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2005年03月31日

結局は労働市場の流動性か

欧米でうまくいったパラダイムを日本に適用してもうまくいかないケースの根をたどっていくと、結局、日本の労働市場の流動性の欠如に行き着くことが多いと思います。
典型的ケースが、富士通で壊滅的に失敗した成果主義でしょう。
成果主義の前提は、自分が不本意な評価を着けられたらいつでもより良い条件の会社に移れるということでしょう(逆に移りたくても移れない人は低い評価が相当だったということになります。)
上司としても優秀な部下に退社されてしまっては自分自身の評価が悪くなってしまいますので、結果的に会社が本当に必要としている人には良い評価をすることになります。
まあ、問題皆無とは言いませんが、それなりの公平性は保てると思います。
日本のように大企業にいったん就職してしまうとそう簡単に転職できない環境では、ワーカーとしては悪い評価に対する対抗策が実質的に取れないですから、結局、多くの人が上司にこびへつらってでも高い評価を得ようとして、会社の雰囲気がどんどん悪くなるという最悪の結果になってしまいます。

日経エレクトロニクス誌のサイトTech-On!のブログでも、携帯機器のベンチャーをやるのに、日本では組み込み系の開発者が雇えない(大企業が囲い込んでいる)のでシリコンバレーで起業せざるを得ないという話が載っていました。

この労働市場の流動性という点で、さらに思い出したのが、Topcoder.comというアメリカのサイトです。
このサイトは定期的にアルゴリズムやソフトウェア設計のお題を出題してます。
そして、世界各国のプログラマーがその回答となるプログラムを送ってきます。
で、そのプログラムの出来によってプログラマーのランキングをつけて公開しているわけです。
米国だけではなく、ポーランドや中国などのプログラマーも腕を競っているネットならではの世界です。
#自分も二十代のころだったらチャレンジしたかったです。ちょっと早く生まれすぎたかな。

国別のランキングもあるのですが、日本は31位とさびしい状況です。
もちろん言葉の問題もあるのでしょうが、やはり、ここでも労働市場の流動性が関係するでしょう。
Topcoderにプログラムを送ってくる人たちは知的興味でやっているということもあるのでしょうが、就職・転職を有利にするためという点が大きいようです(実際、TopCoderも企業に対して優秀なプログラマーをリクルートすることをビジネスモデルの要にしているようです)。
一方、転職を続けることでプログラミングのプロとしてキャリアアップしていくと言う可能性が低い社会では、ネット上でTopCoderと認められることの動機付けも小さくなってしまいます。

ポーランドのプログラマーがネット経由でプログラミングの腕を示して、米国の会社に就職(ひょっとてして、ポーランドに滞在したままで仕事できるかもしれません)というのは何か夢のある話だと思いますが、こういう世界に日本だけが取り残されていくような気がしてしょうがありません。

投稿者 kurikiyo : 2005年03月31日 21:25

コメント

>上司としても優秀な部下に退社されてしまっては自分自身の評価が悪くなって
>しまいますので、結果的に会社が本当に必要としている人には良い評価をする
>ことになります。

欧米に比べて、日本の上司は結果責任を厳しく問われないので、
自分の判断を優先したがると聞いたことがあります。結果責任を
厳しく問われる場合は、部下の意見でも良いと判断したら取り入れるが、
結果責任が厳しくないと失敗する可能性が高くても自分の意見を
通したがるようです。
そのような部分も労働流動性以外に成果主義が上手くいかない理由の一つ
だと思います。

富士通を代表とするバブル以後に導入された成果主義の多くは、動機が
別のところ(賃金の抑制)にあったことが失敗の大きな原因だと思います。
成果主義がお題目通りに導入されていれば、外部の優秀な人材を適正な
価格で雇うことに問題はないはずです。つまり労働流動性は高まるはずです。
しかし、実際にはそうなっていないように思われます。

投稿者 半日庵 : 2005年04月07日 12:42