2005年06月10日

GPL 3の確定は2007年

本日はOSDLの記者会見に行って来ました。
FSFの顧問でもあり、弁護士にしてコロンビア大学教授であるEben Moglen氏のお話が目当て。

セミナーではなく、記者会見なのでそれほど詳しい話はなかったですが、興味深かったのは現在改定作業中のGPLの時期版GPL 3の最終確定版の予定が2007年初頭ということ。
一瞬、2006年のいい間違いかと思いましたがそうではありませんでした。
2006年まる1年をかけて検討を重ねていくようです。
改定には法律(しかもやっかいな特許法等)がからむことですし、今後長期にわたって重要となることなので、時間をかけて検討しなければいけないのは確かですが、約2年(ドッグイヤー換算14年)というのはちょっとかかり過ぎな気が。

あと、Moglen氏は、現行の特許制度についてあくまでも私見であるとしながら、「ソフトウェア開発の世界とはミスマッチである。」「特許権者の権利が強力すぎ、長期にわたりすぎる。」と発言しました。
ちょっとでも今のソフトウェアビジネスの世界に身を置いた法律専門家であれば、誰でもそう考えるでしょうね。

投稿者 kurikiyo : 15:02 | コメント (0)

Sunは貯金の使い方を間違えた?

ちょっと前の話ですが、SunのStoregeTek買収に関する記事「StorageTekの光に目がくらんだSun アナリストらは買収に批判的

Sunの業績はここのところ芳しくないですが、キャッシュは結構ありました。
家計は苦しいし、給料は上がらないけれど貯金はそこそこあるという状況です。
こうなると、うまく企業買収をして将来の成長に結びつけることが不可避であって、今年、Sunが大規模な企業買収をすると言うのは、業界の噂としてもありましたし、幹部も自ら認めていたことであったわけです。

で、買収したのがStorgeTek。
あまりなじみはないかもしれませんが、エンタープライズ・ストレージ市場では、EMC、日立、HP、IBMに次ぐベンダーです。
特にハイエンド・テープなどのセグメントではかなり強いベンダーです。
StorageTekのように業績は比較的好調だし顧客ベースもあるが、成長率が低いため株価が低迷している企業を買って成長路線に乗せると言うのは、M&Aの鉄則ですが、どうなんでしょうか、この場合は。

企業買収に関しては、Sunはうまく行った時と行ってない時の差が極端です。
Crayのビジネス・コンピュータ部門の買収はきわめて成功したE10000サーバを産み出し、2000年ころのSunの記録的好業績の結びつきました。
一方、Cobalt社に関しては、金をドブに捨てたような結果となりました。

M&Aを成功させるために重要な要素は企業カルチャーの融合の問題があります。
企業カルチャーと言う点では、Sunは結構「濃い」のでうまく行く時と行かない時の差が激しいのではと思います。
StorageTek社は米東海岸ベースですし、どっちかというとIBMメインフレームショップのユーザー等に堅実な営業をしてきて成長してきた会社であり、企業カルチャーの点ではSunと対極にあると言えます。
とは言え、Sunと似たカルチャーであろうと思われるCobalt社の買収が失敗したことを考えると、意外とタイプが違う企業の買収の方がカルチャークラッシュは小さくてすむのかもしれません。

もうひとつの懸念は、ストレージハードウェア市場もサーバ市場と同じように急速にコモディティ化が進行しつつあることです。
もう、ハードでの差別化はかなり困難な時期に来ており、大手ベンダーは、管理ソフトで差別化する戦略を取って来ています。
Sunがストレージを重要視するのは当然なのですが、どっちかというとストレージ管理ソフトウェア・ベンダーを狙うべきだったのではと思うわけです。
別のM&A計画が進行中であるとも思われますが、Sunももうキャッシュによる大規模なM&Aは困難な状況に来てますので、大手のストレージ管理ベンダーの買収も難しいでしょう。

こう思うのは私だけではないようで、買収の発表依頼Sunの株価も低下気味で、この状況を挽回するためには相当強力な戦略が必要と思うわけです。

投稿者 kurikiyo : 09:32 | コメント (0)

2005年06月09日

Googleの株価はどれくらいバブル入ってるんでしょうか?

Googleの時価総額がメディア企業としては最大(Time Warnerとほぼ同等、Disneyの倍近く)になったという記事

企業価値を時価総額だけで評価するのは危険(Linuxディストリビュータの時価総額などはIPO当時の100分の1近くなってますし)ではありますが、やはりエポックメーキングなことではあります。

物を所有するより、その物に関する情報を所有した方が儲かる」という話を読んだことがあります(またしても、出典を失念 ^_^;)。
たとえば、原油を買って転売して儲けるよりも、同じ金で原油価格のオプションに投資したほうが儲かるというロジックです(ちょっと突っ込みどころ満載ですが)。

同じ流れで、「情報(コンテンツ)を所有するより、その情報に関する情報を所有した方が儲かる」と言えるかもしれませんね。

そういえば今や「古典」とも呼べるネグロポンテ氏の「ビーイング・デジタル」には、「雑誌のテレビガイドを発行している会社の収益はどのテレビ局よりも上」という話が書いてあった記憶があります(今はネットがあるから状況は違うかもしれませんが、基本的には同じことを言ってますよね)。

投稿者 kurikiyo : 20:10 | コメント (3)

2005年06月01日

今さらながらの「クルートレイン宣言」

最近ちょっといろんなことを一から勉強しようと言うモードになっていて、その勉強課題のひとつがマーケティングなわけです。
で、いろいろとWebを調べていて出会ったのが「クルートレイン宣言」(The Cluetrain Manifesto)。
米国のマーケティング・コンサルタントのクリストファー・ロック氏がWeb上に新しい時代のマーケティングのための「95のテーゼ」を発表したところ、ネット・コミュニティで大反響を呼び、1999年に書籍として出版されたものです。

邦訳も『これまでのビジネスのやり方は終わりだ―あなたの会社を絶滅恐竜にしない95の法則』というタイトルで日経新聞社から2001年に出ています。
何かまったく記憶がないので、あまり話題にもならなかったような気がします(邦題が悪い?)。
googleで「クルートレイン宣言」をサーチしても56件しかヒットしないので、そもそも日本では原著からしてあまり話題にならなかったのでしょうか?

で、中身なんですが、英文であればWeb上で無料で読めるようになっています。
英語で全部読むのはしんどいという人でも、巻頭の「95のテーゼ」は日本語化されてますので、これだけでも読むと結構ためになるのではと思います(一部変な訳のところがありますので、適宜、英語版も確認した方がよいかも)。
内容的には「何を今さら」というのが多いのですが現状をうまくまとめてキャッチーな言葉で表現しているところが多いです。
また、1999年の出版でありながら現在の状況を的確に予測できているポイントも多いと思います。
たとえば、最初のテーゼである「マーケットとは対話である。」ですが、blogブームの今をまさに予測していたと言えるでしょう(原著の執筆時にはblogはメジャーな存在ではなかったですし、サイト内で"blog"でサーチしても見つかりません。)

邦訳もamazon.coo.jpのマーケットプレイスで古本が59円(ドヒャー)で買えるようです(例によって、日本語訳のクオリティについてはコメントできません。原文を読む限り、かなり訳しにくそうな英語ではあります)。

投稿者 kurikiyo : 09:51 | コメント (0)

2005年05月28日

カカクコムを反面教師としよう

#商標の話を書こうと思ったら特許電子図書館がダウンしてたのでまた月曜日以降に書くことにします。
#しかし、金曜夜から土日の終日メンテでダウンというのもすごいですね。
#無料サービスとは言え公益サービスなんだからサービスレベルをもう少し何とかしてほしいものです。

さて、話は全然別のカカクコム事件ですが、同社が事故に関する情報をまったく公開していないのが問題になってますね(関連記事)。
すでに関連記事に言いたいことがほぼすべて書かれてますので、あらためて付け加えることもないのですが、カカクコムの姿勢は本当に困ったものです。

「新たな犯罪を誘発するので情報を公開しない」というのは一見正しそうで、まったく間違った考え方です。
セキュリティの世界では"Security by Obscurity"という言い方があります。
要するに情報を隠しておけばセキュリティが確保されるであろうと言う考え方で基本的には間違った考え方であるとされています。
仮に情報を公開しなくても、クラッカー連中は裏で情報交換してますから、それを抑止することはできませんし、逆にリスクが世の中に認識されない害の方が大きいでしょう。

アルミサッシはドライバー1本で開けられるという情報をテレビで流せば、それを見て実行する者が出てくるリスクがある一方で、アルミサッシには予備錠とかアラームつけなきゃ駄目なんだという知識を世の中に広めるというメリットもできます。
ここで、明らかに、前者によるリスク<後者によるメリットであると思います。

さらに、記事中の「これで済んでしまうとなると,セキュリティ対策を全く施していないサイト運営者の言い逃れに,今回の同社の対応が使われる可能性がある。」という懸念についてもまったく賛成です。
少なくとも個人的にカカクコムのサービスを利用する気はなくなりました。

他の企業においては、ぜひカカクコムの対応を反面教師としてもらいたいものです。

#今回のエントリー、ちょっと普通すぎる意見かもしれませんが、まあこう言うしかないということで。

投稿者 kurikiyo : 11:32 | コメント (7)

2005年05月18日

著作権管理のあるべき姿

IT Media LifeStyleの記事「私的録音・録画補償金制度では誰も幸せになれない」を読んで思ったこと。

記事の要旨は、
1.HDDなどの汎用機器から補償金を取るのはおかしい
2.補償金を取るのなら私的複製は自由にさせるべきであって、DRMでガチガチにしばっておいて、さらに補償金を取るのはおかしい
3.現行制度では補償金の流れが透明とは言いがたい
という感じでしょうか。
私的にはまったく賛成であります。

何らかの形でクリエーター(作曲家等)が利益を得ないことには音楽産業は回っていきませんので、デジタル録音機器やメディアの補償金制度は現実的にはしょうがない妥協案であると思います。
そう考えると、基本的に音楽専用機であるiPodから補償金を取るのもまあしょうがないであろうと思います(個人的にはいやですけど)。

ただ、忘れてならないのは、利用者が払うコンテンツの利用料(CD等のパッケージに含まれてるものであれ、補償金で間接的に払っているものであれ)は、クリエーターに払っているものであり、レコ協やJASRAC等の中間業者に払っているのではないということです。

こういう著作権管理の仕組みにおいては、
1.利用者が払ったライセンス料金をできるだけ少ない中間搾取でクリエーター(作曲者等)に届ける
2.ライセンス料金を届ける仕組みは透明かつ公平である
3.ユーザーやクリエーターは自分の意思で中間業者を選ぶことができる
という点が重要だと思います。

10年後の著作権管理を考えてみると、以下のようになっているといいなーと個人的には思ってます。
1.利用者のコンテンツのコピーは自由
2.コンテンツを再生するときに認証局からキーをもらいその時に課金(聴いた(観た)回数ベースで課金)
3.利用料をクリエーターに届ける業者は複数あり互いに競争(証券取引所みたいな感じ)。手数料が不当に高かったり、不正を働いた業者は競争原理により市場から追放される。

こういう世界、技術的には10年後でなくても十分実現できると思うのですが、政治的要因がからむと永遠に実現しないでしょうね(何となく、日本では後者の可能性のほうが高そうな予感)。

投稿者 kurikiyo : 23:28 | コメント (0)

2005年05月17日

「企業コンピューティングの終焉」:著者Nick Carrは一級釣り師認定

MIT Sloan Management Review2005年春号に載った"End of Corporate Computing"という記事に関する記事(『「IT Doesn't Matter」の編集者、今度は「企業コンピューティングの終焉」を予言』)。

MIT Sloan Management Reviewは今は購読してないので、単発記事をネットで買おうかと思って、同誌のサイトに行って見ましたが、梗概を読んで買う気がなくなりました。
仮想化、グリッド、Webサービスというテクノロジーの進化により、情報システムは企業が維持する資産ではなく、外部のプロバイダーからサービスとして購入されるようになるというようなことが書いてあるようで、要するにどのITベンダーの宣伝パンフレットにも書いてあるような話のようです。

もちろん、こういう話は間違ってはいないですし、メガトレンドとしては確実に進行していくでしょう。
だけど、これは、たとえて言えば、昔聞かれたような「交通と通信技術の発展で地域格差がなくなり東京の一極集中はなくなる」みたいな単純化されすぎた主張だと思います。
確かに、地方の活性化の事例はありますし、長期的に見ればこの主張は正しいのでしょうが、実際には東京への集中は逆に加速してますよね。

ITのサービスプロバイダー化(ユーティリティ化)にしても、たとえばメールやWebホスティング等の分野では進んでますが、企業の基幹業務分野については自前主義で行こうという逆の動きすら見られます。
IBMとのアウトソーシング契約を打ち切ったJPモルガンチェースのケースもありますし、ITにおいては最先端のウォルマートやAmazon.comは完全自前主義です。

よく巡回しているR30::マーケティング社会時評のエントリー「企業の情報システムも安くてヘボい方が勝ち」で、この記事を引き合いに出して、独自データベースシステムなんか作らないで全部メールでやってしまえばよいのではみたいな主張がされてますが、確かに、出版とか広告代理店とかコンサルティングとかの業種だとそれで何とかなってしまうかもしれませんが、流通、金融、通信のように日々大量のトランザクションが発生する業種は全部メールでというわけにはいかんのですよ。
確かに使いもしない機能に金をかけすぎるのは問題ですが、「安くてヘボい方が勝ち」というのはちょっと極論では思います。

で、元記事の話に戻るのですが、この著者のNicholas Carr氏、"IT Doesn't Matter"の時も「間違ってはいないけれど単純化されすぎた極論」を述べて世間を騒がせる(で、自分の本や講演を売る)のが目的で書いてるような気がします。
2ちゃんねる用語でいう釣り師というやつですね。

まあ、自分も"IT Doesn't Matter"の時は自分の講演のネタにも使わせてもらったので、あまり批判もできませんが ^_^;

投稿者 kurikiyo : 12:00 | コメント (1)

2005年05月16日

価格.comのクラッキング被害は新しい脅威の始まり?

価格.comの事件について思ったこと。

『さらし系ウィルスのリスクをもっと真剣に考えた方が良いのでは』のエントリーでも書きましたが、マルウェアやクラッキングによる被害は、単なるサービスの停止やいやがらせの域を超えて始めてますね。
愉快犯のレベルから、特定の団体に具体的損害を与えることを目的とする方向に変化してきていると言えるかもしれません。

クラッキングして、単にサイトの改ざんするだけではなく、トロイの木馬を埋め込むというのは、かなりダメージ大きいですね。
顧客に直接迷惑かけることになりますし、その後、顧客もサイトにアクセスするのを躊躇するようになってしまいます。
いわば、大昔のグリコ事件のように、商品に毒を入れるようなあくどいやり方に相当すると言えるでしょう。

これによって、価格.comの株価は今日だけで5%低下、約25億円の価値が消えました(親会社のデジタルガレージの低下分も加えればもっと損失は大きくなります)。
#むむ、ひょっとして犯人のねらいはそこ?(同社株を大領に空売りした人がいれば、当局の聴取の対象にはなるかもしれないですね)
さらに、顧客の信用失墜、同業他社(今ではいくつかありますね)への顧客流出、トロイの木馬で被害を受けた顧客からの損害賠償等々を考えると、被害額は一桁大きくなるかもしれません。

投稿者 kurikiyo : 19:11 | コメント (0)

2005年05月15日

米マイクロソフトとサン、基本ソフトに互換性???

日経のWebサイトの記事『米マイクロソフトとサン、基本ソフトに互換性』
記事によれば「米マイクロソフトとサン・マイクロシステムズは、両社の基本ソフト(OS)が互換性を持ち、情報のやり取りが容易になる技術を開発したと発表した。」そうであります?!?

まさか、JVMと.NET CLRの相互運用性でも確保したのかと思い、米国メディアの関連記事を探ってみるとどうやらこの記事で言っている発表のことを指しているようです。
元記事で言っているのはシングル・サイン・オンの互換性を維持する方向に動くことで合意したというもの。
まあ確かに「両社の基本ソフト(OS)が互換性を持ち、情報のやり取りが容易になる技術を開発した」というのは間違いとまではいえないのですけどね。
何だかなーという感じです。

投稿者 kurikiyo : 21:38 | コメント (1)

2005年05月02日

トレンドマイクロが悪いのは確かだけど

#「がんばれ日本事件」の後半もうちょっとお待ちください。^_^;

大問題となったウィルスバスター事件ですが、トレンドマイクロの責任は重大なのは言うまでもありません。
#CEOの給与594円というのでは、被害者は納得しないでしょうね、
#ストックオプションの持分を594株にするなら別ですが :-P

ただ、今回の件はかなり本質的な問題を含んでいますよね。
配布されるウィルスのパターン・ファイルは電子署名では保護されているもののベンダー側でミスがあれば今回のようなことになるのは避けられません。
特に、高度化するウィルスに対抗するためにデータ・ファイルだけではなくてプログラムそのものまで置き換えてしまうこともあるのでリスクは相当に大きいといえます。
サーバ(少なくとも基幹系サーバ)の世界では、仮にベンダー提供のパッチであっても信用せずに、ユーザー側のテスト環境でテストして問題がないことを確認してから本番機に適用するのが常識です。
ところが、パソコンの世界ではいきなり本番環境が変更されてしまうわけですよね。
サーバは多数のクライアントから共用され重要度が高いのでクライアントよりも慎重にテストするのだというのは一応利にかなっていますが、ウィルスソフトの自動更新の場合はすべてのクライアントPCに一度に変更が加えられてしまいますから、そういう点ではテストの重要度はサーバと同等です。

もうひとつ今回の事件で感じたことは、Windowsはまだまだ脆弱なOSだなということです。
今回のトラブルはウィルス検知ロジックのバグにより、圧縮ファイルの解凍が無限ループに入ったために起きたようですが、少なくともメインフレームOSの世界ではこういうリソース食いまくりのプログラムが走ると、スケジューラが自動的に優先順位を落として、他のプログラムに迷惑がかからないようにしてくれます(いわゆる"starvation free"という考え方)。

それから、誤ってプログラムを変更してしまった場合に、すぐに元に戻せる機能は必要ですよね。
ミラーディスクにしておいて必要に応じて切り替えるという方法でもよいですが、Copy-on-Writeか何かで実装できそうな気がするのですが。

ウィンドウを半透明にしたりとか3次元のユーザーインターフェースも良いのですが、マイクロソフトはもっと先にやらなければならないことがあると思います。

投稿者 kurikiyo : 00:44 | コメント (0)

2005年04月19日

さらし系ウィルスのリスクをもっと真剣に考えた方が良いのでは

通常、ウィルスの被害というと今まではせいぜいファイルを消されたり、再起動不能になったり、DoSでネットを輻輳させるという程度ですが、ご存知のように最近はより悪質なウィルス(というよりも、トロイの木馬)が広まってますよね。

パソコンのスクリーンショット、デジカメ画像ファイル、メール等を勝手にアップローダに上げたり、2ちゃんねるに投稿したり、Winnyに放流したりしてしまうタイプのマルウェアです(参照記事1参照記事2
これらのさらし系マルウェアが怖いのはいったんネットに情報が流出してしまうともう回収は事実上不可能であるということ。
今のところは、個人の恥ずかしい画像がさらされたり程度で済んでいますが、ほうっておけば真に重要な機密情報が流出する事件が今後確実に起きるでしょう。

さらに、もう少し高度なマルウェアであれば、Winny等のP2Pソフトのプロトコルをリバースエンジニアリングして、P2Pソフトが導入されていなくてもファイルをネットに放流することだってできてしまうでしょう。
また、会社のネット等で2ちゃんねる等の掲示板アクセスをフィルタしてても、プロキシ経由で投稿することも技術的には可能です。
ファイルを暗号化しても、そのデータを画面上で読んでいる時にスクリーンショットを取られて、それが放流されれば暗号化の意味はありません。
要するにこの種のマルウェアに感染してしまうと、ネットにさえつながっていれば重要データが勝手に公開されてしまう危険性があるということです。
せいぜい、アウトバウンドのファイアウォールソフトで変なプログラムがネットにアクセスしようとしているのを検出するくらいでしょうか?(クレバーなマルウェア開発者であれば、これも回避してしまいそうな気がしますが)

この辺の話はネット・メディアではそれなりに扱われていると思うのですが、その割にはあまり一般紙やテレビでは報道されてない気がします(この種のマルウェアの元祖が「キ○タマ」という一般メディアでは言いにくい名称なのも理由でしょうか?)
これは単なる笑い話ではなくてかなりの脅威だと思います。

投稿者 kurikiyo : 00:24 | コメント (1)

2005年04月15日

RFID:米国の状況も実はまだまだ

前回のエントリーで、米国で着々とRFIDの現実的ソリューションが構築されつつあると書きました。
確かにそうではあるんですが、ケース・スタディの講演を聞いても話の中心となっているのは、タグをどこに貼ると読み取り率が上がるとか、箱の積み方を工夫して読み取り率を99%まで向上したとか(要するに100%にはならない)という話がほとんどでした。

また、「タグやリーダーについてはベンダーの主張(100%読み取り可)は全然あてにならないので、自社の環境で十分なテストをすることが必要」という発言もありました。
たとえば、無線LAN等でも、今ではあまり基本的な接続性を気にする必要はなかったですが、ちょっと前は機器の相性でうまくつながったりつながらなかったりという状況があったと思います。
要するに基本テクノロジーがまだ枯れ切ってないという状況で、現在の無線タグもそれに近い状況ということでしょう。

無線タグについては最先端であるはずのウォルマートの担当者の話ですら、そういう話が中心でした。
ただ1点興味深かったのは、例としてある商品の店内在庫量のグラフを見せてくれたのですが、そのグラフの横軸の単位が日ではなく時間である点でした。
こういうほぼリアルタイムに近い在庫情報を、やはりリアルタイムでサプライヤ側に送っているようです。
元々POS情報はリアルタイムで提供していたわけですが、無線タグによって入庫側の情報もリアルタイム化できたということなんでしょうか?(それとも、今までバーコードでやってたことを無線タグに置き換えただけ?)

本当は、無線タグの情報を既存のアプリケーションとどうつないでいくかとか、無線タグによりどういうビジネス・プロセスの変革があったとかそういう話を聞きたかったのですが、米国でもそのような話ができる状況にまだは未だ至ってないようです。

投稿者 kurikiyo : 11:52 | コメント (1)

2005年04月12日

RFID Journal Live!というイベントに来ています

シカゴで開催されているRFID Journal Live!というイベントに来ています。
会社の経費で来てますので、ここであまり詳しいレポートは書けませんが全体的な印象だけ。
一言で言うと「日本が大根に無線タグとか言って浮かれている間に、米国では現実的なソリューションが着々と構築されつつあるなあ。」という印象です。
RFID(無線タグもICカードも含む)のイベントなので、一応、ICカード系の話もあるのですが、下の講演会場の写真(倉庫を模している)からもわかるように、EPC仕様の無線タグでサプライチェーン(というよりもロジスティクス)を改善しようというテーマが中心になっています。
併設の展示会の方もほとんどロジスティクス関連のみと言ってよい状況です。

もうひとつ興味深かったのが貴重講演がDoD(米国国防総省)の担当者によるものであったということ。
ちょっとおもしろかったところを意訳して抜粋します。
「われわれがやっていることとウォルマートがやっていることは大きく変わらない。どちらも、食品、衣類、武器などを必要なときに必要な場所に届けなければならない」(注: 米国のスーパーマーケットではライフルやピストルを売っているところがあります。新聞のチラシにライフル大セール等書いてあることも)。
「しかし、われわれのロジスティクスの要件は3つの点でウォルマートより厳しい。まず、店舗(に相当する部隊)が移動していくということ、次に、クリスマス(需要のピーク)がランダムに訪れるということ、最後に、品切れをおこすと人が死ぬということである。」(ちょっと笑えないジョーク)
いずれにせよ、ロジスティクスとは元々軍隊用語(兵站)ですから、DoDの人が話すのも当然といえば当然です。

ところで、日本の某教授が「EPCの無線タグは商品の盗難を防ぐことを主眼としており、日本の状況とは合致していない」という趣旨の発言をされたことを記憶していますが、それは全くの言いがかりであることをここで言っておきたいと思います。
ケーススタディにおいても多くの流通業者がサプライチェーンの改善(要するに在庫の削減と品切れの防止)を最大の効果(ないし目標)に挙げており、シュリンクの削減は挙げていたとしても副次的な効果としてでありました。

では、米国では無線タグは完全にメインストリームになったかというとそういうことでもなくて、参加者の70%以上がベンダーやコンサルティング系の人であったようです。
少なくとも過半数がユーザー企業という状況にならなければメインストリームとは言えないでしょう。
来年あたりにはそうなるのでしょうか?

日本は電波法の関係でUHF帯タグが利用できなかったという特殊事情はあるにせよ、無線タグ技術のシリアスな使い方を真剣かつ迅速に検討しなければならないと国際競争力的にかなりまずい状況になると思います。

以下はどうでもよい写真の紹介です(買ったばかりのデジカメで操作がよくわからずピンボケ気味ですみません)。

倉庫を模したディスプレイのメイン会場。
RIMG0049.JPG

夜間の工事現場作業員のようなスタッフの制服、遠目でもわかりやすくて便利です。
バッジの色変えたくらいではよく見えないですからね。アメリカのトレードショーではよくある方式なんでしょうか?
RIMG0047.JPG

全員に配られていたガジェット。一瞬、iPod Shuffleかとぬか喜びしましたが、UHF帯タグリーダーの電波を検出するとLEDがつくというどーでもよいおもちゃでした。日本でやると携帯の電波に反応してつきっぱなしになりそうです。
RIMG0059.JPG

投稿者 kurikiyo : 13:53 | コメント (0)

2005年04月06日

守るべきは仕事ではなくてワーカー

前々回のエントリーで日本の労働市場の流動性の不足の話を書きました。

IT業界についてはまだ他業種よりは流動性高いと思うのですが、前々回のエントリーでも書いた携帯電話ベンチャーの話にもあるようにまだ米国のレベルには達してないのは明らかでしょう。

では、流動性を改善するためにはどうしたら良いかというと、すぐ思いつくのは給与制度の変革。
同じ会社にいればいるほど退職金が累積的に高くなっていく現行の制度は明らかに流動性を低めている要因になっているでしょう。
もちろん、退職金制度を廃止したり、退職金の先渡しを認める会社も増えてきていますが。

ただもっと重要なことは、会社に価値を提供していない人にどのようにして退場願うかということでしょう。
不用な人がやめてくれなければ有用な人を採用することもできないわけですから。
もちろん、会社の都合で勝手に従業員を解雇して良いというわけではありません。

ここで重要な考え方が"Protect the workers, not the job"ということだと思います(出典がどうしても思い出せません、ご存知の方教えてください)。
要するに会社や社会制度が保護すべき対象はワーカーであって、ジョブ(会社のポジション)ではないということです。
明らかに会社にとってあるポジションや部門が不要になったとしても、その仕事をしている人を解雇できないので、その仕事をなくせないというのは本末転倒ですし、会社そのものの体力を落としていくことになります(これは、workerを保護しているようであって、実はjobを保護していることになります)。
会社にとって不用な仕事はどんどんなくすなりアウトソースするが、ワーカーは可能な限り配置転換するなり、別の会社を斡旋するなり、教育プログラムを提供するなり、十分な退職一時金を提供するなりして保護するようなやり方をとるべきでしょう(当然、企業努力だけでなく、社会制度としての保護も必要でしょう)。

口で言うのは簡単ですが、workerを十分にprotectしないで、jobをprotectしている会社は結構多いのではないでしょうか?
ちょっと今回は専門外のことを書いてみました(突っ込みどころ満載?)。忌憚なきコメントお待ちしています。

投稿者 kurikiyo : 19:57 | コメント (0)

2005年03月31日

結局は労働市場の流動性か

欧米でうまくいったパラダイムを日本に適用してもうまくいかないケースの根をたどっていくと、結局、日本の労働市場の流動性の欠如に行き着くことが多いと思います。
典型的ケースが、富士通で壊滅的に失敗した成果主義でしょう。
成果主義の前提は、自分が不本意な評価を着けられたらいつでもより良い条件の会社に移れるということでしょう(逆に移りたくても移れない人は低い評価が相当だったということになります。)
上司としても優秀な部下に退社されてしまっては自分自身の評価が悪くなってしまいますので、結果的に会社が本当に必要としている人には良い評価をすることになります。
まあ、問題皆無とは言いませんが、それなりの公平性は保てると思います。
日本のように大企業にいったん就職してしまうとそう簡単に転職できない環境では、ワーカーとしては悪い評価に対する対抗策が実質的に取れないですから、結局、多くの人が上司にこびへつらってでも高い評価を得ようとして、会社の雰囲気がどんどん悪くなるという最悪の結果になってしまいます。

日経エレクトロニクス誌のサイトTech-On!のブログでも、携帯機器のベンチャーをやるのに、日本では組み込み系の開発者が雇えない(大企業が囲い込んでいる)のでシリコンバレーで起業せざるを得ないという話が載っていました。

この労働市場の流動性という点で、さらに思い出したのが、Topcoder.comというアメリカのサイトです。
このサイトは定期的にアルゴリズムやソフトウェア設計のお題を出題してます。
そして、世界各国のプログラマーがその回答となるプログラムを送ってきます。
で、そのプログラムの出来によってプログラマーのランキングをつけて公開しているわけです。
米国だけではなく、ポーランドや中国などのプログラマーも腕を競っているネットならではの世界です。
#自分も二十代のころだったらチャレンジしたかったです。ちょっと早く生まれすぎたかな。

国別のランキングもあるのですが、日本は31位とさびしい状況です。
もちろん言葉の問題もあるのでしょうが、やはり、ここでも労働市場の流動性が関係するでしょう。
Topcoderにプログラムを送ってくる人たちは知的興味でやっているということもあるのでしょうが、就職・転職を有利にするためという点が大きいようです(実際、TopCoderも企業に対して優秀なプログラマーをリクルートすることをビジネスモデルの要にしているようです)。
一方、転職を続けることでプログラミングのプロとしてキャリアアップしていくと言う可能性が低い社会では、ネット上でTopCoderと認められることの動機付けも小さくなってしまいます。

ポーランドのプログラマーがネット経由でプログラミングの腕を示して、米国の会社に就職(ひょっとてして、ポーランドに滞在したままで仕事できるかもしれません)というのは何か夢のある話だと思いますが、こういう世界に日本だけが取り残されていくような気がしてしょうがありません。

投稿者 kurikiyo : 21:25 | コメント (1)

2005年03月30日

【速報】HPの新CEOにNCRのMark Hurd

HPの新CEOとして、NCRの現CEOであるMark Hurd氏が選任されたという記事

Mark Hurdさんは確か2回ほどインタビューしたことがありますが、セールス系出身らしい実直さを感じさせる人でFiorinaさんとは対照的だった印象があります(Fiorinaさんが実直でないということではないですが)。
個人的には、結構意外な人選でありました。
とは言え、今のHPに必要なのは派手に戦略を打ち出すタイプよりも調整型で現場指向のリーダーだと思うので、そういう意味ではうなずける人選であります。

投稿者 kurikiyo : 08:28 | コメント (0)

2005年03月28日

MacやLinuxはウィルスに強いのだろうか?

「5度以下の海で泳いでいてサメに襲われた人はいない。だからサメに襲われたくない人は5度以下の海で泳げばよい」というジョーク(と言うか警句)を大昔に聞いたことがあります。
あえて説明するまでもないとは思いますが、そもそも5度以下の冷たい海で泳ぐ人はほとんどいないので、サメに襲われるケースもないということです。
統計の一見もっともらしい数字にだまされてはいけないという警句ですね。
#ところで、この話のネタ元ご存知の方がいたら教えてください。

一時期、Windowsはウィルス攻撃を受けやすいが、LinuxやMacは安全だという議論がされたことがありました。
まあ、もちろん、Windowsのセキュリティ設計自体がひどいという要素もあるでしょうが、やはりシェアが寡占状態にあるOSが狙われがちなのは当然であって、単純にLinuxやMacでのウィルス被害の件数が少ないのでこれらのOSはウィルスに本質的に強いと考えてしまうのもちょっと近視眼的だと思います。
実際、LinuxやMac OSのシェア増大に伴い、セキュリティ被害は増えています(参考記事)。
このblogではあまり政治的な話はしたくないのですが、東アジア圏でLinuxが急速に普及していることを考えると、特に日本の政府関係で使用されているLinuxシステムが、反日的ハッカーの標的になるリスクは高まっていると思います(念のために言っておきますが、アジア圏の人を批判しているのではないですよ、悪質ハッカーによるリスクを憂慮していいるのです)。
Windowsと比較してウィルスの被害が少ないということをLinux採用の理由としている企業もけっこうあるようですが、Linuxの普及に伴い必ずしもLinuxだから安全とは言えなくなる可能性はますます高くなっていくでしょう。

ところで、統計のもっともらしいデータにごまかされるなという点で言うと、某社が昔やったOSの満足度調査のことを思い出しました。
その調査でダントツのトップの評価を得たのはOpenVMSでした。
OpenVMSは確かに良いOSとは思いますが、これが最高のOSかといわれるとちょっと困ってしまいますね。
おそらく、OpenVMSにちょっとでも不満のある人は、既にUnixやWindowsに移行してしまっており、今でもOpenVMS使ってるのは筋金入りのVMSファンだけが残っていたからというのが理由だったのではと思っています。

投稿者 kurikiyo : 23:16 | コメント (0)

2005年03月24日

Sunの仮想敵国と言えば?

ZDNet(現ITMedia)に連載コラムを書いていたころは、Sunのネタがやたら多かったので「Sunびいき」とか「Sun Watcher」とか言われることがありました。
自分としてはまったくそういうつもりはないのですが、コラムを書く分にはSunはネタにしやすいんですね。
やはり、Scott Mcnealy氏を筆頭に、Sun経営陣は意図的に刺激的なことを言う人が多いのが理由です。

少し前までは、Mcnealy氏は自社の戦略の正当性を主張する場合に、Microsoftを仮想敵国として使うことが多かったのはご存知と思います。
「これは、SunとMicrosoftの戦いではない人民とMicrosoftの戦いだ("people vs Microsoft")」などという言い回しがよく聞かれてました。
ところが、昨年の春、SunとMicrosoftはJava関連の訴訟の和解、クロスライセンス等々で協力関係を強めていくことになったので、状況は大きく変わってしまいました。
今、SunがMicrosoftを仮想敵国として使うのは、おそらくオープン・ソースの優位性を語るときに、クローズドなソフトウェアの代表としてWindowsを挙げる場合くらいでしょう(さすがに、Sunにとっての超重要パートナーであるOracleをオープンソースの敵としてダシに使うわけにはいかないでしょうから)。

で、ちょっと前にMcnealy氏のスピーチを聞いたときには、"people vs IBM Global Service"という表現を頻繁に使ったのでちょっとびっくりしてしまいました。
特に最近になり、Sunはサービス・プロバイダー・モデル(ユーティリティ・モデルと言った方がわかりやすいでしょうか)を強力に推進しています。
ユーザーが個別に独自システムを作るのではなく、サービス・プロバイダーが提供する標準的なコンピューティング・サービスを使うようにしましょうということです(そして、Sunはサービス・プロバイダーに対してサーバを売ることで収益を上げるということです)。
こういうパラダイムシフトが起きてるのは確かだと思いますが、それを普通に「ユーティリティ・コンピューティングの普及」と言わないで、「人民対IBMグローバルサービス」と言ってしまうのがSun流(というかMcnealy流)なんですよねー。
確かに、IBM Global Serviceは「ユーザーが個別に独自システムを作る」ことのお手伝いが主要な事業なのですが、もちろんユーティリティ・コンピューティング的なこともやってるわけなので、IGSを仮想敵国にするというのは必ずしも正確とは言えないのですが、やはりSunはとにかくインパクト優先ということでしょう。

投稿者 kurikiyo : 22:35 | コメント (0)

2005年03月18日

GPLライセンシーの義務がわかってない人がまだいるみたい

前の前のエントリーにも書きましたが、GPLの本質をまだわかってない人は結構多いのではと思います(特にベンダーの製品計画部門の人々など)。

「Motorolaなど13社にLinuxライセンス違反の疑い――GPLの「闘士」が指摘」という記事で、Linuxをネットワーク機器等で使用しているにもかかわらず、ソースコードを公開していない企業が多いという点が指摘されています。
#前々回のエントリーで触れた「Linuxカーネルの機能拡張をROMに焼いてこれはソフトではなく、
#ハードなので公開の義務はないとこじつける」のはやはり無理があるということのようです。

記事中で紹介されている、こういうGPL規約違反の告発を行っているプログラマーのHarald Welte氏の発言にGPLに関する誤解の根が集約されていると思います。

>究極の目標は、GPLがパブリックドメインでなく著作権ライセンスだという認識を高めていくことだ。

そうなんですよね。GPL=パブリックドメイン、つまり、Linuxのコードは(何の義務もなく)再利用して良いと何となく思っている(ないし、わかっていても義務を無視する)人が多いのが問題だと思います。

ところで、ちょっと上の引用文わかりにくいかと思いますが、こういうことです。
Linux等GPLベースのソフトの著作権は放棄されているわけではありません、しっかり著作権で保護されています。
一般に、著作権による保護というのはどういうことかというと、他人に使わせるか使わせないかを著作権者(ここでは、Linux開発者のコミュニティ)がコントロールできるということです。
普通の(非オープンソースの)ソフトウェアであれば、金を払えば使ってもOK、そうでなければ使ってはダメというコントロールがされてるわけですが、GPLの場合は、(拡張部分も含めて)ソースコードを開示すれば使ってOK、そうでなければダメということです(かなりかいつまんで説明しました)。

#今回の話も、知ってる人は知ってるという内容と思いますが、
よくわかってない人がたまにいる(特に、会社でのポジションが上の人)ので、注意喚起的に書きました。
#別にこのblogの読者の人がわかってないと主張して言うわけではないですから「自分はわかってるよ」
#という主旨のコメントをいただいても有効な議論にはならないと思いますのでよろしくお願いします。

投稿者 kurikiyo : 10:48 | コメント (0)

2005年03月16日

IBMのアセンシャルソフト買収

IBMがデータインテグレーション・ソフトウェア・ベンダーのアセンシャル・ソフトウェアを買収したという記事

アセンシャル・ソフトウェアという会社を知らない人も多いと思いますが、2001年にインフォミックス社がRDBMSビジネスをIBMに売却した時の残った方の会社です。
結局、4年かけて、インフォミック社の資産はすべてIBMの物になったということになりますね。

で、このデータ・インテグレーション・ソフトウェアとは、データウェアハウスを構築したりする時に社内のいろいろなシステムからデータを集めてきて統合するためのツールです。
あんまりたいした話ではないかと思うかもしれませんが、大企業において、数百ものシステムから何10テラバイトにも及ぶデータを集めて統合するというのは、ものすごく大変なプロジェクト(ある意味アプリケーション本体を作るよりも大変)なんです。
そういうことで、データ・インテグレーション・ソフトウェア市場の先行きもかなり明るかった(今のソフトウェア市場では稀有)のですが、やはりIBMは目ざといと言えましょう。

製品自体のできはよいですし、IBMはかなり積極的にサポートしてくれると思うので、あまり心配はないと思いますが、ひとつ懸念があるとすれば、この手のシステム統合製品は異機種混合(ヘテロジニアス)環境をサポートできる点に強みがあるということで、あまりIBM色が強く出てしまって、DB2の補助ソフトみたいになってしまうとかえって価値が減少してしまうという点でしょう。
過去におけるLotusの例のように、うまくブランドの独立性を管理できることを期待します。

投稿者 kurikiyo : 22:38 | コメント (0)

2005年03月13日

オープンソース(GPL)は都合のいいことばかりではないよ

#今回のエントリーはオープンソース系にちょっとでも詳しい方は何を今更の内容とは思いますが、念のため書いておきます。

「Red Hatクローン、相次いで襲来か?」という記事。

一般的にソフトウェアの世界で「クローン」というと、インターフェースや機能を他製品と一緒にした別製品のことを指しますが(Outlookクローン等々)、ここでいうクローンとは中身もそのまんまコピーということです。
オープンソース(GPL)の世界ではこれは合法なわけです。

GPLのライセンスでは、大きく言うと以下の3つが規定されています。
1.自由な再配布を認める(有料でも無料でも良い)
2.ソースコードを公開する
3.プログラムを拡張・変更したときはそのプログラムもGPLにしなければならない(要するに、自由な再配布を認めて、ソースコードを公開しなければならない)

この3の条件こそが、ビジネスの世界でGPLが使いにくいとされている最大の理由です。

RedHatは上場企業ですから、利益を上げて株主に還元しなければならないわけですが、自社が有料で売ったソフトを他者がコピーしてより安価に(ないし無料で)配布しても文句は言えないわけですね。

LinuxディストリビューターのIPOが続いたころ、株式市場は「第二のMicrosoftか」という期待の元にとんでもない株価をつけたわけですが、今ではピークの10分の1以下の株価になっています(これは当然で、ディストリビューターのビジネスモデルは(ユーザーを囲い込む)ソフトウェア・ベンダーのビジネスモデルではなく、サポート・ベンダーのビジネスモデルであるからです)。

最近は、Linuxをよりミッション・クリティカルな領域にも適用しようとする動きが盛んで、次世代メインフレームをLinuxでなんて話もありますが、そうなってくるとベンダーにとっては、Linuxに対して自社のミッション・クリティカルなシステムのノウハウを生かした機能強化を行うと、そのノウハウを一般に公開することになってしまうというジレンマが生じるわけです。
この点について某ベンダーの人と話したことがありますが「機能拡張部分をROMに焼いてハードウェアだということにしてしまったらどうか?」と言われたことがあります。
うーむ。違法とはいえないまでも、限りなく脱法行為に近いような気がしますが、どうなんでしょうか?

投稿者 kurikiyo : 13:06 | コメント (4)

2005年03月08日

ソニーの敗因について考える

ソニーの役員交代とその原因になった業績不振については既に数多くの場所で議論されてますので、今さらと言う気もしますが、
1.エンターテイメント事業とエレクトロニクス事業のシナジーが出せてない
2.自社独自仕様偏重(エコシステム軽視)
3.液晶、DVDレコーダー等のホット・テクノロジーへの投資遅れ
4.製品の品質(信頼性等)の問題を解決できてない
5.ユーザーのニーズを反映した製品開発ができてない
6.一部役員の発言に見られる傲慢さ
7.問題山積みなのに、なまじっかブランド価値はある(ように思っている)ため危機意識が低い

等々が問題の根であるのは言うまでもないことでしょう。

こうしてみると、1993年に累積赤字80億ドルと言う記録的赤字を出したIBM絶不調の時にすごく似ていると思いました(ソニーは大赤字というほどではないので、IBMよりはだいぶマシですが)。
一度大成功した企業が自らを変える力を失い、イエスマンの集合になっていき、顧客重視、イノベーション重視の精神を失っていき、結果的に業績を悪化させていくと言う典型的パターンと言えそうです(英語の言い回しで言うと"victim of its own success"(自らの成功の犠牲者)ということです)。

そう考えてみると、ガースナーによるIBMの再生はソニー再生のヒントにもなるかもしれません。
ガースナーがしたことを大きくまとめてみると、
1.徹底した顧客指向(「作ったものを売り込む」モデルから「顧客の欲しがるものを作る」モデルへ)
2.IBM分割を阻止(スケールメリットは重視)
3.オープン標準、デファクト標準の尊重(自社製品にこだわらない)
4.メインフレームの投資強化(顧客に価値を提供できている場合には自社ハードにこだわる)
5.サービスを含む全方位的ソリューションの提供、ただし、シナジー効果がでない事業は自社ではやらない
6.徹底したコストカット(特に、重複していたR&Dや製造開発の統合)
7.トップダウン主義(抵抗勢力は追放)

こんな感じでしょうか?
ひとつの典型的例は、OS/2に実質上引導を渡し、NT重視戦略をとったことでしょう。
顧客が求めているOSはNTであり、IBMはNTのサポートに徹したほうが顧客に与える価値は大きいと判断したからだそうです。

まあ、ここで書いたような話は、当然ソニー経営陣は百も承知だと思います。
自分としては昔の輝きあるソニーに戻って欲しいものだと願っています。

ただひとつソニーの特殊事情としては、コンテンツ提供会社とコンテンツ・デリバリー手段の提供会社が一緒になって意味があるのかという議論があります。
ちょっと状況は違いますが、Time WarnerとAOLの合併が必ずしもうまくいかなかったということもありますし。

たとえば、ITの世界での垂直統合モデルの例であるIBMは、インフラ系に関してはプロセッサから、サーバから、サービスまで垂直統合指向であるにもかかわらず、アプリケーション・パッケージ市場には進出してません。
中途半端にアプリケーション・パッケージを自社で販売すれば、SAPやOracle等の重要パートナー(IBMにとってみれば顧客)のビジネスと競合することになり、これらのパートナーは他社インフラに流れてしまいます。
「顧客と競合しない」これは重要なポイントです。
アプリケーション=コンテンツ、AV機器=インフラと考えれば、ソニーにおいても同じことが言えないでしょうか。

あともうひとつ企業カルチャーの問題もあると思ってます。
自分もほんのちょっとだけ経験がありますが、コンテンツ系企業のカルチャーはメーカーのカルチャーとは明らかに異なります。
一般に、M&Aが成功するか否かのポイントが最終的には企業カルチャーの問題に帰結することも多いようです。
映画会社とエレクトロニクスメーカーがひとつの企業グループにあることで、シナジーによるメリットよりもカルチャークラッシュによるデメリットの方が大きいのではという点は十分議論の対象になると思います。

投稿者 kurikiyo : 09:36 | コメント (0)

2005年03月01日

そろそろホットになってきたか:BAM

以前、ここで告知したイベントの受講者アンケートの結果が返ってきました。
昨年度を上回る集客でイベントとしては大成功でした。
もし、このblogを見て、このイベントに来たいただいた方がいらっしゃったら是非メール下さい。

さて、アンケート結果を見て、ちょっと意外だったのはBAM(ビジネス・アクティビティ・モニタリング)に対する注目度がかなり高かったということです。
BAMというのは簡単に言ってしまうといろいろなアプリケーションから発生するイベントを分析して、重要な情報があった時にリアルタイムでアラートを上げてくれるシステムのことです。
従来、情報システムをトランザクション処理(OLTP)系と意思決定支援系に分けるのが普通だったと思いますが、BAMは両者の間のギャップを埋めてくれるシステムです。
OLTP系の分析処理を強化したものと言ってもよいですし、意思決定支援系のリアルタイム性を強化したものと考えてもよいでしょう。

コンセプト的には昔からある話ですが、やっと世の中の機が熟してきたということでしょうか。

BAMの話に限らず、「コンセプト的には決して新しくないが、世の中が追いついてきて今まさにメインストリームになりつつある」段階にあるテクノロジーがビジネスチャンスとしては一番大きいと言えるでしょう。
自戒もこめてなんですが、あまりにエンジニア的な視点だけで市場を見て、世の中の先を行き過ぎて失敗するパターンだけは避けたいですよね。

投稿者 kurikiyo : 12:27 | コメント (0)

2005年02月18日

オープン・ソース・ライセンスの整理はありがたい

OSI(Open Source Initiative)が定義する50種類以上あるオープンソースライセンスを整理するというお話(元記事翻訳記事)。

各企業が自社に都合のよいライセンス体系をどんどんOSIに対して登録してしまう現状は問題あるといわざるを得ません。
50種類すべての内容を理解するだけでも大変です(OpenSolarisのCDDLとGPL問題のエントリーの続きが全然書けないのもそのせい(と言い訳))。

昔からあるジョークで"the good thing about standards is there are so many of them to choose from"(標準のいいところは選択肢がたくさんあるところ)というのを思い出してしまいます(一応説明しておくと、ひとつに決めるのが標準なのに、実際には多くの標準があるということを皮肉ったジョークです。)

こういう状況はMicrosoft等の反オープンソース勢力に付け入る隙を与えてしまう点でも問題でしょう。

どうやら3種類程度にまとめる予定のようですが、1)ソースコードの開示、2)自由な再配布、3)自由な変更という要件は満たされないとさすがにオープンソースとは呼べないので、改変したソフトを商用ソフトにしてしまっていいか(要するにGPL型かApache型か)、改変したソフトを集中管理するかあたりでバリエーションをつけそうな気がします。
ここで、特許の扱いをどうするかという要素が入るとまた一気にややこしくなってしまいそうですが。

投稿者 kurikiyo : 23:24 | コメント (0)

2005年02月13日

Sunのオープンソース戦略とコミュニティ

ジャスト-松下事件やblog画面設計の変更等々で、全然触れる時間がなかったSunのSolarisオープンソース化のお話です(やや賞味期限切れかもしれませんが)。

SunがSolarisのオープンソース化に踏み切った理由は明らかで、開発者のマインドシェアがLinuxおよびその関連オープンソースコミュニティへと移っていくのを防ぐということでしょう。
遅きに逸したとは言えますが、今からでもやらないよりはましとは言えます。

"Developers don't buy things. They join things"とはSun社長のJonathan Schwartz氏の言葉。
ちょっと日本語に訳しにくいですが、意を汲むと「どんなに良いツール製品を作っても開発者はあまり喜ばない、本当に大切なのは適切なコミュニティを作ってあげることだ。」ということでしょう。
そして、優秀な開発者コミュニティの存在こそがソフトウェア製品の成功の最大推進要素であり、開発者コミュニティの支持を失ったソフトウェアは(どんなにテクノロジー的には優れていても)市場で成功することが困難になることは歴史が証明しています。

Solarisのオープン化はSunの重要無形資産である開発者コミュニティの維持のためには必須であったと言えるでしょう。(社外のコミュニティが会社の「資産」というのもおかしいですが、「資産」をキャッシュを生み出す潜在力を持っているものと定義すれば、まさに開発者コミュニティこそが資産といえるでしょう。)
ただ、難しい点は、コミュニティの構築というのは時間を要するものだということです。
Linuxの開発者コミュニティも一朝一夕で作られたわけではありません。
また、あるソフトウェアを中心としたコミュニティがいったんできてしまうとそれを崩すことはきわめて難しくなります。
Solarisをオープン化したからと言って、Linuxコミュニティに流れた開発者が直ちに戻ってくるかというと難しいでしょう。
ここで、Sunの1600件以上の特許公開という戦略が生きてくるわけです。

この後、数日にわけて、Sunのこの新戦略について考えていきたいと思います。
結構議論を呼ぶ話になるかもしれませんので、積極的なコメント、トラックバックお願いします。

投稿者 kurikiyo : 21:52 | コメント (0)

2005年02月11日

Sun CTOのblog始まる

以前、SunのPresident/COOのJonathan Schwartz氏のblogについて紹介しました。

もちろん、Sunに都合の悪いことは書いてないのですが、Sunという会社を離れた読み物としてみても、いろいろと興味深い考察がなされています。

本当は日本サンで翻訳してくれるとよいのですが、ちょっとボリューム的に厳しいでしょうね。
特に興味深いトピックが書かれた時は、できるだけこのサイトでも概要を紹介していこうと思います。

さらにもうひとつ、Sunのエグゼクティブが書いた興味深いblogが、CTOのGreg Papadopoulosのblog
Papadopoulos氏はSunのR&D戦略を全面的に仕切っている重要人物です。
彼のオピニオンもSunという会社の戦略うんぬん以上に価値のあるものだと思います。
まだ始まったばかりでエントリーは少ないですが、こちらもできるだけ紹介していく予定です。

最新のエントリーでは、CDDLとGPLの問題について書いてますが、ちょっと大ネタなので、私もしばらく考えてまとまってからここに書こうかと思っています。

#ところで、Papadoupolos氏のblogデザインすっきりしてていい感じです。
#文章中心のサイトだと、これくらい字が大きいほうが見やすいかも。
#このサイトでパクってみようかな^_^;

投稿者 kurikiyo : 20:17 | コメント (0)

2005年02月02日

Sunの発表の中心はユーティリティサービス

本日、サンタクララのSun本社にてプレス向けの発表会があったわけ
ですが、なんとその中身はグリッドを含むユーティリティコンピューティング
サービスの発表でした(OpenSolarisの話しは全くなしです)。
内容は、ほぼこの記事で網羅されてます。

方向性としては正しいと思いますが、結構課題はあります。

たとえば、1ギガバイト当たり毎月1ドルと言うプライシングのディスク
容量の提供ですが、外部のサービスプロバイダーが提供するディスクを
使うと言うアイデアは、SSP(ストレージサービスプロバイダー)という
呼び名で数年前にも話題になりました。実際には、あまりSSPは普及しま
せんでした。大きな理由はセキュリティだったといわれています。本当に
重要なデータはさすがに社外で管理はさせないというのが大手企業の
考え方というのは日米変わらなかったようです。

また、サービスにしても、今のところは、ほぼ科学技術計算向けオンリー
のソリューションですから市場としては限定的でしょう。

COOのJonathan Schwartz氏は、自分のセッションで
「グリッドは科学技術計算ソリューション」ということを明言してました。
他の多くのベンダーは、あたかもグリッドが今あらゆるコンピューティング
ソリューションに適用可能であるかのように言ったりするんですけどね。
正直な人です。

#Jonathan Schwartz氏のblog、たまに読んでますがなかなか面白いです。
#コメントもトラックバックもできないので、これをblogと呼ぶべきかという
#議論はありますが。

方向性は正しいのですが、これらの戦略がSunの業績にどの程度貢献するか
は何とも言えないところです(こういう話については、証券アナリストの人の方が
敏感ですから、すぐに株価に反映されるでしょう)。

投稿者 kurikiyo : 10:54 | コメント (0)

2005年02月01日

Sunの特許問題続報

前回、えらそうなことを書きましたが、そこで書いた問題点は
news.comの記事でほぼまとめられていますね
(cnet日本語版での翻訳は、このエントリー執筆時点でまだのようです)。

要は、Sunは「特許権を行使してLinuxコミュニティを訴えることはしない」
と口では言いつつ、文書ではそのあたりの法的ポジションが明確に
されていないということです。

Sunがちょっとずるいと思えるのは、
特許を「オープン・ソース・コミュニティに公開する」という言い回しで、
普通はオープン・ソース・コミュニティ≒Linuxコミュニティと思ってしまいそう
ですが、この分脈では、オープンソース・コミュニティ=CDDLで公開された
オープンソースのコミュニティ≒OpenSolarisのコミュニティという意味で
使っている点ではないでしょうか?

明後日の記者会見は私が質問しなくても他の記者からの質問が殺到する
ことでしょう。

投稿者 kurikiyo : 11:23 | コメント (0)

SunとIBM:気前がいいのはどっち?

ちょっと前の話になりますが、
サンがようやくSolaris OSをオープンソース化すると共に、1600件以上の
特許をオープンソースコミュニティに寄贈しました(参考記事)。
オープンソース化の話しは既にいろんなところで議論されてますので、
ここで、特許の寄贈の方の話を。

プレスリリースでは直接的には言っていないですが、IBMが同様に500件の
特許を寄贈していることから「SunはIBMよりオープンソースコミュニティを
重視してますよー」とでも言いたげな感じです。

しかし、どうやら、IBMの特許寄贈の話しと今回の話は同列に考えること
はできなさそうです。

IBMが寄贈した特許がLinuxを初めとする多くのオープンソースソフトウェア
(OSS)で利用可能であるのに対して、Sunの場合にはCDDL(Common
Development & Distribution License)で公開されたOSS、要するに
実質的にはOpenSolarisの環境でしか利用できないのではという疑念が
あるのです(既にSlashdot.jpでは議論されてますね)。

このあたり、いつもクリアなメッセージを発信するSunにしては珍しく、
プレスリリースの記述はかなりあいまいになっています。

おそらく、2~3日中にこの点に関する明確な情報をこの場所で書けるかと
思います。

それは、私が今サン本社に取材に来てるからです。さすがに業務上の
秘密に関することは書けないですが、プレスの人向けの話であれば、
(注:一部のセッションはプレスと共同)ここに書いてしまうつもりです。

投稿者 kurikiyo : 04:37 | コメント (0)

2005年01月27日

エコシステムの概念を理解するためのオススメ本

「エコシステム」という概念を理解するために重要な考え方がコーペティションというものです。
co-opetition=co-operation+competition
つまり、協業と競合が同時に発生している状況で、エコシステムにおいて必然的に発生する状況です。
今日のIT業界においてはどのベンダーの間においても、コーペティションが発生していると言えます。

多くの人がこのようなコーペティションの考え方を直感的に理解していると思うのですが、このへんを理論的にまとめたのが"Co-Opetetion"という本です。
1996年出版のもう古典とも呼べそうな本ですが、最初に読んだ時はかなり目からウロコでした。
最近、また、ちょっと読み直してますが、非常にためになります。

「コーペティション経営」というタイトルで翻訳されたのは知ってましたが、今調べると文庫本化されて安くなっているようですね。
例によって翻訳本は読んでないので、翻訳の質についてはコメントできませんが、amazon.co.jp
の読者コメントによれば翻訳も問題なさそうです(元の英語もかなりわかりやすいですし。)
未読の方、オススメです。

投稿者 kurikiyo : 08:53 | コメント (1)

2005年01月26日

エコシステムの逸話

昨日の話で「エコシステム」という考え方が出てきたので、この機会にこういうお話を。

IT業界に身を置く人ならエコシステム、つまり、自然界の生態系のように競合他社と時には協力し、時には競合する共生関係を築くことこそが市場を大きくし、結果的に多くの人をハッピーにするということは敢えて説明するまでもないと思います。

ところが、依然として「ビジネスとは戦争のようなものであり、相手を徹底的に叩き潰すことが目的だ」という前近代的な考え方を持っている人もいるようで、そういう人たちにエコシステムの重要性を納得させるためのたとえとして以下のお話しはどうでしょうか?
(大昔にTVで見た実話をベースにしています。)

ある地方都市の駅前商店街は客が減少して、さびれる一方でした。
商店主たちは危機感を持っていました。
そこに、大型スーパーが駅前に進出してくるという話が持ち上がりました。
「今でさえ厳しいのに大型スーパーなんか進出してきたら客を全部とられてしまう」
と商店主たちは徹底した反対運動をしたので、スーパーは駅前への出店をあきらめ、
郊外の街道沿いに駐車場付きの大型店舗を建てました。
住民たちは駐車場のない駅前よりも街道沿いの店舗で買い物をする方が便利であることに気づき、
買い物は車で全部街道沿いで済ませるようになり駅前商店街はますますさびれることになりました。
「こんなことならスーパーを駅前に誘致しておけばよかった。」と商店街の人は嘆きましたが、時既に遅しでした。

スーパーに駐車場を作ってもらい駅前商店街の客も使えるようにする、大量生産の安売り品はスーパーで売り、特徴ある商品は商店街で売る等々、いくらでもエコシステムを作る手段はあったのに、その可能性を自らつぶして失敗してしまった例ですね。

デジタルテクノロジーから生まれた新しい競合に対して、この商店主たちのように顧客無視で既得権を主張するだけの対応をとって失敗していくケース、これから先、結構出てくるのではないかと思います。

投稿者 kurikiyo : 19:38 | コメント (0)

2005年01月22日

置き薬商売はアコギなのか?

2005/1/18の記事トラックバックいただきました。

メインフレームが「汎用機ベンダーの過去の行状が余りに問題多いので、こういう報道になるのではないでしょうか」というご指摘です。

確かにメインフレームが売り手市場だったころは、ユーザーの不満は大きかったでしょうね。
自分もそれは否定しません。
なので、「問題提起としては正しい」と書いてます。

不満なのはNHKの報道姿勢がちょっとアンフェアーなのと、視聴者に特定のイメージを植えつけようと言う姿勢が見られたということです。
別にメインフレーマの肩を持ってるわけではないですよ。

ところで、本題ですが、清貧生活さんが、
>昔、或汎用機メーカーが顧客に対し「貴所の計算機の処理能力を2倍に
>アップします」というサービスを宣伝>したので、何をするか見ていたら、
>既設計算機から、>とある部品を取り外しただけ、という事がありました。
>こういう事をしているから、汎用機は不透明だと言われるのです。

と指摘されてます。

たぶん、デチューンしたモデル(チューンモデルの逆、わざと性能を落としたモデル)を元に戻したと言うことでしょうね。メインフレームの世界では普通です。
マイクロコードに空ループを入れてわざと性能を落とすこともあります。
この時はパーツを入れ替えなくても、空ループをはずしたコードをロードするだけで性能が上がります。

私も直接は知らない大昔の話ですが、機械式のラインプリンタで歯車を1個取り替えるだけで高速モデルにアップグレードできる仕組みになっていたこともあったらしいです。

ユーザーの立場から見ると、ハードは同じなんだから最初から最高の性能を発揮できるようにしといてくれよと思うのが当然かもしれません。

しかし、こういうことをやっているのはメインフレームの世界だけではありません。

Unixサーバの世界でも最大構成で納品しておき、一部のプロセッサだけをオンライン(使用可能な)設定にしておいて、ユーザーからアップグレードの要求があった時はコマンド投入だけでプロセッサ数を増やせる(増やした時点から追加料金が発生する)という売り方があります。
キャパシティオンデマンド(CoD)とかユーティリティ・プライシングとか呼ばれる方式です。

これも、「最大構成のマシンを納品してるんだったら、ユーザーが何しようと勝手だろう。最大構成で使わせろ。」と思えるかもしれませんが、「ベンダーはハードを売っているわけではなく、ハード上で稼動するシステムが提供する価値を売っているので、物が同じでも性能によって価格が上下するのは当然」という
ロジックも成り立ちます。

また、ユーザーにとってみれば使った資源の分だけ金を払えばよいので余裕をもたせて過剰なアップグレードをする必要もないですし、パーツの納品が必要ないですから、必要なときに迅速にアップグレードできるというメリットもあります。

「置いとくだけでは料金は発生しない、使った分だけ払う」という発想は富山の置き薬にたとえることができるでしょう。

気分的に納得できない人がいるのは当然と思うのですが、ビジネスのやり方としてはそんなにアコギではないと思います。

投稿者 kurikiyo : 11:07 | コメント (0)

2005年01月18日

汎用機ベンダーを悪者扱いのNHKクローズアップ現代

先ほど見たNHKクローズアップ現代、「地方自治体 対 ITゼネコン」というタイトルで、富士通、日立、NECというメインフレームベンダーが独占している地方自治体の市場でオープン化の動きがというお話でした。

ITゼネコンとはシステムのインフラ提供、運用、開発まで特定のメインフレームベンダーが独占しており競争入札が機能しておらず、自治体側が法外な値段を払わされているという状況を表したもの。

確かにこういう状況は、ベンダーの立場から言えばなんともおいしいビジネスなですが、IT産業全体、さらには、日本経済全体の観点からは決して望ましいものではありません。
どんどん競争入札を取り入れて、オープンな市場を作っていく必要があることには異論がありません。

ただ、番組の構成上、汎用機(メインフレーム)にすると)プログラムのソースコードが公開されず自由競争ができないので高くなる、一方、オープン系サーバにすると(開発業者の)競争入札ができて安い
みたいな単純化されすぎたロジックになっていたのは気になりました。

アプリケーションの仕様を公開するかどうかは、開発請負の契約の問題であって、汎用機かオープン系かの話ではないですよね。
汎用機でも仕様を公開して追加開発部分を競争入札することはできます。
オープンシステムでもたとえばJavaのクラスライブラリの仕様が非公開だったら追加開発分の競争入札は不可能に近いでしょう。

また、汎用機でも1円入札とまではいかないにせよ、買うときに思い切り値切っておいて、ベンダー側が運用や保守で回収しようとすると文句を言うという可能性もなきにしもあらずです(番組では買ったときの値段についてはまったく触れてません。)

あと、スタジオには汎用機の例としてかなり大型のマシンとサーバの例としてラックマウントサーバの1台が並べて置かれていました。
何の説明もなく見た人は、「汎用機というのは同じ性能でも馬鹿でかいものだなー」という印象を持ったことでしょう。

さらに、NHK的にありなのでしょうか?
NECの汎用機からサンのサーバへ(開発はSAMSUNG)移行した佐賀市の例を思いっきりメーカー名を放送していました。
宣伝になる場合は企業名いっさい出せないんじゃなかったんでしたっけ?
#「マツケンサンバ」ですら、固有名詞が入ってるのでだめという説もあったくらい
#ですし(プレイバックパート2の歌詞の「真っ赤なポルシェ」が「真っ赤な車」に
#差し替えられたのは有名ですよね)。

問題提起としては正しいですし、コメンテータの安延申さん(MITI出身、現スタンフォード日本センター理事)のコメントが非常に適切かつわかりやすかったのは良かったですが、NHKなんだから報道の公正さという点でもう少し気をつけてほしかったという気がします。
特に、NECのオープン系を推進している部隊の人は一言言いたいでのはないでしょうか?
(この番組だけ見ると、NECというのは高い値段でメインフレームを売っているだけの会社に見えてしまいそうです。)

投稿者 kurikiyo : 20:38 | コメント (0)

メインフレームも捨てたものではない+OOPの適用性?

日経ITProの記事(元記事は日経コンピュータ)
「NECに衝撃、東日本銀がオープン勘定系の採用を白紙撤回」
NECのUnixベースの勘定系システムであるBankingWeb21の採用を
取りやめ、現行の富士通メインフレーム上のシステムの利用を継続する
ことにしたというお話です。

この話、結構いろいろな教訓を含んでいると思います。

まず、第一に、メインフレームは最終的には新しいシステムに移行せざる
を得ないとしても、既に稼働中のミッション・クリティカルシステムの移行は
そう簡単にはいかないということ。

次に、大規模システムの安定稼動という観点からはメインフレームは捨てた
ものではないということ。

この辺については、過去にITMediaにコラム
「メインフレームのすごさについて技術的に解説しよう(1)(2)(3)
に書きました(このコラム記事は結構評判がよく、今でも「あの記事は良かった」
といわれることがあります)。

そして、最後に、一般的なビジネス・アプリケーションにおいて、OOPのビジネス・
ロジック部分への適用は結構大変ではないかということ。BankingWeb21は
ソフトウェア部品5万個から構成されてるそうですが、ちょっと粒度が細かすぎる
ような気がします。少なくとも、OOPにしたから部品が再利用できるので開発が
迅速にできるようになるというロジックはこのケースでは当てはまってないようだ
と言えるでしょう。
もう少しSOA的なアプローチの方が向いていたのではと思いますが、これはあくまでも
外野からの想像ですから、現場の人にしかわからないいろいろな事情があるのかも
しれませんが。

投稿者 kurikiyo : 11:00 | コメント (0)

2005年の重要トレンド(4)新しい考え方ではないSOA

日経コンピュータ誌のベンダートップへのインタビューでは、
今年の重要トレンドとしてSOA(サービス指向アーキテクチャ)
を挙げてる人も多かったです。

SOAを難しく考えすぎている人もいると思いますが、要は、
ソフトウェアを部品化して機能をできるだけ再利用する、
一から開発しないで既存のサービス(ソフトウェア部品)を
活用するという昔から言われている当たり前の考え方です。

オブジェクト指向プログラミング(OOP)と何が違うのかと思う人も多い
思いますが、ソフトウェアの部品化という基本パラダイムには大きな
違いはありません。ただし、OOPは継承関係による設計時の再利用
にフォーカスが当たっているのに対して、SOAは実行時による動的な
結合にフォーカスが当たっているという点が異なります。

また、OOPは、どうしても部品の粒度が細かくなりがちですが、SOA
はこの辺わりとルーズで、アプリケーション丸ごとひとつの部品と捕らえる
こともできます。

SOAの登場によって、OOPが不要になったというわけではありません。
OOPはひとつのプログラムの中での部品化パラダイムとして今後とも
重要です。だいたい、GUIのプログラムは必然的にOOPになってしまいますし。
ただ、複数のアプリケーションをまたがった連携などのよりスコープの大きい
領域ではOOPはちょっとつらいです。あまりにも厳密性が高すぎて、
現実のビジネス環境での適用は難しいと言えます。SOAは、よい意味で
ルーズなところがあり、主流のビジネス環境にも適用しやすいと言えます。

「コンポジット・アプリケーション」を2005年のキーワードに挙げてる人もいますが、
「コンポジット・アプリケーション」はSOAの一形態(複数の既存アプリケーション
を組み合わせてひとつのアプリケーションとして機能させる)ということですから、
考え方としてはSOAと一緒にしてしまってよいかと思います。

ちょっと長くなってしまったので、SOA実現上の課題等についてはまた後日。

投稿者 kurikiyo : 00:02 | コメント (0)

2005年01月17日

メガネはウェアラブル機器になるか

急に思い出した話ですが、
昨年のサンマイクロシステムズの業界アナリスト向けブリーフィングに
おける同社のCTOグレッグパパドポロス氏のスピーチ(ややうろ覚え)

「ウェアラブルコンピュータを実現する日用品としては、
腕時計は当然として、メガネも魅力的だ。特に、ヘッドアップ
ディスプレイ向けには有効だろう。こういう新しいウェアラブル
で最も先進的な地位にいるのはどのベンダーだろうか?
デルではないだろう。誰もデルブランドのメガネなんて買おうと
思わない。やはり人々が買うのはサン・ブランドのメガネだ。
商品名もサングラスでばっちりだ(ここがオチです)。」

なんでこんな話を急に思い出したかというと
「米Motorolaがサングラス・メーカーと提携、Bluetooth対応ウエアラブル機器開発へ」
という記事を読んだから。
携帯電話機能などがメガネに組み込まれるとかなりおもしろそうです。
自分はどうせメガネ必携なのでちょっと楽しみですね。

投稿者 kurikiyo : 22:46 | コメント (0)

2005年の重要トレンド(3)無線タグは大いなる実験の年

今、ITの世界で最もホットなバズワードのひとつが無線タグ
(RFIDタグ)であることに異論のある人はいないでしょう。

無線タグテクノロジー長期的な影響がきわめて大きいのとは裏腹に、
現状の無線タグに対しては過剰な期待があると言わざるを得ません。

具体的には、無線タグのコスト面での課題が無視されがちな
点、そして、実現に数年はかかりそうなソリューションが、
今まさに実現可能であるかのように喧伝されがちであるという
点です。
まあ、これはあらゆるホットなバズワードにつき物の現象
(要するにバブル)ですが。

コストについて言えば、経済産業省主導の響プロジェクトにより
今年には無線タグのコストが5円にまで下げられると言われてます。
仮にこれが実現したとしても、実際にタグを適切なパッケージに封入し、
商品につけるにはそれなりのコストがかかります。そもそも、どんなに
無線タグのコストが下がったとしても、バーコードより安くなると言う
ことは考えにくいです。

要するにバーコードでできることを無線タグで実現しただけでは、
コストの上昇と言う結果しか得られないことになります。

残念ながら、今、世の中で言われている無線タグの「成功事例」の中にも
こういうケースがないとは言えません。

もちろん、電波法改正によりUHF帯のタグの利用が可能になる点、
EPCGlobalの新標準いわゆるGen2が、たぶん夏ごろにはISO標準と
一体化できそうな点などの無線タグの普及を推進する要因は
どんどんでてきてます。

しかし、全体としては、2005年は無線タグ大いなる実験の年、という
ことであまり過剰な期待を持たず長い目で見ていくことが重要でしょう。

投稿者 kurikiyo : 16:46 | コメント (0)

2005年01月16日

2005年の重要トレンド(2)ライタブル・ウェブ

blogの普及の加速に関しては改めて言うまでもないでしょう。
news.comで、blogをキーワードでサーチすると、ほとんど毎日
ヒットする記事があることがわかります。
この状況は日米ともに2005年も続くと思います。

インターネット普及期に、個人のWebサイトが急増したのと似た
状況ですが、ただ、blogの場合は、画面のフォーマットとかの
オーサリングはほとんど気にせずにコンテンツだけを気にして
いけば良いという点で個人ベースの情報発信の敷居がますます
低くなったということです。

Wikiもblogほどではないですが、活用が進んでいます。
Wikiの場合、インターネット上で展開するにはちょっと自由度が
高すぎて難しい点もあると思いますが、企業内で閉じた環境で
使うのであれば結構有効なツールになると思います。

blog+Wikiの組み合わせが、高機能の有償グループウェア製品
よりも有効に機能するケースも多いと思います。

blogとWikiの動きは、ライタブルWebへのムーブメント
とまとめられると思います。利用者がどんどん情報を書き込み可能な
Webということです。

ライタブルWebには従来型の掲示板も含めてもよいかもしれません。

ライタブルWebから直接的に多大な収益を得ることは、現段階では
難しいと思いますが、情報発信の方式の変革を推進することは確実
であり、長期的にはメディア産業を中心として、ビジネスの世界にも
大きな影響を与えるでしょう(初期のWebも、こんなものがビジネスに
なるのか?と言われていたわけですし)。

投稿者 kurikiyo : 21:07 | コメント (0)

2005年01月15日

2005年の重要トレンドは?(その1)

年初にメディアの人やベンダーの人と話をすると、
「今年は何が来ますかねー?」というのは必ず聞かれる質問です。

自分の専門であるエンタープライズITの世界では、今年はあまり
派手な動きはない(ベンダーのM&Aを除く)のではと思ってますが、
遅ればせながら、今年の重要トレンドを考えてみました(たぶん3回連載)。

トレンド1.基本中の基本に立ち返る動き
最近、ソフトウェア・テストに関する本が売れ始めているようです(参照記事)。
また、出版者の人の話を聞くと、プロジェクト・マネージメントの本も
結構売れてるるようです。雑誌の大手ベンダーCEOへの年初インタビューでも
今年の重要トピックとして、プロジェクト・マネージメントやITIへのROI
(投資効果)などを挙げている方が目立ちました。
これらのトピックは敢えて今重要というほどのない、昔から当たり前すぎる
ほど当たり前の考え方です。

今年は、こういう当たり前のことを当たり前にやるべき年と言えるかもしれま
せん。適切なテストによりソフトウェアの品質を上げる、適切なプロジェクト
マネージメントによりリスクの低い開発を行う、IT投資はその効果を分析した
上で行うというようなことです。

ITバブルで浮かれていた時代への反省と言えるかもしれません。

ベンダーであれ、エンジニアであれ、こういう当たり前のことをちゃんとできる
底力を持っているところが勝利するというのが今年ではないでしょうか。

投稿者 kurikiyo : 10:05 | コメント (0)

2005年01月13日

2004年の10大ニュース?

なぜか、今年はWebメディア等で昨年のIT10大ニュースの記事を読まないような
気がしますけど気のせいでしょうか?

なので、自分でちょっと考えて見ました(順不同)。

1.IBM PC事業売却
2.OracleのPeoplesoft買収
3.iPodブームでApple業績絶好調
4.個人情報漏洩事件相次ぐ
5.blogブーム
6.googleのIPO
7.SunとMicrosoftの和解
8.OSSとソフトウェア特許をめぐるごたごた
9.MicrosoftとEUの独禁法問題続く
10.韓国の躍進

資料を見ないで書いたので、重要なのが抜けてるかもしれないです。
(肝心なのを見落としてたら、記憶力の減退を世に公言するようで
恥ずかしいですね。)

こうしてみると、昨年は業界のコンソリデーションが中心的で、
あまりポジティブな動きはなかったと言えます。今年も、少なくとも
前半はこういう感じで地味な展開が続くのではと思ってます。

投稿者 kurikiyo : 12:12 | コメント (0)

2005年01月09日

CES(コンシューマエレクトロニクスショー)に思う

今、ラスベガスでInternational CES(コンシューマエレクトロニクスショー)が
開催されているのはご存知だと思います。
Microsoft、Intel、HPなどのIT系メーカーも基調講演や出品にかなり力を
入れており、盛況のようです。

IT系のトレードショーといえば、一昔前はCOMDEXだったわけですが、去年は
開催中止。「延期」と言ってますが、雑誌の「休刊」と同じで実際には撤退
ということでしょう。IT産業界のフォーカスが従来型のPCの世界から、家電も
含めた新しい世界へと移りつつあることの象徴と言えるでしょう。

CESについては多くのWebメディアでカバーされているので、日本にいても
多くの情報が入ってくるわけですが、やはり現地に実際に行って熱気を
感じるということは、どんなにネットが発達しても必要なことと思います。
来年のCESは是非自分も行って見たいと思ってます(会社のOKが出なければ、
自腹ででも行きたいくらい)。

ところで、IT業界という点から興味深いのは、HPがかなり家電領域に力を
入れているという点。CESでは、カーリーフィオリーナさんも基調講演してます。
日本では、HP=エンタープライズの会社というイメージが強いですが、
米国ではプリンタの導入ベースがありますので、デジタル家電に進出する基盤は
充分にあります。

これと対照的なのがIBMで、個人用プリンタからもPDAからもPCからも実質的に
手を引いてしまいました。つまり、エンタープライズITの世界から家電領域、
消費者領域に進出するための手立てを自ら放棄しているということになります。
この領域は自分の得意分野ではないからパートナーにお任せするという戦略と
言えます。

家電の領域に積極的に進出するHPと家電から距離をおくIBMの戦略は対照的
と言えます。どちらの決断が正しいのか(それとも両方とも正しいのか、ひょっとする
と両方とも間違ってるのか)を判断するためにはもう少しの時間が必要でしょう。

投稿者 kurikiyo : 13:01 | コメント (0)

2005年01月04日

日経ITプロフェッショナルに寄稿

日経ITプロフェッショナル1月号の特集「鬼に金棒のマーケティング力」の
第3部「技術とビジネスモデルのライフサイクルを知る」に寄稿しました。
(現時点では印刷媒体のみ)

テクノロジーのライフサイクルと採用戦略みたいなお話です。
他のパートがわりと正当なマーケティングのお話なので、私の記事
だけ浮いてるかなという気もしますが、中身的にはまあ面白いのではないかと。

第2部はボスコンの八橋さんが書いているのを本が出て初めて知りました。
私の分も力を入れて書いておいてよかったです(普段は力を入れてないという
わけではないですが)。

投稿者 kurikiyo : 14:51 | コメント (0)

2005年01月03日

ポケットの中の排気ガス

MITが発行しているTechnology Reviewという雑誌があります。
中身的には、サイエンスというよりはエンジニアジンリング、つまり、もうすぐ
商売のタネになりそうなテクノロジー情報のごった煮的内容で、MITが
作っている以上、いいかげんなことは書いてません。

大部前に廃刊になってしまったRed Herringにもちょっと似てます(Red
Herirng誌と提携したLOOPという雑誌が日本で出てましたけど、これも
休刊中ですね)が、これらの雑誌がどっちかというとビジネス系人向けの
テクノロジー雑誌というのに対して、Technology Review誌はわりと
ピュアに面白いテクノロジーを追求しているというところがあって、理系
魂をくすぐられるところがあります。

日経BPが日本語版を作るという話があって、1年ほど前に、日本語版の
サンプルが送られて来ましたが、どうやらお蔵入りになってしまったようです。
(確かに広告は取りにくそうな内容ではあります)。

自分的には、単に知的興味の対象としても、プレゼンの時のつかみネタと
しても貴重な情報源で、毎月、隅から隅まで読む数少ない雑誌のひとつと
なっています。

Webサイトでも、代表的な記事は読めるようなので、英語が苦にならない人は
是非除いてみることをオススメします。

最近面白かったのは、マイクロエンジンというテクノロジーの記事
(残念ながら、今は有料購読者しかアクセスできないかもしれません)

従来の電池、さらには燃料電池に代わる電源として、アルコールなどの燃料を
超小型の内燃機関で燃やして発電しようという発想です。確かに効率という意味で
は最高ですが、携帯電話の中でガスタービンが回っているというのもすごいですね。

「このテクノロジーは排気ガスを排出するのでポケットの中に入れておくような機器には
向かない」なんてことが書いてあります。技術的な課題は多そうですが、もし実現すれば
携帯情報機器の最大の課題のひとつである電源の問題がクリアーされることになる
かもしれません。

この話をあるWebメディアの人にしたら「このテクノロジーが普及したら、絶対、触媒を
はずしてチューニングするとかいう人が出てきそうですね」と言ってました。
本当にありそうでちょっと怖いですね。

投稿者 kurikiyo : 23:14 | コメント (0)

2004年12月25日

"software as a service"という言葉の意味

いったん理解してしまえばそうでもないのですが、
ある技術用語を理解する過程において障害となる要因のひとつに
ひとつの言葉が複数の意味を持つことがあるでしょう。
いわゆるオーバーローディングという問題です。
「オブジェクト」とか「アーキテクチャ」はその最たるものでしょうが、
「サービス」という言葉もあまりに多くの意味を持ちすぎていると思います。

保守、開発、サポート等々の「労務の提供」という意味のサービスは自明
でしょう(日本語のサービスには「無料」というニュアンスが入りがちなの
がちょっとやっかいですが)。

これ以外には、SOA(サービス指向アーキテクチャ)やWebサービスにおける
サービスが重要キーワードになってます。この場合の「サービス」とは、
中粒度のソフトウェア部品と考えればわかりやすいでしょう。Webサービスの
概念が中々浸透しなかったひとつの理由にサービスという言葉のニュアンス
が伝わりにくいということがあったと思います。XML-RPCとかグローバル
コンポーネントとでも呼ぶべきだったと考えています(この辺については昔から
書いてます)。

そしてさらにもうひとつのサービスの意味としてASP(アプリケーション・サービス
プロバイダ)におけるものがあります。この場合は、アプリケーションそのものを提供
するのでなく、その機能を(多くの場合従量制料金で)提供するというニュアンスが
あります。

ややこしいのは、"software as a service"(サービスとしてのソフトウェア)と言った
時に、2番目の意味の場合と3番目の意味の場合があるということです。要するに、
ソフトウェアを一枚岩で作るのではなく、部品の組み合わせてとして作りましょうという
考え方、と、ソフトウェアのバイナリをユーザーに売ってユーザー自身のインフラで
稼動するのではなく、プロバイダのインフラで稼動するソフトウェアの機能を利用する
ようにしましょうという関連はしてますが、独立した2つの考え方を表しているという
ことです。

さらにさらにややこしいのは、ASPにおいてもアプリケーション全体の機能だけ
ではなく、ソフトウェア部品単位で提供するという動きが大きくなっていることが
あります。

この辺を誤解したまま議論しているといつまでたっても話が収束しないという
ことはよくある話なので、"software as a service"という言い回しは結構注意
して使った方がよいと思います。

3番目のサービス(ASPにおけるサービス)の意味を明確化する場合には、
サブスクリプション・モデルと言った方が誤解が少ないかもしれませんね。

投稿者 kurikiyo : 23:17 | コメント (0)

2004年12月16日

ベリタス買収の影響は?

IBMのPC事業売却と来て、オラクルのピープルソフト買収と来たら、
次はシマンテックによるベリタスの買収です。

前2者は予測の範囲内ではありましたが、ベリタスの件は想定外
でした。確かに買うに値する魅力があるソフトウェアベンダーの
ひとつであることは確かでした。

ウィルス駆除ソフトのベンダーがストレージ管理ソフトのベンダーを
買うというのはちょっと意外に思えるかもしれませんが、両者とも
ほぼすべての企業が必要としている機能を提供しており、かつ、
プラットフォームへの非依存性を売りとしている点に共通点が
あります。

もし、ベリタスをEMCが買っていたり、サーバ・ベンダーが買っていたり
したら、業界のパワーバランスへの影響はかなり大きく、また、
結果としてベリタス社の良さが出せなくなっていたのではと思います。

ひとつ気になる点は、この発表の直前に、HP-UXにベリタスのクラスタ
機能を取り込むことでベリタス社との提携を発表していたHPですが、
大きな影響はないと見てよいでしょう(SunやEMCが買っていれば
大変なことになっていたかもしれませんが。)

ところで、なぜ、HP-UXがコンパックとの合併後のロードマップにあった
Tru64クラスタとの統合をあきらめたかということですが、Tru64の主要
技術者がオラクルに流出し、リアル・アプリケーション・クラスタ(RAC)
の開発に回されたからという説があります。RACがTru64由来のテク
ノロジーを使っているのは周知ですので、信憑性が高い話と思っています。

投稿者 kurikiyo : 22:32 | コメント (0)

2004年12月08日

IBMのPC事業売却は当たり前のこと

もう既に一般のニュースでも大きな話題になっているですが、
IT業界をある程度知っている人なら別にびっくりする話でもないでしょう。

市場が成熟化して差別化がしにくくなれば、プレーヤーの数が減って
行くのは当然のことです(家電にしろ、自動車にしろそういう流れです)。

また、IBMの事業ポートフォリオを見ると、利益はソフトウェア事業で稼いで、
成長はサービス事業で稼ぐという構図がはっきりしています。
サーバは利益率も成長性もまあまあなんですが、ソフトとサービスビジネス
への副次的効果が大きいので無視できません。
で、お荷物はPC事業と一部のテクノロジーOEMビジネスで、HDD事業も
実質的に日立に売却してしまいましたので、PC事業のスピンオフも
時間の問題だったということです。

業界アナリストとして見てひとつ意外だった点は、ThinkPadビジネスも一緒に
スピンオフしてしまったということ。ノートブックに関しては、IBMの差別化要素は
かなり大きかったと思うのですが。詳しい事情は知りませんが(もし知っていたら
業務上の守秘義務があるのでこんなところには書けませんが)、デスクトップPC
事業だけの売却では買ってくれるところがなかったのかもしれませんね。
西武球団のようなもので、ネームバリューだけはありますが、採算性は最悪
ですから。

2ちゃんねるのシニカルな人々は、「バブル末期に日本人がロックフェラー
センター等の米国の資産を買って(買わされて)、結局安値で手放すパターン
では?」と言っていますが、結構はずれていないかもしれないですね。

個人的にはThinkPadのクオリティを今と同じ高いままで維持してくれることが
最大の希望です。(自分は、トラックポイントしか使えんのですよ。)

投稿者 kurikiyo : 23:36 | コメント (0)

2004年11月30日

Sunには攻め続けてもらいたい

SunのSolaris10の発表記者会見に行ってきました。

詳細な分析は本業の方で書くとして、ここでは感覚的な感想を。

噂されていたオープンソース化についてまったく触れられなかったので
インパクトを欠いた発表になってしまいました(OSS化については、いまだ
検討中とのこと)

Solarisが、安定度、スケーラビリティ、関連ソフト品揃えなどの点で
業界最高のUnixであり、これらの点ではLinuxもまだまだSolarisの
敵とは言えないのは確かだと思います。今回のRAS関係の機能強化
も適切とはいえますが、これだけではSunが現在の苦境を乗り切ること
は難しいと思います。

Sunについては長年の間ウォッチしてきましたが、Sunの最大の課題は
攻めから守りに転じてしまったことにあると思っています。

Sunの快進撃は1997年にStarfire(Enterptrise 10000)という、当時と
してはオーバースペックとも思える強力マシンを発表した時に始まった
と思っています。ドットコム特需に対して他社の先手を打って、
攻めに出て成功できたわけです。

Sunは、ライバルのIBMやHPと比較するとずっと規模が小さい企業です。
こういう企業が生き延びる道は攻めの姿勢で市場を取ったら、ますます
攻め込むということだと思います。

IBMとHPがStarfireと同等以上のマシンを開発し、Linuxがネットインフラ
OSとして勢力を伸ばす中、Sunは未曾有の成功にあぐらをかいて守り
の姿勢に入ってしまったこと、これが、Sunの現在の不調の原因でしょう。

2001年時点で、強力なLinux戦略の推進、SolarisのOSS化、大手ソフト
ベンダーの買収等々の攻めの手段を取っていれば、Sunは今日の
ような状況には陥らなかったのではと思っています。

投稿者 kurikiyo : 23:15 | コメント (0)

2004年11月29日

ソニーの垂直統合モデルは正しかったのか?

パラマウント・ピクチャーズ、ユニバーサル・ピクチャーズ、ワーナーブラザーズ
ニューラインシネマの大手4社が、HD DVD、つまり、東芝側の規格の採用を
表明しました(参照)。

要するに、ソニー、松下という二強がサポートするBlueRay Discが一気に
不利な状況になってしまったということです。

この決定にはソニーがSony Picture Entertaimentおよび(間もなく)MGM
という映画会社を傘下に有していることの影響が大きいと言えるでしょう。
映画会社の立場から言えばライバルの親企業の規格よりも、自社と競合
しない東芝の規格の方が採用しやすかったということでしょう。

元々は、ソニーが映画会社を買収したのは、「ハードウェアのビジネスだけ
ではダメで、コンテンツも抑えなければ」というベータで学んだ手痛い教訓
から来た戦略だったわけですが、それが完全に裏目に出てしまったことに
なります。

HDベースの携帯音楽プレーヤー市場でソニーがアップルiPodに完全に出し
抜かれてしまったのもこの構図に似ています。ソニーは、なまじっかレコード
会社を擁しているがために、著作権保護の観点からなかなか音楽ダウンロード
ビジネスに踏み切れず、また、他のレコード会社との協業も困難だったわけ
ですが、そんなしがらみのないアップルは複数のレコード会社と組んで、
iTMSを早期に立ち上げることができ、iPodのビジネスでも成功できたたわけ
です。

ソニーの出井会長はしばしば垂直統合の重要性を説いていたと思いますが、
完全な水平分業モデルが非現実的なのと同様に、垂直統合をやり過ぎるの
もかえって問題ではと思います。

ITの世界で垂直統合と言えばIBMを思い出しますが、IBMは何でもかんでも
自社でやろうとしているわけではありません。たとえば、エンタープライズ・
アプリケーション・パッケージ販売のビジネスには全くタッチしていません。
これによりSAP等のベンダーと良好な関係を築けるわけです。

要は、水平分業と垂直統合のバランスをとって、良いエコシステムを作って
いくことこそが重要ということでしょう。

投稿者 kurikiyo : 23:52 | コメント (0)

今注目のSOA?

新聞を読んでいたら某ベンダーの広告の中で「今注目のSOA」という表現が
出てきたのでちょっと気になりました。

SOA(サービス指向アーキテクチャ)については、自分は少なくとも8年前から
いろんなところで話しているからです。
最初のころは「何の話をしてるのかわからない」(プログラムレベルの設計には
強いが、全社的なアーキテクチャ設計の経験がない人の典型的反応)であるとか、
「何でそんな当たり前の話をするのか?(サブルーチンと同じじゃないの?)」
などという意見が多く聞かれましたが、
今ではそういう人たちも当然のようにSOAを語っているのでしょう。

ITの進化のスピードは目覚しいですが、やはりソフトウェア開発のように
人間系がからむ要素の進化はどうしても5年、10年レンジになってしまうのは
しかたがないところでしょう。

そう言えば、確か5年前に、Webサービスの単行本の企画を某出版社に持って
いったところ、「部内で検討しましたが、Webサービスというトピックでは読者の
興味を惹けないという結論になりました」というお断りの返事をもらったことが
ありました。今では、その出版社は山のようにWebサービスの書籍を出版し、
セミナーを開催しているのですけどね。

IT業界アナリストの資質の一つは動向の先読みだと思いますが、
あまり先読みしすぎても良くない場合が往々にしてあるということです。

投稿者 kurikiyo : 09:41 | コメント (0)

2004年11月16日

アクセシビリティツールは誰のためのもの

前回に『(略)IT学講義』の話が出たついでに、
この本の内容で思い出したことがあります。

「障碍者用のテクノロジーは、結果的にすべてのユーザーに恩恵をもたらす」という
指摘です。

何でこんなことを急に思い出したのかというと、先日参加した日経BP主催のセミナー
マイクロソフトの安藤 浩二さんがデモ画面の文字が小さすぎて見にくいときに、
Windowsの拡大鏡機能を使って後ろの人でも見やすいように表示してくれたのが
印象深かったからです。

拡大鏡機能は元々は弱視の方用の機能と思いますが、こういう時にも便利ですね
(Windowsなら標準で搭載されていますし)。
知ってしまえば当たり前だけど、ちょっと目からうろこでした。

投稿者 kurikiyo : 22:20 | コメント (1)

2004年11月15日

見える価値、見えない技術

先の投稿にもあったユビキタス・パネルで、日立の永倉正洋さんのクロージングでの
コメントが大変印象深かったのでここでご紹介します。
「ベンダーとして目指すのは『見える価値、見えない技術』である」
というコメントです。

非常に鋭いお言葉ではあります。
顧客や利用者にとっては、テクノロジーが提供する価値が重要なのであって、
テクノロジーそのものが重要なのではない。
逆に、テクノロジーが見えない存在になって、それを意識せずに使えるよう
になって初めてそのテクノロジーは成熟したものと言えるということでしょう。

そういえば、私が以前翻訳した
『MITコンピュータサイエンス・ラボ所長ダートウゾス教授のIT学講義』でも、
「情報革命が真に完了するのは世の中の人からコンピュータが見えなくなった時」と
書かれています。
(ところで、この本、とんでもない邦題を付けられてしまいましたが、原題は
"Unfinished Revolution"。MITの研究成果に基づき情報革命の将来を見通すシリアスな本です。
邦題を見てお気軽なIT入門書だと思って買った人はさぞビックリしたことでしょう。)

ところで、ドットコムバブル崩壊の最大の原因は、多くの人が、永倉さんの指摘とは
まったく逆の「見えない価値、見えない技術」を追求してきたこと
にあるのではなどと思ったりもします。

投稿者 kurikiyo : 18:36 | コメント (0)

2004年11月13日

ユビキタス社会への期待

私の勤務先であるガートナージャパンの年間最大のイベントであるシンポジウム
が10日~12日に開催されました。
私は、キーノート・スピーチ、ユビキタス系のセッション、キーノートパネルのモデレータ、
自律コンピューティング系のセッションと3日間ほぼ出ずっぱりだったので
結構しんどかったです。

このシンポジウムの前が、アナリストとしては1年で一番忙しい時期なので、
せっかくblog立ち上げたにもかかわらず、全然書き込みできていませんでしたが、
これから最低2日に1回くらいのペースでいろいろと書いていこうと思います。

シンポジウムでは、いろいろと新しい発見がありましたが、特におもしろかったのは
HP、IBM、日立、フェリカネットワークスからゲストをお招きして行った
キーノートパネル(「ユビキタス社会の真のインパクト」)のユーザー投票。
PDAと無線LANを駆使してその場でアンケートを取ったのですが、その中のひとつの
質問「現在の日本の(ベンダー及び政府の)ユビキタス技術への取り組みをどう見るか?」
というのに対しての回答は、バブル気味:20%、適切:30%、不足気味:50%というものでした。

多くの企業の方が、まだまだユビキタス系技術の可能性が生かせたソリューションが
出てきていないと感じているわけであり、これはテクノロジーの提供者にとっては
耳の痛い話であると同時に、ユビキタス系市場の可能性は予想以上に大きい
ということを意味しているでしょう。

そう言えば、私のセッション「先進テクノロジーシナリオ」で、新しいコミュニティの形態の
ひとつとしてblogを紹介し、「私もkurikiyo.comというblogサイトを立ち上げましたので、
よろしかったらアクセスしてみてください」と言った所、そのプレゼンの最中にラップトップ
からサイトにアクセスして、コメントをつけてくれた方がいらっしゃいました。
これぞ俊敏性(アジリティ)の世界ですね。

投稿者 kurikiyo : 16:40 | コメント (2)

2004年11月05日

blog立ち上げにあたり

マニアックなツールだと思っている間に、blogは急速な勢いで普及してしまった。

e-コマースが商取引の中抜きをもたらしたように、blogは情報発信の中抜きを
もたらしていると思える。情報の送り手が直接情報の受け手とコミュニケーション
を取ることができるということは、既存のメディアが担っていた情報の選択、編集、
意見の付与のようなステップが中抜きされてしまうわけである。
米国の既存メディアがblogに目くじらを立てているのもうなずける話である。

IT業界に身を置く私としても、遅ればせながら、blogの可能性をいろいろと探って
みたいと思っている。

投稿者 kurikiyo : 07:56 | コメント (1)