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2005年03月08日

ソニーの敗因について考える

ソニーの役員交代とその原因になった業績不振については既に数多くの場所で議論されてますので、今さらと言う気もしますが、
1.エンターテイメント事業とエレクトロニクス事業のシナジーが出せてない
2.自社独自仕様偏重(エコシステム軽視)
3.液晶、DVDレコーダー等のホット・テクノロジーへの投資遅れ
4.製品の品質(信頼性等)の問題を解決できてない
5.ユーザーのニーズを反映した製品開発ができてない
6.一部役員の発言に見られる傲慢さ
7.問題山積みなのに、なまじっかブランド価値はある(ように思っている)ため危機意識が低い

等々が問題の根であるのは言うまでもないことでしょう。

こうしてみると、1993年に累積赤字80億ドルと言う記録的赤字を出したIBM絶不調の時にすごく似ていると思いました(ソニーは大赤字というほどではないので、IBMよりはだいぶマシですが)。
一度大成功した企業が自らを変える力を失い、イエスマンの集合になっていき、顧客重視、イノベーション重視の精神を失っていき、結果的に業績を悪化させていくと言う典型的パターンと言えそうです(英語の言い回しで言うと"victim of its own success"(自らの成功の犠牲者)ということです)。

そう考えてみると、ガースナーによるIBMの再生はソニー再生のヒントにもなるかもしれません。
ガースナーがしたことを大きくまとめてみると、
1.徹底した顧客指向(「作ったものを売り込む」モデルから「顧客の欲しがるものを作る」モデルへ)
2.IBM分割を阻止(スケールメリットは重視)
3.オープン標準、デファクト標準の尊重(自社製品にこだわらない)
4.メインフレームの投資強化(顧客に価値を提供できている場合には自社ハードにこだわる)
5.サービスを含む全方位的ソリューションの提供、ただし、シナジー効果がでない事業は自社ではやらない
6.徹底したコストカット(特に、重複していたR&Dや製造開発の統合)
7.トップダウン主義(抵抗勢力は追放)

こんな感じでしょうか?
ひとつの典型的例は、OS/2に実質上引導を渡し、NT重視戦略をとったことでしょう。
顧客が求めているOSはNTであり、IBMはNTのサポートに徹したほうが顧客に与える価値は大きいと判断したからだそうです。

まあ、ここで書いたような話は、当然ソニー経営陣は百も承知だと思います。
自分としては昔の輝きあるソニーに戻って欲しいものだと願っています。

ただひとつソニーの特殊事情としては、コンテンツ提供会社とコンテンツ・デリバリー手段の提供会社が一緒になって意味があるのかという議論があります。
ちょっと状況は違いますが、Time WarnerとAOLの合併が必ずしもうまくいかなかったということもありますし。

たとえば、ITの世界での垂直統合モデルの例であるIBMは、インフラ系に関してはプロセッサから、サーバから、サービスまで垂直統合指向であるにもかかわらず、アプリケーション・パッケージ市場には進出してません。
中途半端にアプリケーション・パッケージを自社で販売すれば、SAPやOracle等の重要パートナー(IBMにとってみれば顧客)のビジネスと競合することになり、これらのパートナーは他社インフラに流れてしまいます。
「顧客と競合しない」これは重要なポイントです。
アプリケーション=コンテンツ、AV機器=インフラと考えれば、ソニーにおいても同じことが言えないでしょうか。

あともうひとつ企業カルチャーの問題もあると思ってます。
自分もほんのちょっとだけ経験がありますが、コンテンツ系企業のカルチャーはメーカーのカルチャーとは明らかに異なります。
一般に、M&Aが成功するか否かのポイントが最終的には企業カルチャーの問題に帰結することも多いようです。
映画会社とエレクトロニクスメーカーがひとつの企業グループにあることで、シナジーによるメリットよりもカルチャークラッシュによるデメリットの方が大きいのではという点は十分議論の対象になると思います。

投稿者 kurikiyo : 2005年03月08日 09:36

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