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2005年02月07日

遅ればせながらジャスト-松下の判決を分析

出張から帰って来てちょっと時間もできたので、遅ればせながらジャスト-松下事件の判決文をチェックしてみました。

判決文はここにあります。

#法律関係の文章を読むのは慣れないと非常につらいですが、IT専門外の人が、IT系の文書を読むのもこんな感じなんでしょうね。

特許侵害訴訟の被告が取るべき措置というのは大きく2つあって、否認と抗弁と言うものです。
否認と言うのは「特許は侵害してませんよー」と主張することであり、抗弁と言うのは「侵害してるかもしれませんけど合法ですよー」というものです。

特に重要な抗弁のタイプが「そもそもそんな特許は無効なので、それに基づいて訴訟すること自体が間違ってるよー」という権利濫用の抗弁と言うものです。
(普通、特許性がない特許に対しては、無効審判と言うものを特許庁に請求して無効にしてもらうのですが、あえてそうしなくても裁判の中で無効を主張することも認められています。)

で、今回の判決の内容をものすごく簡単にまとめると...

1.ジャストの主張(否認)
 松下の特許の請求項に「アイコン」て書いてあるけど、「アイコン」とは画面上で動かせるものを言うので、問題になっている一太郎のヘルプボタンは「アイコン」じゃないから、松下特許の侵害ではないよ。
1.に対する松下の主張
画面上で動かせないものも「アイコン」と呼ぶよ(証拠文書もあるよ)。

2.ジャストの主張(否認)
 問題になっているヘルプの機能はWindowsの機能だから、悪いのはWindowsで一太郎じゃないよ。
2.に対する松下の主張
 Windowsのその機能を意識的に呼び出しているのは一太郎だから、やっぱり悪いのは一太郎だよ。

3.ジャストの主張(権利濫用の抗弁)
 ヘルプキーの後に押したキーの機能を表示する方法は松下の出願前からあったよ(証拠もあるよ)。
それから、当時のJSTARのマニュアルを見ると画面上の仮想キーボードで任意のキーをマウスで入力で
きるようになっていることがわかるから、キー入力とアイコンクリックは同等というのは当時の常識。
松下特許は常識的アイデアの組み合わせだから、そもそも特許に値しないよ。
3.に対する松下の主張
 JSTARの仮想キーボードはあくまでも物理的なキーボードをそのまんま画面上に表示したもので、「アイコン」とは違う概念だよ。
だから、うちの特許とは関係ないよ。

裁判所の判断
1.について
 証拠文献を調べても「画面上で動かせるものだけをアイコンと呼ぶ」とは誰も言ってないから、松下の勝ち。

2.について
 ジャストは何言ってるかわからないよ。松下の勝ち

3.について
 証拠物件だけでは、キー入力とアイコンのクリックに相互置換性があるとは言えないので、松下の特許は無効とは言えないよ。

やはり、3.がかなり微妙な判断の気がします。裁判長がMacに詳しければ、キー入力とアイコンクリックの置き換えは(1988年当時でも)誰でも思いつくアイデアだと認定してくれて、松下の特許は特許性なしと判断してくれたかもしれません。

これだけ見る限り、ちょっとジャスト側が不利な気がしますね(正しいか正しくないかではなく、理屈合戦で負けている感じ)。

画面上のヘルプアイコンをクリックすると、次に押したアイコンのヘルプ情報を表示すると言うそのものずばりの挙動のソフトのマニュアルで1988年10月31日以前に発行のものを探し出せれば、何の問題もなくジャストの勝ちなんですが。

投稿者 kurikiyo : 2005年02月07日 13:34

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