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2005年06月04日

もうひとつの「がんばれ!ニッポン」事件

以前にドクター中松と日本オリンピックによる「がんばれ!日本」商標についての争いについて書きました(前編後編)。
この事件は新聞で報道もされたのでよく知られていると思いますが、調べてみるとこのJOCはこの商標についてもうひとつ無効審判を請求していたことがわかりました。
商標法の運用の実態が良く現れていると思いますので、ちょっとここで紹介しておきます。

JOCが「がんばれ!ニッポン」を商標登録出願するずっと以前の1998年6月18日、茨城県の某酒造会社が「日本酒」を指定商品として「がんばれニッポン」を出願しており、登録されていました。
で、JOCはこの登録を消滅させるべく無効審判を請求しました。
ドクター中松の時には、「商標を登録しただけでちゃんと使用してないので取り消しだよ」という不使用取消審判を請求したわけですが(これに対しては、「会報誌のタイトルとして使っているだけでは商品についての使用に当たらない」というちょっと微妙な判決がなされました)、今回はこの酒造会社はちゃんと「がんばれニッポン」ブランドの日本酒を製造販売してますのでこの手は使えません。

JOCの主張は、かいつまんで言うと「われわれは、1979年から大金をつぎ込んで「がんばれ!ニッポン!オリンピック・キャンペーン」をやってきたので、『がんばれ!ニッポン』は周知になっいており、これに類似した商標を使うと消費者がJOCの公認グッズと勘違いするおそれがあるので、この酒造会社の商標登録は無効だよ。」というものです。
これに対して酒造会社側は「『がんばれ!日本』という商品名だからといってJOC公認だと勘違いする消費者なんていないよ。」と主張しましたが認められず、この商標は無効にされてしまったわけです。
しかも理由は公序良俗違反(商標法4条1項7号)。
JOC以外の者が「がんばれ!ニッポン」を商標として使うということは、公の秩序と善良の風俗を害するという判断です。

個人的には「オリンピック」の表記を使えばさすがにまずいかもしれませんが、「がんばれ!日本」をJOC以外の人が商標として使ってはダメというのはちょっと厳しすぎという気がします。
しかし、やはりJOCは一応公益性が高いし、キャンペーンに大金を使ってきたので、その利益は一酒造会社の利益よりも優先させるべきという、まず業界秩序維持ありきの判断がされるのは、商標と言うものの特性を考えればしょうがないことであります。

仮にこの争いが、酒造会社対JOCではなく、日本サッカー協会対JOCだったらどうなっていたのでしょうかね。

投稿者 kurikiyo : 2005年06月04日 10:45

コメント

ドクター中松氏の場合も、酒造会社の場合も、JOCのキャンペーンが開始された後というところに弱みがあるとは思います。

偶然時期が重なったということでもなければ、サッカー協会のような他の大組織が、同じ名前のキャンペーンは(普通は)やらないでしょう :-)

タカラの「ギコ猫」とか、NTTの「フルブラウザ」は・・・。

投稿者 anonymous : 2005年06月05日 00:22

まあ、キャンペーン後と言うのはそうなんですが、「がんばれ日本目指せアテネ」とでもなってれば、これはJOCのキャンペーンにフリーライドと言われてもしょうがないですが、「がんばれ日本」だけで、一般消費者がJOC公認と混同するかというと個人的にはそうは思えないわけです(まあ、自分がスポーツ興味なし人間だからかもしれませんが)。
ところで、大前研一の「がんばれ日本」てTV番組やってたのいつからでしたっけね。

投稿者 栗原 潔 : 2005年06月05日 00:33

私の質問を取り上げていただいてありがとうございます。ちょっとタイミングが遅くなりましたが、お礼申し上げます。
しかし、法律は難しいです。基準が示されているにも関わらず、当の特許庁が判断を間違えるんですから。
基準を改定して商標転売で儲けようなどと考える人が出ないようにしてもらいです。余計な審判をするのは費用と時間の無駄だと思います。

投稿者 半日庵 : 2005年06月05日 22:42

公序良俗違反って、なんか分かるような分からない言葉ですね。どうにでも結び付けられそうな気がします。強者によって乱用されないことを願います。逆に弱者救済にも使われることもあるのでしょうが。(民法90条にもありましたよね、同じ言葉) 法律は良く分からんです。ところで、このサイト、ど素人の僕にも、とっても勉強になります。分かりやすいし。

投稿者 ショーター : 2005年06月07日 00:35