記事

ソフトウェア特許については米国が最も積極的で何らかの有効性・新規性・進歩性があれば、ソフトウェアそのものへの特許を認める政策です。さらに、ソフトウェアから完全に独立したビジネスモデルのみでも特許してしまうこともあります。(このような政策に対して、Linus TorvaldsやRichard Stallmanなどのオープンソースソフトウェア系の指導者たちが反対姿勢をとっているのはすでにご存知かと思います。)

対して、欧州は、エンジンの制御プログラムだとかのテクニカルなソフトウェアに対してのみ特許を認める方針です。

日本はというと、米国と欧州のちょうど中間くらいで、(非テクニカルな)ソフトウェア特許は基本的にOK、ビジネスモデルについては情報システムで実現されているということで間接的に特許されるという運用になっています(情報システムに関係ない純粋なビジネスモデルでは駄目ということです)。

特許政策が難しいのは常に国際的なバランスを考えなければならないということであって、たとえば、日本だけが極端に強い保護をすると、すでに特許を有している国内企業を優遇しすぎて海外企業の進出を妨げることになってしまいます。
では逆に保護を極端に弱めると、今度は特許を使って日本に進出する企業にとっては日本に来ても真似されるだけということになって同様に日本への進出を躊躇するようになってしまいます。
どっちに転んでも自由経済が阻害されてしまうわけですね。

私としては、日本は一応米国を横目で見ながらあまり極端な方向に走らないようにするのが妥当な線ではと思っています。

投稿者 kurikiyo : 23:43 | コメント (2)

2005年02月20日

エンジニアと法律専門家の間のギャップ

また、ジャスト-松下の話になってしまいますが、前にも述べたように侵害訴訟において問題となっているポイントのひとつに「アイコン」という言葉の定義がありました。
キー入力で起動するバルーンヘルプ機能は松下特許の出願前に存在したことがMacのマニュアル等の証拠により証明されていましたから、松下の特許は進歩性がないとジャスト側が主張したのに対し、裁判官はキー入力とアイコンクリックは違う(ゆえに、松下の特許の進歩性は否定されない)と認定したわけです。
まともなエンジニアであれば、ユーザーインターフェースの設計でキー入力とアイコンクリックは相互置換できるものとして作るのが当たり前で、これは、1988年当時のMacの世界でも当たり前だったと思うでしょう。
しかし、残念ながらこの理屈は裁判官を納得させるに至らなかったわけです。

ここで、思い出したのが、ちょっと前に受けたビジネス・モデル特許のセミナーで講師の先生が言ったお話。
ビジネス・モデル特許の明細書を作る場合の注意点として「サーバ」という用語は安易に使わない方がよいらしいです。
たとえば、請求項に「課金サーバと顧客情報サーバから成る...」とうかつに書くと、課金サーバと顧客情報サーバを同じマシンで稼動している実施形態を差し止めできない可能性があるということらしいです。
こういうときは、「課金情報アクセス手段と顧客情報アクセス手段から成る...」と書いた方が安全らしいです。
技術者的に言うと、「1台にまとめようがサーバ機能としては同じなのだから...」と思うのですが(サーバという言葉はサーバの筐体を指すこともありますが、サーバ機能を指すこともありますから)、そういう技術者にとっての常識は裁判官に通じないことがあるということでしょう。

現状としてこうなってるのはしょうがないとしても、将来的にこのギャップを何とか埋めていかないと、技術常識とかけ離れた特許訴訟の判決がこれからも出てくるのは確かでしょう。

追加情報(05-02-22)
請求項を工夫するのではなく、発明の説明の中で、「ここで、サーバとはソフトウェアの機能を指し、ハードウェア筐体とは独立した概念である」という風に定義を明確化するという技もあるようです。

投稿者 kurikiyo : 22:47 | コメント (3)

2005年02月16日

松下に関する噂と特許権の強力さ

#SunのOpenSolarisに関するエントリーの続きを書く予定でしたが、まだ考えがまとまらないので、今回はまたジャスト-松下に関するお話です。

たまに覗いている知財関係の掲示板でおもしろい話を見ました。なぜ、この訴訟がが和解ではなく、判決まで行ってしまったのかという点について
>松下は1.過去負けた裁判と同じ裁判長だったので、今回もてっきり負けだと思っていた、2.今回の勝利(及びその反響の大きさ)に驚いて、高裁では当然和解の方向で行く、

噂の真偽についてはわかりませんが、確かに松下も勝訴してもイメージ低下というそれなりのダメージを負うことは十分予測できたと思えますのでうなづけるお話ではあります。
そもそも、特許権は非常に強力な権利であり、抑止力として使って自分に有利な和解に持ち込むことこそあれ、実際に行使されることはそれほど多くないです。

ちょっと前に、マイクロソフトの対オープンソース競合分析担当者であるBill Hilf(ビル・ヒフ)氏と話す機会がありましたが、その時にMicrosoftの知財戦略について聞いてみたところ、「Microsoftが知財戦略を強化しているのは確かだが、それはライセンス収益を得る機会を増やしたり、有利なクロスライセンスを結ぶ(Sunとの和解がまさにそのケース)ことであって、他社を訴訟しまくるということではない。訴訟をしても結局両方とも損する結果になるから。」という真っ当な答えが返ってきました。
「対オープンソースの時にはどうするんですか、クロスライセンスのしようがないでしょう?」と質問したら、明確な答は返ってきませんでしたが。

ついでに、ここで、特許権の強力さについて考えてみたいと思います。
一部の掲示板等で「一太郎・花子の製造販売中止と廃棄というのはひどすぎないか、なぜ、損害賠償にしないのか?」という疑問を呈している人が少なからずいました。
実は特許法では権利者に対して民法上の損害賠償請求権とは別に差止請求権という特許法独自の権利が認められています。
差止請求権の強力なところは、特許の侵害行為が認定されれば、自動的に差止請求が認められ、裁判所は製品の製造中止や破棄等を命じることができるという点です。
「確かに特許は侵害しているけど、差止はあんまりなので、損害賠償金の支払いのみにする」という判決が出ることは基本的にはないのです。
また、「そんな特許があるとは知らなかった」、「この製品はものまねではなく自社で独自開発したものだ」、「特許権者には損害が生じていないから訴える意味がない」という主張はすべて基本的に通りません。特許権は絶対的な権利なのです。

また、特許法では、差止請求に加えて損害賠償請求を行う場合にも、特許権者側が有利な規定があります。
一般的に損害賠償する時には、原告側が被告に故意か過失があったことを証明しなければいけません、また、被告の行為によって原告に損害が生じたこととその金額を証明しなければいけません。
しかし、特許法では、被告の過失の推定規定というものがあって、原告側が「相手に過失があることを証明する」のではなく、被告側が「自分には過失がなかった」ということを証明しなかればなりません(しかも、実際には、被告が過失がなかったことを証明するのはほとんど不可能に近いらしいです)。
また、損害額の推定規定というのもあって、被告が得ている利益をすべて損害賠償請求額とすることも可能です(そんなに損害は生じてないよと証明するのは被告の責任です)。

要するに、特許権というのは持っている側が圧倒的に有利な権利なわけです。
特許権による攻撃に対する最大の防御は特許権による防御、つまり、クロスライセンスです。

そういう意味でいうと特許権を持たない(持とうとしない)オープンソースコミュニティが特許権による攻撃に対して本質的に脆弱であるということがわかると思います。
マイクロソフトによる特許権に基づくLinuxへの攻撃、これが起きるか起きないかの予測をここで述べることは避けたいですが、もし起きたとしたならばそれはLinuxコミュニティにとって壊滅的な打撃になることだけは確かだと思います。

投稿者 kurikiyo : 23:45 | コメント (13)

2005年02月09日

ジャスト対松下:総括にはまだ早いけれど

なんかここんところ、ジャスト-松下の話ばっかり書いてますね。>自分

この件については、ちょっとネタも尽きてきたので、また調査・勉強して少し時間をおいた後に書こうと思います。

いずれにせよ、以前のエントリーにも書いたように、これ以降もオープンソースがらみ、マイクロソフトがらみでいろいろと知財関係のごたごたは続くと思います。

#そういえば、2005年の重要トレンド(5)として「知財がらみの係争多発」と書くつもりだったのですが、
#ちょうどそのタイミングでこの事件が勃発してしまったので、後付けで予測するように見えるのも何なので書くのをやめてしまったのでした。

今後起こる知財関係のごたごたの多くは産業全体の発展とは無縁なものとなるでしょう。
明らかに、機械や電気関係の発明を保護するために長年発展してきた特許の仕組みでソフトウェア(さらには、ビジネスモデル)を保護することに無理が出てきたということだと思います。

ちょっと前のエントリーにトラックバックをいただいた江島健太郎さんのblogでは、

>「ソフトウェア特許に肯定的な技術者に優秀なやつは一人もいない」
>「ソフトウェア特許は産業発展にとって百害あって一利なし」

とまで書かれています。

こういう考え方を取る方がいるのは理解できるのですが、やはりソフトウェアを使った新しいアイデアを創造したした人を何らかの形で保護する仕組みは必要だと思います。

そうでなければ、せっかく斬新なアイデアでベンチャー企業を立ち上げて、成功させてもすぐ大手企業に真似されてつぶされるという事態になってしまいます。
ソフトウェアが特許で保護されていることで、創造性さえあれば資金が少ない小企業がIBMやマイクロソフトと同じ土俵で勝負することができるシステムができているわけです。

私は、ソフトウェアを特許法で保護すること自体が問題というよりも、その運用が問題であると考えています。

今までのエントリーでも書いてますが、以下のようにするだけでも全然違うのではないかと思います。

1.進歩性の敷居を高くする
(特に、ユーザーインターフェースのように共通化することでより大きな価値が生まれるものは相当革新的なアイデアでなければ特許しない)

2.特許権を完全な独占排他権とするのではなく、必要に応じて特許を強制的に適切な料金でライセンスさせる仕組みを作る
(実は、これは現行特許法でも規定されている制度ですがほとんど活用されていないらしいです。)

3.ITの世界のスピードに合わせて保護期間を10年くらいにする
(これは、重要だと思いますが、現実的には条約の縛りがあるので難しいでしょうね)

4.特許権を悪用する企業に対して独占禁止法により特許権を剥奪する
(これも、規定はあるのですが活用されていないようです。)

いずれにせよ、ソフトウェア特許に対して反対する場合には、
 1.ソフトウェア特許という概念そのものがまずい
 2.ソフトウェア特許を現行の特許法で扱うことがまずい
 3.現行の特許法によるソフトウェア特許の運用がまずい
のいずれの立場なのかを明確にすることが必要でしょう。
(江島さんは1.、私は2.と3.の間くらいの立場でしょうか?)

#追加(05-02-10)
 4.現行のソフトウェア特許の運用は全体的にはまあOKだけど、この松下特許が無効にならないのはおかしい
という立場の方もいるかもしれませんね。

投稿者 kurikiyo : 22:19 | コメント (6)

Google ルイヴィトンにも商標権訴訟で敗れる

参考記事

以前に書いたメリディアンホテルとの係争と同じパターンです。

#そのエントリーで、広告における商標の使用の例として、ルイヴィトンを例に挙げましたが、別にこのケースを意識していたわけではなく全くの偶然です。

確定判決ではないですが、同様の判決が続くとgoogle的には厳しいでしょうね。


投稿者 kurikiyo : 00:10 | コメント (0)

2005年02月08日

ジャストシステム控訴

ジャストシステムが松下訴訟の件で高裁に控訴しました(参考記事)。当然の動きではあるわけですが、ちょっと気になった浮川ジャスト社長の話。

>スペースキーによる漢字変換が同社(ジャストシステム)の発明である

というところ、ためしに特許電子図書館で調べてみると、ジャストが所有する特許は44件、出願して公開されただけのものも含めると400件以上もあります。

そのどれが、浮川社長の言う「スペースキーによる漢字変換」にあたるのかは調べている時間がない(発明の名称を見ただけはすぐにはわからないので)のですが、ひとつ言えることはジャストシステムも松下電器と同じゲームをしているということでしょう。

「ボタンに絵が描いてあるかないか特許を侵害したり、しなかったりはおかしい」と言うのであれば、「変換キーで変換するか、スペースキーで変換するかで特許を侵害したり、しなかったりはおかしい」という言い分も成り立ちます。

金を右から左に動かしただけで、何百億円ももうかったりするのはおかしいと思っても、そういうマネーゲームで世の中は動いているわけで、これを無視しては企業を運営していくことはできない同じように、こういう特許ゲームも無視してはやっていけないということでしょう。

##以下追加
コメントにも書かれたように、「スペースキーによる漢字変換はジャストの発明」とは書いてますが、特許発明とは書いてないですね。
だいぶ前のエントリーで、「発明/出願/特許を区別しろ」と自分で書いていたのにうっかりしてました。<(_ _)>

とは言え、ジャストが所有する特許の中身を見ると、かな漢字変換の候補の並べ方等、ユーザーインターフェース上の工夫で特許を取得しているのは確かです。
なので、松下もジャストも同じゲームをしているという本エントリーの趣旨には大きく変わりはないと思っています。

投稿者 kurikiyo : 20:23 | コメント (2)

松下の不買運動をする前に

本当にジャストシステムを助けたいならやるべきなのは以下の2点。

1.先のエントリーにも書きましたが、
 松下特許と同じ挙動のソフトのマニュアル等の文書で1988年10月1日以前に発行された証拠があるものを探す。海外のものでもOKです。
意外と発行日付の証明が困難なことがあるようです(先に触れた、カシオ-ソーテック事件ではマニュアルの発行日付が争点になりました)。
いかにもMacのアプリケーションソフトにありそうな気がするのですが。

2.1988年当時でも、アイコンのクリックとキー入力を置き換えて使うのは当たり前であったということを示す文書を探す。
(1.よりは弱い証拠です。ある程度数が揃わないと「当たり前」だったということを証明するのは難しいかも)。
これも日付の証明が必要です。

投稿者 kurikiyo : 00:00 | コメント (1)

2005年02月07日

遅ればせながらジャスト-松下の判決を分析

出張から帰って来てちょっと時間もできたので、遅ればせながらジャスト-松下事件の判決文をチェックしてみました。

判決文はここにあります。

#法律関係の文章を読むのは慣れないと非常につらいですが、IT専門外の人が、IT系の文書を読むのもこんな感じなんでしょうね。

特許侵害訴訟の被告が取るべき措置というのは大きく2つあって、否認と抗弁と言うものです。
否認と言うのは「特許は侵害してませんよー」と主張することであり、抗弁と言うのは「侵害してるかもしれませんけど合法ですよー」というものです。

特に重要な抗弁のタイプが「そもそもそんな特許は無効なので、それに基づいて訴訟すること自体が間違ってるよー」という権利濫用の抗弁と言うものです。
(普通、特許性がない特許に対しては、無効審判と言うものを特許庁に請求して無効にしてもらうのですが、あえてそうしなくても裁判の中で無効を主張することも認められています。)

で、今回の判決の内容をものすごく簡単にまとめると...

1.ジャストの主張(否認)
 松下の特許の請求項に「アイコン」て書いてあるけど、「アイコン」とは画面上で動かせるものを言うので、問題になっている一太郎のヘルプボタンは「アイコン」じゃないから、松下特許の侵害ではないよ。
1.に対する松下の主張
画面上で動かせないものも「アイコン」と呼ぶよ(証拠文書もあるよ)。

2.ジャストの主張(否認)
 問題になっているヘルプの機能はWindowsの機能だから、悪いのはWindowsで一太郎じゃないよ。
2.に対する松下の主張
 Windowsのその機能を意識的に呼び出しているのは一太郎だから、やっぱり悪いのは一太郎だよ。

3.ジャストの主張(権利濫用の抗弁)
 ヘルプキーの後に押したキーの機能を表示する方法は松下の出願前からあったよ(証拠もあるよ)。
それから、当時のJSTARのマニュアルを見ると画面上の仮想キーボードで任意のキーをマウスで入力で
きるようになっていることがわかるから、キー入力とアイコンクリックは同等というのは当時の常識。
松下特許は常識的アイデアの組み合わせだから、そもそも特許に値しないよ。
3.に対する松下の主張
 JSTARの仮想キーボードはあくまでも物理的なキーボードをそのまんま画面上に表示したもので、「アイコン」とは違う概念だよ。
だから、うちの特許とは関係ないよ。

裁判所の判断
1.について
 証拠文献を調べても「画面上で動かせるものだけをアイコンと呼ぶ」とは誰も言ってないから、松下の勝ち。

2.について
 ジャストは何言ってるかわからないよ。松下の勝ち

3.について
 証拠物件だけでは、キー入力とアイコンのクリックに相互置換性があるとは言えないので、松下の特許は無効とは言えないよ。

やはり、3.がかなり微妙な判断の気がします。裁判長がMacに詳しければ、キー入力とアイコンクリックの置き換えは(1988年当時でも)誰でも思いつくアイデアだと認定してくれて、松下の特許は特許性なしと判断してくれたかもしれません。

これだけ見る限り、ちょっとジャスト側が不利な気がしますね(正しいか正しくないかではなく、理屈合戦で負けている感じ)。

画面上のヘルプアイコンをクリックすると、次に押したアイコンのヘルプ情報を表示すると言うそのものずばりの挙動のソフトのマニュアルで1988年10月31日以前に発行のものを探し出せれば、何の問題もなくジャストの勝ちなんですが。

投稿者 kurikiyo : 13:34 | コメント (0)

2005年02月04日

ジャストシステムさんしっかりして下さいよ

松下訴訟に関するジャストシステム側の記者会見の記事ですが、
正直、「ジャストシステムさん、もう少し勉強してくださいよ」と思いました。

以下、記事から引用したジャストの法務担当理事の発言と
それに対する私のコメントです。

>「今回の判決が通るのであれば、Windowsの機能自体が松下電器
>の特許に抵触していることになり、全世界で利用しているWindows
>に問題がおよぶことになる」

以前のエントリーにも書きましたけど、これは全然抗弁になってません。
松下の特許がきわめて強力(な可能性がある)と言っているだけです。

>「昨年後半に、別のソフトだが同じ機能を巡った裁判で、松下電器に
>勝訴しており、松下電器は控訴していない。その時とヘルプの表示
>で異なるのは、ヘルプを示す記号に、マウスのイラストを加えた点だけ。
>なぜそれだけで特許権侵害になるのか分からない」

確かに技術者の常識としてはおかしいかもしれませんが、そう裁判所が
認定したおかげで昨年の訴訟ではジャスト勝訴の確定判決が出たわけ
ですから、それを蒸し返すのはまずいと思います(先の訴訟では自分を
救ってくれた判断を、今度はそれはおかしいと主張しているわけなので)。

>「松下電器の特許は、ワープロ専用機に対して出願したもの。パソコン用
>ソフトに、専用機の特許が適用されるのは認められない」

これは技術者の発想であって法律的な発想ではないですね。松下特許の
請求項に構成要素としてワープロ専用機という要素が入ってなければ、
ワープロ専用機であるかパソコンソフトであるかは特許権の効力には
関係ありません。

ということで、(少なくとも記事から判断する限り)ジャスト側の主張は
特許係争においては全く的外れと言えます。
ジャストが主張すべきことは「松下の特許は出願時点(1988年)当時の
技術者であればすぐ思いついたことなので特許性がない」ということです。
要するに進歩性を否定するということですね。

#初代Macのデビューが1984年ですから、進歩性否定できそうな気は
#するんですけどね。このころはWebがなかったので、証拠探しは
#非常に大変でしょうけど。

正直言って、大変失礼ですが、ジャストシステムはソフトウェア特許に強い
弁護士さんと弁理士を雇うべきだと思いました。

何なら私がお手伝いしてもよいですが、というのは半分冗談として、
ちょっと前のカシオ-ソーテック事件で、
「コマンドで複数のウィンドウを整列させる」というカシオの特許を、
Mac用の大昔のワープロソフトのMacWorldで配布されたマニュアルを探してきて
つぶした弁護士・弁理士さんにお願いしてはどうでしょうかと思ったりします
(この事件について昔書いたコラムです)。

投稿者 kurikiyo : 04:56 | コメント (4)

2005年02月03日

一太郎問題の続き(松下は汚いのか?)

やはり、松下-ジャスト事件はかなりの波紋を引き起こしたようですね。

ネット世論を総合すると、
「こんなくだらないアイデアが特許になるのはおかしい」
「ボタンに絵を描くか描かないかで特許侵害したりしなかったりはおかしい」
「松下は競合でもない会社を訴えて汚い(→不買運動だ)」
という意見がほとんどだと思います。

私はと言うと、
先のエントリーで「コメントしにくい...」とほぼ無意識に書いてしまったように、
ちょっとコメントしづらい立場ですね。
IT業界アナリストの立場として見るか、弁理士としての立場で見るかによって
意見が異なってしまうからです。

IT業界アナリストとして言えば、確かに、こんなへ理屈合戦が産業の発展に寄与する
とは思えない、ユーザーインターフェースは相当革新的でない限り特許にすべきでない
と思うのはこの前も書いたとおりです。

一方、弁理士として(正確に言うと私は弁理士登録はしてないので弁理士試験
合格者として)言うと、松下としては、せっかくCUIからGUIというテクノロジーの
変革期にうまく強力な特許を取れたのですから、どんどん武器としてして使って
いくのは当たり前です。
普通は交渉してライセンス料取ることになりますが、最後の手段として侵害訴訟
にもっていくのも当然の特許戦略です。

一方のジャストについて言えば、去年の関連する判決において文字だけなら
アイコンじゃない、絵が入るとアイコン、という裁判所の判断が出されたのですから、
どんなにおかしいと思ってもそれを尊重すべきです。あえて絵を入れたというのは
特許と言うものを甘く見ていたとしか思いません。このあたりは機器メーカーであれ
ば、めちゃくちゃ気を使うところでしょう。

#また、記者会見で「こんな特許が認められたらWindows上のアプリは全部侵害に
#なってしまう」という発言をしたようですが、これは全然防御になってないですね。
#松下の特許が如何に強力であるかを認めているようなものです。

弁理士モードでの私の意見をまとめると、日本のソフトウェアベンダーも機器メーカー
並に、特許権による攻撃と防御と言うものをもっと考えるべきということです。

「松下は競合他社でもない相手を訴えて汚い」などと甘い考え方をしていては、
これから先、特許侵害訴訟をすることだけを生業にしているような特許ゴロ企業に
いいようにやられてしまうでしょう。

これが正しい姿かと言う議論は当然あります。
しかし、たとえば、サッカーでオフサイドを取られた選手が、
「そもそも、オフサイドと言うルールはおかしい」と文句を言っても始まりません。
オフサイドと言うルールがあることを前提に戦略を立ててプレーをするのが当然
です。

あるべき姿は何なのかという議論と、現状で何をすべきなのかと言う議論は
分けて考えた方がよいと思うわけです。

投稿者 kurikiyo : 15:14 | コメント (1)

2005年02月02日

ユーザーインターフェースを特許にしちゃっていいの?

先に書いた、松下特許の件ですが、やはり請求項で松下側が「アイコン」
という言葉を使っていたので、文字しか書いてないボタンでヘルプ機能を
表示するときは侵害しない(これが去年のケース)、ボタンに絵が描いてあると
アイコンとみなされ、侵害する(これが今年のケース)というロジックのようです。

#注:請求項=特許出願で権利の範囲を規定する部分

ですから、ジャスト側としては、画面のデザインを変更して、ヘルプボタン
から絵を除外し、「ヘルプ」とか「?」とかの文字だけにすれば、松下特許
の侵害を回避できることになります。(もちろん、これだけだと過去の侵害
行為に対して損害賠償を請求され得ますから、松下特許の有効性については
依然として裁判で争う必要はあります)。

しかし、ボタンに絵がなければOK、絵を描くとNGというのも何かひどい話です。
特許法の第1条には、「この法律は...産業の発達に寄与することを目的とする」
と書いてありますが、こんなへ理屈合戦が産業の発達に寄与するとは到底
思えません。

私個人のポジションとしては、ソフトウェアに関する知的財産権は何らかの形で
保護しなければいけないと思ってますし、であれば、特許法で保護するのが
一応の最善策ではないかと思っているのですが、現行のソフトウェア特許に
関する運用はどう見ても適切とは思えないのですね。

#仮に、松下側が請求項で「アイコン」という言葉を不用意に使わないで、
#「絵又は文字を記した画面上のボタン」とでも言っていれば、もっと大変な
#ことになっていたでしょう。

そもそも、今回の件のように、ユーザーインターフェースに特許を与えるべきかと
いう疑問がわきます。

ユーザーインタフェースを複数のプログラムで共通化することによって、ユーザーは
どのプログラムも同じように操作できるようになり生産性があがります。
ところが他者の特許を回避するために、各メーカーがちょっとづつ違うユーザー
インターフェースを実装したとすると、迷惑を受けるのはユーザーですね。
これが産業の発達に寄与するとは思えません。

ユーザーインターフェースに限らず、外界とのインターフェースにあたる部分の特許
については進歩性の敷居を高くした(よほど革新的でなければ特許しない)方が
良いのではと思います。
一方、プログラム内部の実装については、各メーカーが競うべきところですから、
どんどん特許化を推進すればよいのです。

このへんのお話しは、たぶんマッキントッシュのごみ箱アイコンに著作権があるか
等々、10年以上前から議論されてると思うのですが、今こそ、また真剣に議論
すべき問題であると思います。

#ところで、私は、松下のやり方を非難しているのではないですよ。彼らの行為は
#法律に基づいた営利追求行為ですから。私が問題にしてるのは、政府(日本
#さらには米国)の知財政策についてです。

投稿者 kurikiyo : 04:08 | コメント (0)

2005年02月01日

コメントしにくい一太郎特許問題

「ジャスト『一太郎』の販売中止を命じる 松下アイコン訴訟で判決」という
ちょっと衝撃のニュース

地裁判決ですし、仮処分も出てないですし、ジャストは確実に控訴する
でしょうから、今すぐに一太郎や花子が販売停止や回収になることはない
でしょうがこれらの製品のユーザーにとっては気が気ではないでしょう。

この訴訟の元になった松下電器の特許は簡単に言うと、
「ヘルプアイコンを押した直後に別のアイコンを押すと、(そのアイコンの
機能が実行されるのではなく)そのアイコンのヘルプ情報が表示される」
と言うもの。要するに、WordやPowerpointにある?アイコンの機能ですね。

#と思って、今、Word 2003の画面を確認すると?アイコンがない?!
#ひょっとしてこの特許に抵触するということで、削除されたのでしょうか?

この特許には、去年実はもう1つの訴訟があって、「ジャストホーム2
家計簿パック」というソフトに関するもの(被告はジャストではなく、この
ソフトをプリインストールしていたソーテック)。この時は?は、図形では
なく文字なのでアイコンではないというかなり強引な理屈で松下側が
敗訴しました。

その後、松下はジャスト側に(おそらくは、一太郎と花子についての)
ライセンス交渉をしていたが決裂したので、再度訴えて勝訴したという
ことのようです。おそらく「文字だからアイコンではない」という理屈が
通用しない画面設計だったんでしょうね(一太郎も花子もここ10年以上
触ったことがないので確信は持てませんが)。

法律論はさておき、かなり納得がいかない人が多いのではないでしょうか?

松下特許の有効性ですが、1989年の出願なので微妙なところですね。
Windows 3.1の出荷開始が1992年なので、1989年当時、自明であったと
までは言えないでしょう。

ジャストについて言えば、ちょっと脇が甘かったのではという気がします。
和解するなり、画面のデザインちょっと変えるなりで対応できたと思うのですが。
やはり、2004年度特許成立件数世界第2位の松下電器知財部とまっこうから
戦うのはちょっと無謀だったのではないでしょうか?

#今回の内容、限られた情報と時間で書きましたので、事実誤認があるかも
#しれません。後になって修正する可能性もあることをお断りしておきます。

投稿者 kurikiyo : 18:06 | コメント (0)

2005年01月29日

HPのパパラッチ防止の特許とは?

「HP、パパラッチ対策技術を特許申請」という記事を見たので、米国の特許公報にあたってみました。

カメラに撮られたくない人がある装置を持っているとその装置からデジカメにその人の顔のイメージ情報を送信し、デジカメ側では撮った画像とマッチングし、その人の顔をぼかすという「発明」です。

読んでみると「なーんだ」という感じです。願書にはこういう基本的なアイデアだけで、特に具体的な実装方式が書いてあるわけではありません。

以前、ソフトウェア特許のセミナーに行った時に、「ソフトウェアの世界ではやろうと思えば何でもできるんだから特許は思いついたもの勝ち」という話を聞きましたが、こういうことだったのかと思いました。

特許出願がちゃんと特許査定を受けるためには新規性とか進歩性の要件に加えて実現可能性というのがあります(実現できないアイデアを特許で保護しても意味がないのでこれは当たり前ですね)。
昔からある機械や装置に基づいた特許ではおおよその実現可能性の見当が付きます。
「紫外線の悪影響を防ぐために、地球全体を紫外線吸収フィルムで覆う方法」というのは、現実的に実現不可能なので特許査定されないというのは、特許法の教科書に載っている基本的な例です。
また、化学物質による特許であれば、ちゃんと製法が記載されており、現実に生産できることが特許の前提となります。

この特許は出願されただけで特許査定されたものではないですし、20年後には(注:特許権の存続期間は出願から20年後まで)実現できないとは言えないわけですがちょっと理不尽なものを感じてしまいました。

この特許では写真を撮られたくない人が自分の顔のイメージを内蔵した装置を携帯することになっていますが、この部分を改良した特許として、脳波を検知して写真を撮られないようにした改良特許でも試しに出願してみたらどうなるのかなーなどと思ったりしてます。

投稿者 kurikiyo : 11:55 | コメント (0)

2005年01月25日

TV録画サービスは著作権の侵害?

ちょっと前の話ですが、ビデオサーバを使ってマンション住民にTVの録画サービスを提供していた会社を
TV局が訴えたという事件です。

わが国の著作権法では私的複製という行為が認められてます。個人的、家庭内等の使用では他人の著作物を許可なく複製、録音、録画をしても良いという規定です(著作権法30条)。
著作権者しか複製・録音・録画ができませんというのが著作権法の基本ですが、これをあまりにも厳密にすると、TV番組をビデオに録画したり、自分のCDをiPodにリッピングすることもできないことになってあんまりなので、例外的に認められた規定です。

このケースの場合は、マンション業者がマンション住民が録画予約したTV番組を観れるように共用のビデオ・サーバを用意したというのが、30条の規定の範囲外である(ゆえに、TV局の著作権の侵害だ)ということで、訴えたということのようです。

マンション住民は自分が録画予約した番組しか観れないわけですから、それぞれがHDDレコーダを買って録画してるのとどこが違うんだという意見は当然出てくるでしょう。

しかし、TV局側は30条の規定振りでは、この形態はカバーされないと言っているわけです。
マンション住民全員にサービスを提供している以上個人的・家庭内という範囲を越えてるというのもありますが、たぶん、ひっかかったのは30条の規定振りで「その使用をする者が複製することができる」となっている点でしょう。
つまり、観る人本人が録画をしなければ駄目ということです。

そういえば、去年の春にライブドアが手持ちのCD等をMP3にエンコードしてくれるサービスを始めたのに、開始後1ヶ月くらいで終了してしまったことがあったと思いますが、これも同じ理由です。
手持ちのCDを自分でMP3に落とすのがOKなのに、業者に頼んで同じことをやってもらって何が悪いのというのが通常の感覚だと思いますが、著作権法30条を文言どおりに解釈すればこういう結果になってしまうのはしょうがないでしょう。

何か理不尽なものを感じるのは私だけではないでしょう。情報がどんどんデジタル化される現代、アナログ時代に決められた現行著作権法にほころびが生じてくるのは当然なんですが、そのほころびを運用で縫い合わせる時に、既得権者の権利を守ることが優先されて、権利関係のバランスを取るという考え方がわが国には薄いような気がします。

asahi.comのネット最前線(ASAHIパソコンニュース)の記事「ユーザー置き去りの著作権攻防戦」にこのあたりの問題点がうまくまとめられています。
一読をオススメします。

特に、
>...世界で最も厳しい規制を最も早く取り入れ、摘発も最も厳しい国の1つと
>言える。そのような日本だからこそ、先進的なサービスも世界で最も早く
>始まる――というのなら理解しやすい。だが現実は逆だ。

というくだりはまさにその通りとい言わざるを得ません。

米国ではオンラインミュージック市場が完全に立ち上がり、結果的に、レコード会社も、アーティストも、機器メーカも、消費者も潤うエコシステムができつつあるのに、日本ではレコード会社が(およびJASRACが)自社の権利を主張しすぎるがためにいつまでたっても市場が立ち上がらない(その結果として、
音楽市場全体がジリ貧)という状況になっているのはこういうバランス感覚欠如エコシステム軽視の考え方が根にあるとしか思えません。

投稿者 kurikiyo : 23:20 | コメント (0)

2005年01月23日

商標権問題はGoogleの最大の誤算?

Googleが最初に世の中に登場したとき、テクノロジーとしてはすばらしいと思いましたが、その無骨なWebサイトから、これをどうやって商売にするんだろうかと思っていました。

で言うまでもなく、検索キーワードに基づいたダイナミックな広告表示がGoogleの切り札だったわけで、それが同社の劇的に成功したIPOとその後の好業績へと結びついてきたわけです。

順風満帆かに見えたGoogleですが、ここで、商標権という思わぬ伏兵が登場してきました。

商標権とはごく簡単に言うとトレードマークを自社の製品やサービスに独占的に使用できる(他者の使用を禁止できる)権利と言うことです。
ここで、「使用」とはそのトレードマークを付けた商品を作ったり売ったりすることはもちろんとして、そのトレードマークを使って広告をすることも含む点に注意が必要です。

たとえば、ルイヴィトン以外の会社が作ったバッグにルイヴィトンのトレードマークをつけて売ると、ルイヴィトン社に訴えられる可能性があるのは当然ですが、「ルイヴィトンが似合う方に」と言って自社のバッグを宣伝しても同じく訴えられる可能性があります。

「誰もうちのバッグがルイヴィトン製だなんて言ってないよ」と主張しても通らない可能性大です。
どうしてかというと、こういう行為はルイヴィトンという商標に長年にわたって蓄えてられてきた信用にただ乗りする行為とみなされるからです。

前置きが長くなりましたが、Googleがフランスでホテルチェーンとの訴訟に敗れた(まだ、確定ではないですが)という記事翻訳版)です。

メリディアンホテル(日本でもお台場等にありますね)が、自社の商標をGoogleのキーワード広告に使ってはならないと訴えた事件です。

たとえば、メリディアン(とフランス語で)入力したときに、格安ホテルチェーンの広告が表示されたとしたならば、メリディアン側としては困りますよね。
で、商標権に基づきGoogleを提訴したわけです。

同様の訴訟で米国ではGoogle側が勝訴しています(Googleは場所を提供しているだけなので、商標権の問題は権利者と広告主の間で解決すべき問題と言うロジックだと思います。)

しかし、フランスで表示してはいけないと言われても、国別に表示を制御することは事実上困難ですから、結局、世界的に表示できないことになってしまいます。
Google的にはかなり厳しいと言えます。
今後、同様の訴訟が頻発する可能性があり、いちいちこのキーワードは商標かどうかをチェックしなければならないとなると、コストもかかりますし、キーワード広告の最大の価値である手軽さが相殺されてしまいます。

キーワードベースの広告表示、全世界に向けての広告発信等々はどの国の商標法ももともと想定してない概念ですから、しばらくはひと悶着あるだろうと思っています。

投稿者 kurikiyo : 00:31 | コメント (0)

2005年01月13日

IBMがオープンソースコミュニティへ特許公開

IBMが自社の有する特許500件をオープンソース開発者に
対して無償公開というちょっと前の記事について書きます。

そもそも、オープン・ソース・ソフトウェア(OSS)の考え方と
特許権を含む知的財産権の考え方は根本的に相容れないことは
言うまでもないでしょう。
OSSの基本は「共用すること」で、知的財産権の基本は
「専有する」ことですから。

ということで、
Linuxを始めとするOSSが特許権を有する者の攻撃に対して
脆弱であることは明らかなわけです。LinuxそしてOSSの
最強の推進者であることを目指すIBMとしては思い切った
ということもできますが、当然の動きと言うこともできるでしょう。

ただ、冒頭の記事によれば、IBMはソフトウェア特許を約10,000件
有しているそうなので、500件と言えば割合としてはわずかです。
また、あまり価値がなさそうな特許(新規性違反などで無効に
されそうな特許や範囲が狭すぎて権利行使できそうもない特許)
だけを選んで公開しているという可能性もあります。

どの特許を公開したかは、IBMのWebサイトに載ってるんですが、
発明の名称見ただけでは、どの程度の特許なのかわかりません。

ただどうも発明の名称から見る限りハードウェア関係の特許が
多そうで、OSS開発者にはあんまり関係ないのでは(どっちに
しろ侵害する可能性は低い)という気もします。

逐一、公報に当たって調べてみると面白そうですが、ちょっと
片手間ではできない作業量ではあります。

確実に言えるのは、IBMの動きはIBMがOSSに本気だという
ことをアピールする広報効果としては大きいと言うことですね。

ただ、皮肉な言い方をすれば、IBMが本当にOSSがソフトウェア
のあるべき姿であると考えているならば、メインフレーム(zSeries)
やAS/400(iSeries)のソフトウェアもOSS化すれば本当に
すごいんですけどね。

投稿者 kurikiyo : 11:12 | コメント (0)

2005年01月11日

青色LED訴訟決着

asahi.comの速報によれば、日亜化学側が中村教授側に
8億4千万円支払いで和解ということです。

第一審判決の200億円と比べれば、ずいぶん低くなりまし
たが、それでもサラリーマンが得られる金額としては破格
でしょう。

破格とは言っても、たとえば、外資金融の社員が会社に
貢献すれば数億単位のボーナスを得られることから考えて
も不当とは言えないでしょう。
そもそも、一般的に言って、如何に会社に貢献しても
数万円単位の報奨金ですまされてしまっていた理系研究者
の待遇が不当だったと言えます。

他にもパルスイートとか光ピックアップなど職務発明に対する
高額の報酬の訴訟が増えています。

このような訴訟が多発する理由としては、日本の理系技術者
の(金銭面での)待遇が不当に低かったこともありますが、
特許法上の職務発明の発明者への報酬に関する規定が非常
にあいまいだったこともあります。

この問題を解決するため、職務発明の報酬規定(特許法35条)
が4月1日より改正されますが、結局、ケースバイケースで判断
しなければならないという点では変わりがありません。
この辺の詳しい話は特許庁の職務発明のQA集を参照してください。

そもそも特許がどの程度の価値を持っているのか、また、発明者
と会社の貢献度のバランスをどう取るかは本質的にアバウト
な問題です。(発明者は俺が発明したんだと言うでしょうし、
会社は会社がちゃんとサポートして給料も払ってきたから
発明できたんだと言うでしょう)

現実的には、ストックオプションやトラッキングストックの付与に
より、会社の業績に連動して報酬を与える制度や、発明者を
経営者とした子会社をスピンオフするなどのやり方が一般化
してくれば、双方とも納得がいきやすいのではと思います。

投稿者 kurikiyo : 10:45 | コメント (0)

2004年12月09日

インクの詰め替えはカートリッジの生産?

プリンタのインクカートリッジの再生品の販売が特許権の侵害であるとして、
キヤノンがリサイクル商品の会社を訴えていた件の判決がでました(参考記事)。

ご存知のようにプリンタのインクカートリッジの商売は利益率が高く、メーカー
にとってはおいしい商売です。一方、ユーザーにとっては、カートリッジは高い
買い物ですし、だいたいインクがなくなってもカートリッジはまだ使えるのに、
カートリッジごと取り替えるのはもったないですよね(環境にも優しくないですし)。

ということで、使用済みのカートリッジにインクを注入した再生品を安く売る会社
が当然ながらあります。メーカーとしては、これはおいしいビジネスの
障害になりますから、当然やめさせたいですね。ところが、一般に、いったん
物を他人に売ってしまえば、その物を改造しようが、転売しようがどうするかは
その他人の勝手で、売った人がどうこう言うことはできないのは当然です。

そこで、キヤノンはインクカートリッジに特許権があることを利用して、
カートリッジにインクを注入することは、カートリッジの生産行為にあたる
ので特許権の侵害であるというロジックを持ち出してきたわけです。
特許権とは他者の特許発明の実施を差し止めできる権利ですが、特許
発明の実施にはその発明品の生産も含まれるからです。

屁理屈のように見えますが、一応根拠はあって、それは、使用済みの
「写るんです」にフィルムを再充填して再利用可能にすることが、カメラの
生産行為にあたり、特許権の侵害であると認められた判例です。
原告側の弁護士としては当然使うロジックでしょう。

なぜ、今回は同じロジックが認められなかったかは、まだ判決文を読んで
ないので確実ではないですが、「写るんです」の場合は、フィルムの再充填
行為がケースの分解等の作業を伴なうのに対し、インクの注入は、カートリッジ
自体は破壊しないことから、さすがに生産(再生産)とは言えないという
ことだと思います。

プリンタメーカ側にとっては残念な結果でしたが、環境的観点からも、公正な
ビジネスという観点からも適切な判決ではと思います。
もちろん、メーカー側としては、インクを再注入した場合は、保守サービスを提供
しない(再生カートリッジの使用は自己責任)とすることで、一定の抑止力とする
ことはできるでしょう。
ユーザーとしては純正カートリッジを安くしてくれるのが一番うれしいですけどね。

投稿者 kurikiyo : 17:25 | コメント (0)

2004年12月07日

発明/出願/特許発明 違いがわかりますか?

昨日触れた記事の読者コメントにも書いてある話ですが、
発明、出願、特許という言葉がごっちゃになってる人多いのではないでしょうか?
たまに、新聞・雑誌記事でもよくわかってないのではと思えることもあります。

発明とは「自然法則を利用した技術的思想の創作」、もっと簡単に言えば
「技術的なアイデアです」。つまり、発明するとは、アイデアを思いつくこと。

ドクター中松が、3000件を越える発明をして、エジソンを抜いたと言って
ますけど、これは単に3000個のアイデアを思いついたというだけの話で
す。エジソンに勝ってるかどうかはわかりませんが、証明のしようがない
ことではありますね。

出願とは発明を明細書に記載して特許庁に提出することです。
形式的に書類がそろっていて、手数料を払えば出願は受理されますので、
出願の中にはかなり「とんでも系」のものもあります。

余談ですが、「特許」と「分類不能」をキーワードでgoogleサーチすると、
とんでも出願を見ることができます(かなり笑えます。たとえばここ)。

なお、出願しただけでは、ほとんど何の権利もないといって良い状態です。

特許発明とは特許庁の審査を受けて、正式に特許登録された発明
のことを言います。この段階になって初めて、他者に差止請求したり、
損害賠償請求する権利が発生することになります。
だいたい出願してから特許登録になるには5年くらいかかります(もっと、遅い
場合も早い場合もある。)

出願から特許登録になる間は、他人は勝手に実施できるのかというそんな
ことはなく、一定条件下で溯って補償金とを請求できることになってます。
なので、「特許出願済み」という表示は、「この特許はいずれ特許登録される
可能性があってそうなると勝手に実施していた人は金払わなければいけま
せんよ」という警告(法律的に正式な警告ではないですが)としての意味を
持つことになります。とは言え、前述のように、全く特許性がないアイデア
でも、出願はできてしまいますから、「特許出願済み」だから他者は実施
できないかというとそんなことはなく、完全にケースバイケースです。

以上、かなりはしょって説明しましたが、たとえ知財関係の仕事をしている
人でなくても、これらの用語はちゃんと区別して使った方がよいと思います。

投稿者 kurikiyo : 23:34 | コメント (0)

2004年12月06日

孫正義のIP電話特許

『BBフォンの「NTTう回」機能,孫社長による特許出願が判明』
という日経コミュニケーションの記事がITProに出てました。

特許電子図書館のサイトでこの特許出願の内容が無料で見れます。
直リンクは貼れないようなので、
1)トップページで「特許・実用新案公報DB」のリンクをクリック
2)文献種別にA(特許公報)、文献番号に2004-289486、PDF表示を選択して、
文献番号照会をクリックする
と問題の特許出願の中身を見ることができます。

興味深いのは、発明者が孫さん自身になっていること。
(PDF最終ページに移動するとわかります。しかしこのサイトひどいUIですね。)
冒頭の記事の書き方だと孫さん自身が出願したかのように見えますが、
これは間違いで出願人はソフトバンクBB。

日本の特許法では発明者と出願人は別であっても良いことになって
います(特に、職務発明の場合は発明者が会社に特許を受ける権利を
譲渡して、会社が出願する(特許登録されると会社が特許権者になる)
のが普通。例の青色発光ダイオードの時もちょっと問題になった話です。)
この記者の人は、たぶんこの辺が理解できてなかったのかも。

記事中にも書いてあるように、特許出願をしただけでは実質的に何の権利
も生じません。特許庁の特許査定を受けて設定登録されたものだけが、
他者に対して権利行使できる特許発明となるわけです。

設定登録後に特許発明を無効にすることもできるんですが、お金も
時間もかかるので大変です。競合他社にとって一番望ましいのは、
最初から特許査定されないようにすることです。

そのために、こんな発明は新規性も進歩性もなくて特許査定に値しない
と思う人は誰でも特許庁に対して情報提供できるようになっています
情報提供制度)。

自分は通信系はあまり強くなくてよくわかりませんが、なんとなく、
この特許出願、新規性がない(出願日前にあった技術と実質同じ)
のように思えるのですけどね。

通信系専門の方、特許庁への情報提供にチャレンジしてみてはいかが
でしょうか(もちろん、文書(論文、雑誌記事、製品マニュアル等)による
証拠は必要ですが)。


投稿者 kurikiyo : 22:30 | コメント (0)

2004年11月28日

なぜ当たり前のアイデアが特許になってしまうのか?

ちょっと古い話ですが、
マイクロソフトの「ブラウザでタブキーを使ってリンクを探す」という特許が登録されました(参照)。

IEでタブキーを押していくと、各リンクに順番にフォーカスが移っていきますね。
これが特許、つまり、マイクロソフトだけが独占的に使用できるアイデアになってしまった
ということです。

ここで、「何でこんな当たり前のアイデアが特許になってしまうのか?」と素朴な疑問を
感じる人は多いのではないでしょうか?

この件に限らず、どう考えても独占権を与えるに値しないようなアイデアが特許される
ケースは多いと言えます。日本でも、ちょっと前にビジネス・モデル特許がブームに
なった時に「結婚式の引き出物を会場で渡さずに、希望の商品を聞いておいて後で
郵送する」というアイデアが特許登録され話題になったことがありました。

このようなことが起こる最大の理由は特許法という法律の構造にあります。
特許法では、「このようなアイデアは特許できない」というためには、法律に定められた
明確な理由と証拠が必要となります。「こんなアイデアを特許査定したらさずがにまずい
だろう」というような審査官の主観で拒絶査定することはできないのです。

つまり、特許法では「疑わしきは特許査定する」という運用をせざるを得ないわけです。

もちろん、いったん設定登録された特許でも、後に無効とされることはしばしば
あります。たとえば、先の「引き出物」特許は異議申立制度により既に取り消し
となっています。

冒頭に述べたマイクロソフトのブラウザ特許についても、特許性は疑わしいのではと
個人的には考えています。
ダム端末の時代からタブ(やその他の特定キー)を使って、フィールドを移動するのは
当たり前に使われていましたし、ダム端末ベースのヘルプ画面等でもブラウザに類似の
リンク(ハイパーリンク)が使われていたことがあったからです。

マイクロソフトの特許については、一部の団体が、チェック体制を強めているようです。
要はバランスの問題であり、あまりに当たり前のアイデアがどんどん特許されて
しまうような状況は産業全体にとって悪影響をもたらしますので、
当然の動きと言えますね。

投稿者 kurikiyo : 22:48 | コメント (0)

2004年11月22日

マイクロソフト+特許戦略=?

マイクロソフトの特許戦略強化路線について、いろいろなメディアで報道されています。

オープンソースソフトウェアのムーブメントにより、同社が今まで築いてきた自社独自
ソフトウェアによる囲い込み戦略の根底が揺らいでいることから、一企業として見れば、
これは当然の戦略でしょう。
しかし、IT業界全体として適切なパワーバランスが維持できるのかという点から見ると
ちょっと不安が残ります。

何故ならば、現行の特許制度は権利者側に圧倒的有利なものになっているからです。

ソフトウェアの著作権に基づいた攻撃であれば、コードを書き換えれば解決できます。
また、そのソフトウェアは独自に開発したものであり、模倣ではないこと(一致している
部分があっても偶然の一致であること)を証明すれば足ります(PCの互換BIOS開発
などではこういうやり方がされています)。
ところが、特許は表現(ソフトウェアで言えばコード自体)ではなく、抽象的なアイデア
を保護するものなので、コードを書き換えても基本的な構成やアルゴリズムが同じ
であれば、特許侵害を回避できません。また、模倣ではない偶然の一致であると
言っても通りません。客観的に一致していれば、ほぼ自動的に侵害となります。

特許はかように強力な権利なので、ある程度保護期間を短くしてバランスを取って
いるのですが、この期間は日米共に20年です(著作権は原則50年)。
機械とか化学の世界はどうかわかりませんが、ITの世界で20年と言うと
ドッグイヤー換算で140年。つまり、特許権者に対してほぼ永遠に強力な
権利を与えてしまうことになるわけです。

このような強力な武器を強力かつ攻撃的な企業であるマイクロソフトがフルに活用
しだすとどうなるか?これは、IT業界アナリストとしては要注目です。

知財に関しては勉強中(勉強のついでに弁理士試験まで合格してしまいました)
ですが、いろいろ書いていく予定です。残念ながら特許の実務経験はないので、
実務と合致していないことを書く可能性はありますが、その際は是非是非建設的な
コメントをよろしくお願いします。

投稿者 kurikiyo : 23:28 | コメント (0)

2004年11月18日

ビジネスモデル特許に再注目

ちょっと前の話になりますが、今かなり気になっている事件として、
「JALがビジネスモデル特許でANAを提訴」
というのがあります。

2000年から2001年ころにかけて一時期ビジネス・モデル特許ブームがありました。
その時はちょっと怪しげな人々がいかにも進歩性がなさそうな特許を元に
権利を主張するといううさんくさい要素がないとは言えませんでした。

しかし、今回の事件は、両当事者とも超一流企業ですし、特許公報を見る限り、
特許発明の内容も具体的かつ明確なものです(本当に新規性、進歩性があるかは、
これからの裁判の中で明らかになっていくでしょうが)。
しかも、損害賠償請求額が100億円と結構高額です。

今、ビジネスモデル特許の特許率はかなり低く、8%程度らしいです。
しかし、ということは、やはりしっかりしたビジネスモデル特許も存在するわけであり、
今後、権利が確定する特許が増えてくると共に、このような訴訟事件も
頻繁に起きてくるのではないでしょうか?
日本の特許制度の現在の運用ではビジネスモデル特許はソフトウェアを利用して
いないと権利を獲得できないため、実質的にビジネスモデル特許=IT関連特許
ということになります。
ITアナリストのイッシューとしてもビジネスモデルは要注意だと思っています。

今後、この事件に限らず、知財回りのいろいろな分析を書いていこうと思います。

投稿者 kurikiyo : 23:32 | コメント (0)