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2005年05月09日
「がんばれ日本」商標事件:ドクター中松対日本オリンピック委員会(後編)
#いろいろ調べすぎてまとめるのに手間取りました^_^;
#前回書きそびれましたが、「フオルッアジャパン\がんばれ日本」とは「フオルッアジャパン」と「がんばれ日本」を二段書きした商標で、フオルッアはイタリア後の"forza"です。
#普通にカナ書きすると「フォルツァ」でしょうね^_^;
このドクター中松の商標は日本オリンピック委員会(JOC)より先に出願されて登録されていますし、「がんばれ日本」と「ガンバレ!日本」は明らかに類似してますので、先願主義の原則により通常であれば指定商品「印刷物」についてJOCが「ガンバレ!日本」の商標登録を受けることはできません。
JOCはこれはまずいということで、ドクター中松の商標権について、特許庁に対して不使用取消審判というものを請求しました。
前回も書いたように、商標というのはそれだけで価値を持つというよりは、商品と一緒に商売に使って初めて価値を持つものなので、商標権を取得しても一定期間使用していないものについては取り消しを請求することができる仕組みになっているわけです。
#こういう使用義務があるというのが商標権が特許権と大きく違う点のひとつです。
#また、先願者の権利を無効にすれば、自分で権利を取得できるのも商標権の特徴です。
#特許権の場合には一度公開されてしまったならば、先願者の権利を無効にしたところで、自分で権利取得することはできません。
で、ここで焦点になったのが、ドクター中松氏が「~がんばれ日本」というタイトルの冊子を配っていたという点です。
ドクター側はこれをもって、ちゃんと商標を使用しているぞと主張したわけです。
この事件、特許庁と裁判所の間を2回往復してて結構ややこしいのですが、結局、裁判所の判断は、この冊子は、「ドクター中松の個人的なことしか書いてないし、囲む会の会員にのみ配られていたので商品とは言えないよ」ということで、ドクター中松の商標権の取消が確定したということです。
日本弁理士会のWebサイトで商標委員会副委員長の古関宏先生がこの事件に関して意見を述べられています。
「私の知る限り、定価を表示した会報の題号として使用された表示が、商品としての「印刷物」についての使用にあたらないと判断された、初めての判決です。」ということで、古閑先生も「ちょっと意外な判断」という印象をもたれたのではと推測します。
私も、この件についてはドクター中松ちょっとかわいそうかなという気がします。
ただ、商標法の場合、特許法よりも業界の秩序維持を優先するという性格が強く、個人の権利はやや犠牲にされる傾向がありますから、JOCが印刷物について「がんばれ日本」の商標を使えないのは社会的にさすがにまずいだろうという裁判所の判断が先にあったと考えればししかたのないことではあります。
そういえば、以前に紹介した今野浩先生の「ソフトウェア特許」本のコラムに「裁判所とは正否を決めるのではなく当否を決める場所だ」という話が出ていました。
要するに、法を理論的に当てはめて絶対的に正しいか間違っているかを決めるのではなく、常識的に見て妥当で思われるという結論に持っていくために法を現実的に解釈していくのが裁判だということです。
また、「理詰めで行くように見えて最後の最後で現実を見た妥協案に落とし込むという点で法学と工学は似ている、工学と数学の間の距離より、工学と法学の間の距離の方が近いのでは。」という記述もあってなるほどと思いました。
投稿者 kurikiyo : 2005年05月09日 13:24
コメント
この件を聞いて思い出したのが「阪神優勝」の商標に関するトラブルです。今回の「がんばれ日本」も同じに感じますが、この手の言葉を商標として認めることが感覚的に違和感があります。
商標になりえる言葉の定義のようなものは特許庁は示しているのでしょうか。
投稿者 半日庵 : 2005年05月10日 12:36
「法学と工学は似ている」
これは法学が未分化なだけに思えます。
他分野ですと、例えば、
・理学←→工学
・基礎医学←→臨床医学
などと分化されていますので。
投稿者 nmaeda : 2005年05月11日 12:12