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2005年02月27日

マイクロソフトのトンデモ特許?

右の「お気に入りリンク」の中にThe Registerというサイトがありますが、これは、英国のITニュースサイトです。
米国系の大手Webメディアはほとんど日本のWebメディアと提携しているので、あまり時間差なしに翻訳記事を見ることができますが、The Registerはどうもそうではないようです(The Registerから米国系のメディアに記事がシンジケート提供されて、それが日本のメディアで翻訳されているケースはあるようですが)。なので、たまに除いてみるとまだ翻訳されてないおやっというような記事を見つけることがあります。

ちょっと気に止まった記事はマイクロソフトの特許出願に関するもの(Slashdot本家では既に話題になってますね)。

Visual Basic言語において変数が指すアドレスの先が等しくないかどうかを判定するオペレータであるIsNotをマイクロソフトが特許出願したという記事です(出願しただけでまだ特許にはなってません。)
うーむ。これはどう考えても新規性(少なくとも進歩性)はないような気が。単にポインタと等号の組み合わせで実現できてしまうし。
百歩譲って仮に新規性があったとしてもプログラミング言語の仕様そのものは特許すべきではないという気がします。

この特許の出願者の一人であるマイクロソフトのPaul Vick氏のblogでも、読者からかなりの突っ込みがされてます。
Vick氏の考え方は私の考え方に似ていて(というかIT関連会社に勤める人はたいていそうだと思いますが)「ソフトウェアを特許の対象とするのはちょっとまずい(少なくともグレーゾーン)と思う、しかし、現実に世の中がそいういう仕組みで動いている以上、防衛のためにもゲームには参加せざるを得ない」ということです。
#ところで、MSでもblogやってる人多いですね。
#おもしろそうなものは右のお気に入りblogに載せるようにします。

この特許も他社へのけん制(仮に特許を取れなくてもけん制にはなりえる)か、または、なんかの間違いで特許されれば儲け物というレベルの出願なのではと思います。

前にも書きましたけど、マイクロソフトが特許戦略を強化しているのは確かで、これから同社によるソフトウェア特許出願も増えていくでしょう。
しかし、どう考えても産業の発展に寄与しない特許出願が増えると、ソフトウェア特許自体に反対する世論作りを推進することになってマイクロソフトにとっては逆効果なのではという気もします。

投稿者 kurikiyo : 23:33 | コメント (2)

2005年02月24日

【雑談】おもしろい(ちょっと怖い)トンデモ特許出願

本日も雑談ネタです。

日本国民であれば原則誰でも特許出願はできて、書類が形式的にそろっており、手数料が支払われていれば出願は特許庁に受理されます。
そして、原則、出願日から1年半経過後に特許出願の内容は公開されます。
通常この段階では審査はまだ行われていませんので、世紀の大発明も意味不明のトンデモ発明も同等に公開されることになります。
右のお気に入りリンク集にある特許電子図書館を使えば誰でもこういう特許出願を閲覧することができます。

トンデモ出願の例としては、
公開番号:2001-286199の「顧客に電話をかけて起床してもらうビジネス」という発明(?)ですが、請求項には、
>企業が、顧客の電話・携帯電話・PHSに、電話またはインターネットを利用して顧客にダイヤルすること
>で起床してもらうビジネス。

と書いてあります。うーむ。これは要するにモーニングコールということでは?

公開番号:平11-266597の「宇宙関数」という発明(???)ですが、発明の効果の欄には、
>水星の核となる水素原子の飛び出しに因り、その頃、北に4329kmの所に在ったメキシコ湾から
>噴射が起こりました。その反動が、赤道近くに在ったチベットを浮き上がらせました。極周近くで噴射
>があった為に西東への回転は遠く推定、1日9,375時間です、したがって、現在の自転速度は、
>段々と遅くなっていくことになります。

と書いてあります。ここまで来るとちょっと怖いものがあります

こういうネタはどこで探すのかというと、実はこういう特許出願ばかりを集めたサイトがあるのです。
たまにのぞいてますがかなり楽しめます。

投稿者 kurikiyo : 23:13 | コメント (4)

2005年02月23日

【雑談】blogのアクセシビリティについて

昔からblogは貴重なリサーチのネタとして活用していましたが、自分でblogをやり出してからは、他人のblogも今まで以上に見るようになりました。
そこでひとつ言いたいのは「字が小さすぎるblogが多い」ということです。
字が小さいほうが情報を詰め込めますし、デザイン的にもおしゃれかもしれないですが、自分はそろそろ老眼始まってきてますのでちょっとつらいです。
しかも、多くのblogでは文字サイズを固定ポイントで指定しているためIEのメニューの「文字のサイズ」を変更しても文字は小さいままです(IE以外のブラウザでは固定ポイントで指定した文字のサイズもブラウザのメニューから変更できるので、IEの実装が悪いということもありますが。)
これはアクセシビリティの観点からはちょっと問題ですよね。

以前お勧めして右のリンク欄にも載せているSunのCOO/PresidentのJonathan Schawartz氏のblogも内容はすばらしいのですが、字が小さい(IEメニューで変更できない)のと背景と文字色のコントラストがちょっと不足しているので読みにくいです。
IEのメニューの「ユーザー補助」で文字の色とサイズを強制的に変えることもできるのですが、また元に戻さなければいけなくめんどうです。
結局、画面の内容を1回紙に印刷してから読むという一昔前のOA化についていけないオジサンのようなことをするはめになっています。
Jonathan Schawartz氏のblogにはメールあて先がないので、SunのWebサイトの管理者にでも改善を頼もうかと思ってます。

スタイルシートでfont-size:10ptとかなっているのをfont-size:mediumとかに直すだけのことなんですけどね。

いろいろ調べてみるとblogも含めてWebサイトのアクセシビリティを評価してくれる無料ソフト(富士通製)があることがわかりました。
このblogもチェックしてみましたが、いくつかマイナーな問題があるようですので、また時間がある時に直してみる予定です。

投稿者 kurikiyo : 22:32 | コメント (6)

2005年02月22日

ソフトウェア特許:日欧米の対応の違い

欧州議会がソフトウェア特許に関して慎重であるという記事

ソフトウェア特許については米国が最も積極的で何らかの有効性・新規性・進歩性があれば、ソフトウェアそのものへの特許を認める政策です。さらに、ソフトウェアから完全に独立したビジネスモデルのみでも特許してしまうこともあります。(このような政策に対して、Linus TorvaldsやRichard Stallmanなどのオープンソースソフトウェア系の指導者たちが反対姿勢をとっているのはすでにご存知かと思います。)

対して、欧州は、エンジンの制御プログラムだとかのテクニカルなソフトウェアに対してのみ特許を認める方針です。

日本はというと、米国と欧州のちょうど中間くらいで、(非テクニカルな)ソフトウェア特許は基本的にOK、ビジネスモデルについては情報システムで実現されているということで間接的に特許されるという運用になっています(情報システムに関係ない純粋なビジネスモデルでは駄目ということです)。

特許政策が難しいのは常に国際的なバランスを考えなければならないということであって、たとえば、日本だけが極端に強い保護をすると、すでに特許を有している国内企業を優遇しすぎて海外企業の進出を妨げることになってしまいます。
では逆に保護を極端に弱めると、今度は特許を使って日本に進出する企業にとっては日本に来ても真似されるだけということになって同様に日本への進出を躊躇するようになってしまいます。
どっちに転んでも自由経済が阻害されてしまうわけですね。

私としては、日本は一応米国を横目で見ながらあまり極端な方向に走らないようにするのが妥当な線ではと思っています。

投稿者 kurikiyo : 23:43 | コメント (2)

2005年02月21日

サンのデータベース戦略の選択肢

当然ながらこのblogでは業務上知り得た秘密については書きませんが、Sunのデータベース戦略についてはもうメディアに載ってしまっている(「Sunのシュワルツ社長、データベース計画、SPARC、HPを語る」)ので、ここでもちょっと考えて見ましょう。

SunがSPARC/Solaris中心のハードウェアベンダーから総合システムベンダーへの脱皮を図っているのは言うまでもないですが、そこで重要となるのがミドルウェアスタックです。
Sunは、ミドルウェアのばら売りをやめてJES(Java Enterprise System)として一括提供すると共に、利用企業の社員一人当たり年間100ドルで無制限の使用が可能という斬新なライセンス体系によりソフトウェア分野での起死回生を狙っているわけです。
この戦略、一見すばらしく見えますが、最大の問題点はデータベース製品が欠如していることでしょう。
ユーザーは結局Oracle(場合によってはDB2)を使わざるを得ず、Sunの価値提案は中途半端なものとなっていました。

ということで、Sunが自社ブランドのデータベースを持つというのは必然的な流れとも言えます。

ただし、現実の道はそんなに簡単ではないでしょう。具体的なDBMS製品の計画については、Sunは完全ノーコメントなんですが、選択肢としては以下が考えられるでしょう。

0)独自DBMSを一から開発
 まあ、これは開発労力から考えてあり得ないと言ってよいでしょう

1)オープンソースDBMSの活用
 MySQLもPostgreSQLもまだまだエンタープライズ系にはしんどいと思っているので、結構な付加開発が必要でしょう。ただ、SAPはMySQLをベースにSAP専用DBMSを作ろうとしてます(MaxDB、旧称SAP DB)からこの流れに乗るのはありかもしれないですね。

2)SybaseからDBMSをOEM
 まあ、妥当なところかもしれません。

3)Sybase DBMS製品のみを買収
 Sybase的にはあまり魅力がないでしょうね。

3)Sybaseの企業買収
 Sunの財務体力的に大丈夫なのかと言う点と他のソフトウェア製品の重複が著しいのでちょっと厳しいか。

4)InformixをIBMから買収
 実現したらおもしろそうですが、まあ、これはないでしょうね。

5)Symfowareを富士通からOEM
 個人的にはこれがSunにとって理想的かと思ってます。SymfowareのSPARC/Solaris上のスケーラビリティは実証されてますし。富士通も自社DBMSをSunが米国で売ってくれれば市場が一気に拡大します。
 ただ、ハードもDBMSも富士通からOEMでは、Sunエンジニアからの反発が予測されますね。

以上、これはインサイダー情報なしで全くの推測で書いてみました。

追加情報(05-02-22)
トラックバック先でFirebird(Interbase)やIngressの可能性もあるのではと書かれていますが。うむ、確かにIngressは大穴かもしれないですね。

投稿者 kurikiyo : 17:58 | コメント (0)

2005年02月20日

エンジニアと法律専門家の間のギャップ

また、ジャスト-松下の話になってしまいますが、前にも述べたように侵害訴訟において問題となっているポイントのひとつに「アイコン」という言葉の定義がありました。
キー入力で起動するバルーンヘルプ機能は松下特許の出願前に存在したことがMacのマニュアル等の証拠により証明されていましたから、松下の特許は進歩性がないとジャスト側が主張したのに対し、裁判官はキー入力とアイコンクリックは違う(ゆえに、松下の特許の進歩性は否定されない)と認定したわけです。
まともなエンジニアであれば、ユーザーインターフェースの設計でキー入力とアイコンクリックは相互置換できるものとして作るのが当たり前で、これは、1988年当時のMacの世界でも当たり前だったと思うでしょう。
しかし、残念ながらこの理屈は裁判官を納得させるに至らなかったわけです。

ここで、思い出したのが、ちょっと前に受けたビジネス・モデル特許のセミナーで講師の先生が言ったお話。
ビジネス・モデル特許の明細書を作る場合の注意点として「サーバ」という用語は安易に使わない方がよいらしいです。
たとえば、請求項に「課金サーバと顧客情報サーバから成る...」とうかつに書くと、課金サーバと顧客情報サーバを同じマシンで稼動している実施形態を差し止めできない可能性があるということらしいです。
こういうときは、「課金情報アクセス手段と顧客情報アクセス手段から成る...」と書いた方が安全らしいです。
技術者的に言うと、「1台にまとめようがサーバ機能としては同じなのだから...」と思うのですが(サーバという言葉はサーバの筐体を指すこともありますが、サーバ機能を指すこともありますから)、そういう技術者にとっての常識は裁判官に通じないことがあるということでしょう。

現状としてこうなってるのはしょうがないとしても、将来的にこのギャップを何とか埋めていかないと、技術常識とかけ離れた特許訴訟の判決がこれからも出てくるのは確かでしょう。

追加情報(05-02-22)
請求項を工夫するのではなく、発明の説明の中で、「ここで、サーバとはソフトウェアの機能を指し、ハードウェア筐体とは独立した概念である」という風に定義を明確化するという技もあるようです。

投稿者 kurikiyo : 22:47 | コメント (3)

2005年02月18日

オープン・ソース・ライセンスの整理はありがたい

OSI(Open Source Initiative)が定義する50種類以上あるオープンソースライセンスを整理するというお話(元記事翻訳記事)。

各企業が自社に都合のよいライセンス体系をどんどんOSIに対して登録してしまう現状は問題あるといわざるを得ません。
50種類すべての内容を理解するだけでも大変です(OpenSolarisのCDDLとGPL問題のエントリーの続きが全然書けないのもそのせい(と言い訳))。

昔からあるジョークで"the good thing about standards is there are so many of them to choose from"(標準のいいところは選択肢がたくさんあるところ)というのを思い出してしまいます(一応説明しておくと、ひとつに決めるのが標準なのに、実際には多くの標準があるということを皮肉ったジョークです。)

こういう状況はMicrosoft等の反オープンソース勢力に付け入る隙を与えてしまう点でも問題でしょう。

どうやら3種類程度にまとめる予定のようですが、1)ソースコードの開示、2)自由な再配布、3)自由な変更という要件は満たされないとさすがにオープンソースとは呼べないので、改変したソフトを商用ソフトにしてしまっていいか(要するにGPL型かApache型か)、改変したソフトを集中管理するかあたりでバリエーションをつけそうな気がします。
ここで、特許の扱いをどうするかという要素が入るとまた一気にややこしくなってしまいそうですが。

投稿者 kurikiyo : 23:24 | コメント (0)

二次元バーコード付チョコ

参考記事

ホワイトチョコの表面にQRコード(二次元バーコード)を印刷する技術の紹介。
おもしろいこと考える人がいるもんですね。やはり特許は出願しているのでしょうか?
(最近こういうことばかり考えるようになってしまいました)。

ユビキタス時代にはあらゆる物にIDがつけられるという話になると、必ず無線タグの話になりますが、二次元バーコードでも十分対応できるケースが多いはずです。
今日本でやられている無線タグの実証実験でも、実は二次元バーコードで対応可能なケースが結構多いと見ています。
外国でも薬品のトレーサビリティ実験を無線タグで始めてみたけど、コストの問題から、結局、バーコードでやることにしたケースがあると聞いてます。
トレーサビリティを実現しようと思うと、品番だけではなくて、その物固有のシリアル番号もつける必要があるので従来型のバーコードだと桁数が足りないこともありますが、二次元バーコードなら十分対応できますし。

投稿者 kurikiyo : 03:43 | コメント (0)

2005年02月16日

松下に関する噂と特許権の強力さ

#SunのOpenSolarisに関するエントリーの続きを書く予定でしたが、まだ考えがまとまらないので、今回はまたジャスト-松下に関するお話です。

たまに覗いている知財関係の掲示板でおもしろい話を見ました。なぜ、この訴訟がが和解ではなく、判決まで行ってしまったのかという点について
>松下は1.過去負けた裁判と同じ裁判長だったので、今回もてっきり負けだと思っていた、2.今回の勝利(及びその反響の大きさ)に驚いて、高裁では当然和解の方向で行く、

噂の真偽についてはわかりませんが、確かに松下も勝訴してもイメージ低下というそれなりのダメージを負うことは十分予測できたと思えますのでうなづけるお話ではあります。
そもそも、特許権は非常に強力な権利であり、抑止力として使って自分に有利な和解に持ち込むことこそあれ、実際に行使されることはそれほど多くないです。

ちょっと前に、マイクロソフトの対オープンソース競合分析担当者であるBill Hilf(ビル・ヒフ)氏と話す機会がありましたが、その時にMicrosoftの知財戦略について聞いてみたところ、「Microsoftが知財戦略を強化しているのは確かだが、それはライセンス収益を得る機会を増やしたり、有利なクロスライセンスを結ぶ(Sunとの和解がまさにそのケース)ことであって、他社を訴訟しまくるということではない。訴訟をしても結局両方とも損する結果になるから。」という真っ当な答えが返ってきました。
「対オープンソースの時にはどうするんですか、クロスライセンスのしようがないでしょう?」と質問したら、明確な答は返ってきませんでしたが。

ついでに、ここで、特許権の強力さについて考えてみたいと思います。
一部の掲示板等で「一太郎・花子の製造販売中止と廃棄というのはひどすぎないか、なぜ、損害賠償にしないのか?」という疑問を呈している人が少なからずいました。
実は特許法では権利者に対して民法上の損害賠償請求権とは別に差止請求権という特許法独自の権利が認められています。
差止請求権の強力なところは、特許の侵害行為が認定されれば、自動的に差止請求が認められ、裁判所は製品の製造中止や破棄等を命じることができるという点です。
「確かに特許は侵害しているけど、差止はあんまりなので、損害賠償金の支払いのみにする」という判決が出ることは基本的にはないのです。
また、「そんな特許があるとは知らなかった」、「この製品はものまねではなく自社で独自開発したものだ」、「特許権者には損害が生じていないから訴える意味がない」という主張はすべて基本的に通りません。特許権は絶対的な権利なのです。

また、特許法では、差止請求に加えて損害賠償請求を行う場合にも、特許権者側が有利な規定があります。
一般的に損害賠償する時には、原告側が被告に故意か過失があったことを証明しなければいけません、また、被告の行為によって原告に損害が生じたこととその金額を証明しなければいけません。
しかし、特許法では、被告の過失の推定規定というものがあって、原告側が「相手に過失があることを証明する」のではなく、被告側が「自分には過失がなかった」ということを証明しなかればなりません(しかも、実際には、被告が過失がなかったことを証明するのはほとんど不可能に近いらしいです)。
また、損害額の推定規定というのもあって、被告が得ている利益をすべて損害賠償請求額とすることも可能です(そんなに損害は生じてないよと証明するのは被告の責任です)。

要するに、特許権というのは持っている側が圧倒的に有利な権利なわけです。
特許権による攻撃に対する最大の防御は特許権による防御、つまり、クロスライセンスです。

そういう意味でいうと特許権を持たない(持とうとしない)オープンソースコミュニティが特許権による攻撃に対して本質的に脆弱であるということがわかると思います。
マイクロソフトによる特許権に基づくLinuxへの攻撃、これが起きるか起きないかの予測をここで述べることは避けたいですが、もし起きたとしたならばそれはLinuxコミュニティにとって壊滅的な打撃になることだけは確かだと思います。

投稿者 kurikiyo : 23:45 | コメント (13)

2005年02月15日

【雑談】コンシューマービジネスのチャンスをどうとらえるか?

HPに限らず、ITベンダーの中でコンシューマー市場におけるビジネスチャンスを真剣に考えていないところはないでしょう。

今後のITの革新の多くが、企業の世界ではなくて、コンシューマーの世界で起きていくであろうというのは多くの識者が予測するところです。
市場成長率で言っても、企業コンピューティング市場で年2桁成長を維持していくのは非常に難しいと言えます(企業のIT投資の総額自体の伸びが年率数パーセントの伸びなのでほぼゼロサムゲームと言えます)が、コンシューマー市場はパイ全体の大きな伸びがまだまだ期待できます。
実際、既に半導体の世界では企業向けの市場よりもコンシューマー向けの市場の方が大きくなっています。

また、価値を生み出す要素であるソフトウェアと(非コモディティの)半導体は数を作れば作るほど安くできますから、コンシューマー市場でデファクト標準を押さえて大量販売できたベンダーは非常においしい思いをできるのは当然です。

ところで、コンシューマ市場向けの半導体というとCellが思い浮かびます。
ちょっと前のコメントで「Cellプロセッサについて分析してほしい」という要望があったと思うんですけど、どんなにがんばっても後藤弘茂さんにはかなわないので、ちょっと躊躇してしまいますね(後藤さん、本当に詳しいです。直接話したことはないのですが、てっきりりエンジニア出身かと思ったらどうもそうではないようですね)。

で、このコンシューマー市場の機会を生かすためにはどうしたら良いかということなんですが、自分でやるという選択肢と、パートナーに任せるというのと大きく2つあります。
システム・ベンダーの中で前者の方向性をとり得るのは日本ベンダーが最右翼でしょう。
そして韓国系ベンダー、HP、(ちょっと微妙ですが)Dellということになると思います。
IBMやSunは前者の方向はとうにあきらめて後者の方向を目指しています。
どちらの選択肢が有利なのかというのは十分検討に値する課題でしょう。
企業系とコンシューマ系をひとつの会社でやることは、基本テクノロジーの共用により相乗効果が得られるというメリットもありますが、特性の異なる市場にひとつの会社で対応することに無理があるとも言えます。

日本ベンダーがコンシューマーと企業コンピューティングの両方を押さえていることで、相乗効果が出ているかというと今のところはちょっと微妙でしょう(ソニーのCellビジネスがをどうなっていくかというのは要注目ですが)。
もし、HPがコンシューマー事業をスピンオフすることになれば、コンシューマーと企業コンピューティングの垂直統合はあまりメリットがないということの証明になってしまうのではと思っています。

このあたりも含めてコンシューマー分野の動向チェックは続けていますので、いつかまとめて書ける時が来るとは思います。

話は全然変わりますが、中村正三郎さんのページによると、
>昨夜の報道ステーションで、フジテレビの日枝会長が、「株でなんでもコントロールできるという考え方はおかしい」なんていってました
ということです。私はこの番組見てないですけど、何かずいぶんな発言だと思いました。そう思うなら株式なんて上場しなければよいですし、株式会社をやめて合資会社にでもしてしまえばよいのです。
たとえて言えば、グローブをつけてボクシングのリングに上がってきて「殴り合いは良くない」と言ってる様なものだと思います。
この危機管理意識の欠如かげんはジャストシステムと似たようなものを感じてしまいます。
(何か反感買いそうな書き方ですが、自分はジャストを揶揄しているのではないですよ。日本有数のオリジナルなイノベーションを成し遂げている企業なのだから、もっと危機意識を持って知財戦略もしっかりして下さいよと言っているのです。)

投稿者 kurikiyo : 22:17 | コメント (0)

2005年02月14日

【雑談】Carly Fiorina解任の件

ちょっと本業が忙しいので、今日・明日は雑談モードです(こいういう時はタイトルに【雑談】と入れることにしました)。

Carly Fiorinaの退任は事実上の解任だったようですね。

Technology Review誌の記事では、「Carlyの退任が発表された時、みんなは喜びに踊った(たとえではなく本当に踊った)」と書かれています。
まあ、彼女のやり方は古き良き"HP Way"とは相容れないのは確かでしょうし、改革を推進するリーダーがみんなから好かれないのは当たり前なんですが(IBMのGersnterも最初は評判悪かったはずです)、こんなに嫌われていたのかというのが正直なところです。
たとえば、"HP Way"を破ってレイオフしたこと等が批判されてますが、古き良き"HP Way"を固守していたら、会社全体が存亡の危機に立たされていたでしょうし。
やはり、Technology Review誌=エンジニアの味方ということで、エンジニア出身でもなく、トップダウンで支配を進めるFoiorina女史はどうしても悪者にされてしまうということでしょうかね。

もうひとつの興味深い記事。
New York Timesの記事です(閲覧には無料の登録が必要。1週間以上前の過去記事閲覧は有料。この記事は2月11日付け、読みたい人は急げ!)。
HPがXeroxやKodakの買収を検討していたという内容です。

ご存知の方も多いと思いますが、HPは利益のほとんどをプリンタビジネス(より正確には、インクカートリッジ販売ビジネス)から得ています。
前にも書いたと思いますが、消耗品ビジネスは利益率高いですし、継続的な収益が期待できるので非常においしいビジネスです。
このビジネスを拡大していくためには買収が手っ取り早いということです。
Fiorina女史がコンシューマビジネスに入れ込んでいたのも、プリンタビジネスへの波及効果を狙ってのものでしょう。

Fiorina女史の退任によって戦略は変わることはないというのがHPの公式見解です。
確かに、エンタープライズ事業(サーバ、ストレージ、サービス)についてはそうだと思っていますが、PCとイメージング事業についてはちょっと微妙だろうと思っています。
買収による拡大を目指す可能性もありますし、逆に分社化してしまう可能性もあると思ってます。
証券アナリストの中には、分社化すべきという声も大きいようです(Compaqの時はあんなに合併した方が良いと言っていたのに)。

どう転んでも、日本HPは、エンタープライズビジネスが中心ですから、日本のユーザーにとっては、それほど大きい影響はないのではと思っています。

投稿者 kurikiyo : 23:28 | コメント (0)

2005年02月13日

Sunのオープンソース戦略とコミュニティ

ジャスト-松下事件やblog画面設計の変更等々で、全然触れる時間がなかったSunのSolarisオープンソース化のお話です(やや賞味期限切れかもしれませんが)。

SunがSolarisのオープンソース化に踏み切った理由は明らかで、開発者のマインドシェアがLinuxおよびその関連オープンソースコミュニティへと移っていくのを防ぐということでしょう。
遅きに逸したとは言えますが、今からでもやらないよりはましとは言えます。

"Developers don't buy things. They join things"とはSun社長のJonathan Schwartz氏の言葉。
ちょっと日本語に訳しにくいですが、意を汲むと「どんなに良いツール製品を作っても開発者はあまり喜ばない、本当に大切なのは適切なコミュニティを作ってあげることだ。」ということでしょう。
そして、優秀な開発者コミュニティの存在こそがソフトウェア製品の成功の最大推進要素であり、開発者コミュニティの支持を失ったソフトウェアは(どんなにテクノロジー的には優れていても)市場で成功することが困難になることは歴史が証明しています。

Solarisのオープン化はSunの重要無形資産である開発者コミュニティの維持のためには必須であったと言えるでしょう。(社外のコミュニティが会社の「資産」というのもおかしいですが、「資産」をキャッシュを生み出す潜在力を持っているものと定義すれば、まさに開発者コミュニティこそが資産といえるでしょう。)
ただ、難しい点は、コミュニティの構築というのは時間を要するものだということです。
Linuxの開発者コミュニティも一朝一夕で作られたわけではありません。
また、あるソフトウェアを中心としたコミュニティがいったんできてしまうとそれを崩すことはきわめて難しくなります。
Solarisをオープン化したからと言って、Linuxコミュニティに流れた開発者が直ちに戻ってくるかというと難しいでしょう。
ここで、Sunの1600件以上の特許公開という戦略が生きてくるわけです。

この後、数日にわけて、Sunのこの新戦略について考えていきたいと思います。
結構議論を呼ぶ話になるかもしれませんので、積極的なコメント、トラックバックお願いします。

投稿者 kurikiyo : 21:52 | コメント (0)

2005年02月12日

【緊急穴埋め企画】Sunを支えるCTO軍団

今週末は、blogのレイアウト変更のためのCSSの勉強で忙しく記事を書いている時間がありませんので、急遽穴埋め用のエントリーです。

SunのアナリストイベントにおけるCTOパネルディスカッションの模様。

RIMG0036.JPG

右端がGreg Papadoupolos氏で、その他は分野別のCTOの方々です。
ちょっと写真がピンボケで申し訳ないですが、なんと言うかみな独特の匂いを持った男たちの集団です。
暗号化アルゴリズムの話を肴に朝まで盛り上がって酒飲んでそうな人たちです(あくまで想像)。
#客席のアナリストからは「Sunにはカルチャーミックスというものはないのか?」と突込みが入っていました(もちろん全員似た雰囲気なのをからかった冗談、Gregは「ギリシャ人もいるし、インド人もいるから十分カルチャーミックスはあるよ」と言ってました)。

Sunの会社としての業績は決して芳しいものではありませんが、R&D投資はあまり削ってません。
Sunが如何にR&Dイノベーション指向の会社であるかという証拠です。
こういう良い意味でのテクノロジーおたく精神こそがSunという会社の原動力なんだと思います。

投稿者 kurikiyo : 15:01 | コメント (0)

【業務連絡】外観工事進行中

見よう見まねでテンプレートをいじってみました。
本番環境を直接いじったので途中でアクセスされた方、見苦しくてすみませんでした。

本当はテキスト部分を、フローティング・テキスト(ウィンドウの幅を狭めると自動的に改行位置を調節してくれる)にしたかったのですが、うまくいきません。

まあこれでも前よりは見やすくなったと思います(苦笑)。
また連休中に微調整してみる予定です。

追加情報(05-02-12)
とりあえず、基本レイアウトと配色はこんな感じで行こうと思います。
テキスト部分の幅の自動調整について、ある方からメールでご指導いただきましたが、まだできてません。
今日・明日中に何とかしたいと思ってます(自分的には結構楽しんでやってます)。
ついでにコメントの事前承認をやめましたので、コメントは即反映されることになります。

追加情報(05-02-12 21:23)
念願のリキッドデザイン化、一応完了しました。
フォントサイズも相対指定したので、ブラウザの「文字サイズ」指定に応じて文字の大きさが変わります。(アクセシビリティの点からもよろしいのではないかと)。
IE6でしかテストしていないので、表示に問題がある方はご連絡ください。
では、明日からコンテンツ作成の方に励みたく思います。^_^;

投稿者 kurikiyo : 00:19 | コメント (0)

2005年02月11日

Sun CTOのblog始まる

以前、SunのPresident/COOのJonathan Schwartz氏のblogについて紹介しました。

もちろん、Sunに都合の悪いことは書いてないのですが、Sunという会社を離れた読み物としてみても、いろいろと興味深い考察がなされています。

本当は日本サンで翻訳してくれるとよいのですが、ちょっとボリューム的に厳しいでしょうね。
特に興味深いトピックが書かれた時は、できるだけこのサイトでも概要を紹介していこうと思います。

さらにもうひとつ、Sunのエグゼクティブが書いた興味深いblogが、CTOのGreg Papadopoulosのblog
Papadopoulos氏はSunのR&D戦略を全面的に仕切っている重要人物です。
彼のオピニオンもSunという会社の戦略うんぬん以上に価値のあるものだと思います。
まだ始まったばかりでエントリーは少ないですが、こちらもできるだけ紹介していく予定です。

最新のエントリーでは、CDDLとGPLの問題について書いてますが、ちょっと大ネタなので、私もしばらく考えてまとまってからここに書こうかと思っています。

#ところで、Papadoupolos氏のblogデザインすっきりしてていい感じです。
#文章中心のサイトだと、これくらい字が大きいほうが見やすいかも。
#このサイトでパクってみようかな^_^;

投稿者 kurikiyo : 20:17 | コメント (0)

2005年02月09日

ジャスト対松下:総括にはまだ早いけれど

なんかここんところ、ジャスト-松下の話ばっかり書いてますね。>自分

この件については、ちょっとネタも尽きてきたので、また調査・勉強して少し時間をおいた後に書こうと思います。

いずれにせよ、以前のエントリーにも書いたように、これ以降もオープンソースがらみ、マイクロソフトがらみでいろいろと知財関係のごたごたは続くと思います。

#そういえば、2005年の重要トレンド(5)として「知財がらみの係争多発」と書くつもりだったのですが、
#ちょうどそのタイミングでこの事件が勃発してしまったので、後付けで予測するように見えるのも何なので書くのをやめてしまったのでした。

今後起こる知財関係のごたごたの多くは産業全体の発展とは無縁なものとなるでしょう。
明らかに、機械や電気関係の発明を保護するために長年発展してきた特許の仕組みでソフトウェア(さらには、ビジネスモデル)を保護することに無理が出てきたということだと思います。

ちょっと前のエントリーにトラックバックをいただいた江島健太郎さんのblogでは、

>「ソフトウェア特許に肯定的な技術者に優秀なやつは一人もいない」
>「ソフトウェア特許は産業発展にとって百害あって一利なし」

とまで書かれています。

こういう考え方を取る方がいるのは理解できるのですが、やはりソフトウェアを使った新しいアイデアを創造したした人を何らかの形で保護する仕組みは必要だと思います。

そうでなければ、せっかく斬新なアイデアでベンチャー企業を立ち上げて、成功させてもすぐ大手企業に真似されてつぶされるという事態になってしまいます。
ソフトウェアが特許で保護されていることで、創造性さえあれば資金が少ない小企業がIBMやマイクロソフトと同じ土俵で勝負することができるシステムができているわけです。

私は、ソフトウェアを特許法で保護すること自体が問題というよりも、その運用が問題であると考えています。

今までのエントリーでも書いてますが、以下のようにするだけでも全然違うのではないかと思います。

1.進歩性の敷居を高くする
(特に、ユーザーインターフェースのように共通化することでより大きな価値が生まれるものは相当革新的なアイデアでなければ特許しない)

2.特許権を完全な独占排他権とするのではなく、必要に応じて特許を強制的に適切な料金でライセンスさせる仕組みを作る
(実は、これは現行特許法でも規定されている制度ですがほとんど活用されていないらしいです。)

3.ITの世界のスピードに合わせて保護期間を10年くらいにする
(これは、重要だと思いますが、現実的には条約の縛りがあるので難しいでしょうね)

4.特許権を悪用する企業に対して独占禁止法により特許権を剥奪する
(これも、規定はあるのですが活用されていないようです。)

いずれにせよ、ソフトウェア特許に対して反対する場合には、
 1.ソフトウェア特許という概念そのものがまずい
 2.ソフトウェア特許を現行の特許法で扱うことがまずい
 3.現行の特許法によるソフトウェア特許の運用がまずい
のいずれの立場なのかを明確にすることが必要でしょう。
(江島さんは1.、私は2.と3.の間くらいの立場でしょうか?)

#追加(05-02-10)
 4.現行のソフトウェア特許の運用は全体的にはまあOKだけど、この松下特許が無効にならないのはおかしい
という立場の方もいるかもしれませんね。

投稿者 kurikiyo : 22:19 | コメント (6)

Google ルイヴィトンにも商標権訴訟で敗れる

参考記事

以前に書いたメリディアンホテルとの係争と同じパターンです。

#そのエントリーで、広告における商標の使用の例として、ルイヴィトンを例に挙げましたが、別にこのケースを意識していたわけではなく全くの偶然です。

確定判決ではないですが、同様の判決が続くとgoogle的には厳しいでしょうね。


投稿者 kurikiyo : 00:10 | コメント (0)

2005年02月08日

ジャストシステム控訴

ジャストシステムが松下訴訟の件で高裁に控訴しました(参考記事)。当然の動きではあるわけですが、ちょっと気になった浮川ジャスト社長の話。

>スペースキーによる漢字変換が同社(ジャストシステム)の発明である

というところ、ためしに特許電子図書館で調べてみると、ジャストが所有する特許は44件、出願して公開されただけのものも含めると400件以上もあります。

そのどれが、浮川社長の言う「スペースキーによる漢字変換」にあたるのかは調べている時間がない(発明の名称を見ただけはすぐにはわからないので)のですが、ひとつ言えることはジャストシステムも松下電器と同じゲームをしているということでしょう。

「ボタンに絵が描いてあるかないか特許を侵害したり、しなかったりはおかしい」と言うのであれば、「変換キーで変換するか、スペースキーで変換するかで特許を侵害したり、しなかったりはおかしい」という言い分も成り立ちます。

金を右から左に動かしただけで、何百億円ももうかったりするのはおかしいと思っても、そういうマネーゲームで世の中は動いているわけで、これを無視しては企業を運営していくことはできない同じように、こういう特許ゲームも無視してはやっていけないということでしょう。

##以下追加
コメントにも書かれたように、「スペースキーによる漢字変換はジャストの発明」とは書いてますが、特許発明とは書いてないですね。
だいぶ前のエントリーで、「発明/出願/特許を区別しろ」と自分で書いていたのにうっかりしてました。<(_ _)>

とは言え、ジャストが所有する特許の中身を見ると、かな漢字変換の候補の並べ方等、ユーザーインターフェース上の工夫で特許を取得しているのは確かです。
なので、松下もジャストも同じゲームをしているという本エントリーの趣旨には大きく変わりはないと思っています。

投稿者 kurikiyo : 20:23 | コメント (2)

松下の不買運動をする前に

本当にジャストシステムを助けたいならやるべきなのは以下の2点。

1.先のエントリーにも書きましたが、
 松下特許と同じ挙動のソフトのマニュアル等の文書で1988年10月1日以前に発行された証拠があるものを探す。海外のものでもOKです。
意外と発行日付の証明が困難なことがあるようです(先に触れた、カシオ-ソーテック事件ではマニュアルの発行日付が争点になりました)。
いかにもMacのアプリケーションソフトにありそうな気がするのですが。

2.1988年当時でも、アイコンのクリックとキー入力を置き換えて使うのは当たり前であったということを示す文書を探す。
(1.よりは弱い証拠です。ある程度数が揃わないと「当たり前」だったということを証明するのは難しいかも)。
これも日付の証明が必要です。

投稿者 kurikiyo : 00:00 | コメント (1)

2005年02月07日

遅ればせながらジャスト-松下の判決を分析

出張から帰って来てちょっと時間もできたので、遅ればせながらジャスト-松下事件の判決文をチェックしてみました。

判決文はここにあります。

#法律関係の文章を読むのは慣れないと非常につらいですが、IT専門外の人が、IT系の文書を読むのもこんな感じなんでしょうね。

特許侵害訴訟の被告が取るべき措置というのは大きく2つあって、否認と抗弁と言うものです。
否認と言うのは「特許は侵害してませんよー」と主張することであり、抗弁と言うのは「侵害してるかもしれませんけど合法ですよー」というものです。

特に重要な抗弁のタイプが「そもそもそんな特許は無効なので、それに基づいて訴訟すること自体が間違ってるよー」という権利濫用の抗弁と言うものです。
(普通、特許性がない特許に対しては、無効審判と言うものを特許庁に請求して無効にしてもらうのですが、あえてそうしなくても裁判の中で無効を主張することも認められています。)

で、今回の判決の内容をものすごく簡単にまとめると...

1.ジャストの主張(否認)
 松下の特許の請求項に「アイコン」て書いてあるけど、「アイコン」とは画面上で動かせるものを言うので、問題になっている一太郎のヘルプボタンは「アイコン」じゃないから、松下特許の侵害ではないよ。
1.に対する松下の主張
画面上で動かせないものも「アイコン」と呼ぶよ(証拠文書もあるよ)。

2.ジャストの主張(否認)
 問題になっているヘルプの機能はWindowsの機能だから、悪いのはWindowsで一太郎じゃないよ。
2.に対する松下の主張
 Windowsのその機能を意識的に呼び出しているのは一太郎だから、やっぱり悪いのは一太郎だよ。

3.ジャストの主張(権利濫用の抗弁)
 ヘルプキーの後に押したキーの機能を表示する方法は松下の出願前からあったよ(証拠もあるよ)。
それから、当時のJSTARのマニュアルを見ると画面上の仮想キーボードで任意のキーをマウスで入力で
きるようになっていることがわかるから、キー入力とアイコンクリックは同等というのは当時の常識。
松下特許は常識的アイデアの組み合わせだから、そもそも特許に値しないよ。
3.に対する松下の主張
 JSTARの仮想キーボードはあくまでも物理的なキーボードをそのまんま画面上に表示したもので、「アイコン」とは違う概念だよ。
だから、うちの特許とは関係ないよ。

裁判所の判断
1.について
 証拠文献を調べても「画面上で動かせるものだけをアイコンと呼ぶ」とは誰も言ってないから、松下の勝ち。

2.について
 ジャストは何言ってるかわからないよ。松下の勝ち

3.について
 証拠物件だけでは、キー入力とアイコンのクリックに相互置換性があるとは言えないので、松下の特許は無効とは言えないよ。

やはり、3.がかなり微妙な判断の気がします。裁判長がMacに詳しければ、キー入力とアイコンクリックの置き換えは(1988年当時でも)誰でも思いつくアイデアだと認定してくれて、松下の特許は特許性なしと判断してくれたかもしれません。

これだけ見る限り、ちょっとジャスト側が不利な気がしますね(正しいか正しくないかではなく、理屈合戦で負けている感じ)。

画面上のヘルプアイコンをクリックすると、次に押したアイコンのヘルプ情報を表示すると言うそのものずばりの挙動のソフトのマニュアルで1988年10月31日以前に発行のものを探し出せれば、何の問題もなくジャストの勝ちなんですが。

投稿者 kurikiyo : 13:34 | コメント (0)

2005年02月04日

※未承諾広告(笑) ガートナーBIイベントのお知らせ

毎年恒例となりつつあるガートナージャパンのビジネス・インテリジェンス・
サミットのお知らせです。
今年は2月15日・16日、場所は品川の東京コンファレンスセンターです。

私は、データ品質の問題などについて話します。現場では重大問題
でありつつ、なかなか上層部の理解が得られない課題だと思っています。
プロジェクト予算獲得の際の理論武装にいかがでしょうか?

2日目のユーザー事例講演(千趣会様、パイオニア様)もおもしろいです。
私が実際に両名の講演を聞いて、これはためになるということで
お願いしたものです。

投稿者 kurikiyo : 14:46 | コメント (0)

ジャストシステムさんしっかりして下さいよ

松下訴訟に関するジャストシステム側の記者会見の記事ですが、
正直、「ジャストシステムさん、もう少し勉強してくださいよ」と思いました。

以下、記事から引用したジャストの法務担当理事の発言と
それに対する私のコメントです。

>「今回の判決が通るのであれば、Windowsの機能自体が松下電器
>の特許に抵触していることになり、全世界で利用しているWindows
>に問題がおよぶことになる」

以前のエントリーにも書きましたけど、これは全然抗弁になってません。
松下の特許がきわめて強力(な可能性がある)と言っているだけです。

>「昨年後半に、別のソフトだが同じ機能を巡った裁判で、松下電器に
>勝訴しており、松下電器は控訴していない。その時とヘルプの表示
>で異なるのは、ヘルプを示す記号に、マウスのイラストを加えた点だけ。
>なぜそれだけで特許権侵害になるのか分からない」

確かに技術者の常識としてはおかしいかもしれませんが、そう裁判所が
認定したおかげで昨年の訴訟ではジャスト勝訴の確定判決が出たわけ
ですから、それを蒸し返すのはまずいと思います(先の訴訟では自分を
救ってくれた判断を、今度はそれはおかしいと主張しているわけなので)。

>「松下電器の特許は、ワープロ専用機に対して出願したもの。パソコン用
>ソフトに、専用機の特許が適用されるのは認められない」

これは技術者の発想であって法律的な発想ではないですね。松下特許の
請求項に構成要素としてワープロ専用機という要素が入ってなければ、
ワープロ専用機であるかパソコンソフトであるかは特許権の効力には
関係ありません。

ということで、(少なくとも記事から判断する限り)ジャスト側の主張は
特許係争においては全く的外れと言えます。
ジャストが主張すべきことは「松下の特許は出願時点(1988年)当時の
技術者であればすぐ思いついたことなので特許性がない」ということです。
要するに進歩性を否定するということですね。

#初代Macのデビューが1984年ですから、進歩性否定できそうな気は
#するんですけどね。このころはWebがなかったので、証拠探しは
#非常に大変でしょうけど。

正直言って、大変失礼ですが、ジャストシステムはソフトウェア特許に強い
弁護士さんと弁理士を雇うべきだと思いました。

何なら私がお手伝いしてもよいですが、というのは半分冗談として、
ちょっと前のカシオ-ソーテック事件で、
「コマンドで複数のウィンドウを整列させる」というカシオの特許を、
Mac用の大昔のワープロソフトのMacWorldで配布されたマニュアルを探してきて
つぶした弁護士・弁理士さんにお願いしてはどうでしょうかと思ったりします
(この事件について昔書いたコラムです)。

投稿者 kurikiyo : 04:56 | コメント (4)

2005年02月03日

一太郎問題の続き(松下は汚いのか?)

やはり、松下-ジャスト事件はかなりの波紋を引き起こしたようですね。

ネット世論を総合すると、
「こんなくだらないアイデアが特許になるのはおかしい」
「ボタンに絵を描くか描かないかで特許侵害したりしなかったりはおかしい」
「松下は競合でもない会社を訴えて汚い(→不買運動だ)」
という意見がほとんどだと思います。

私はと言うと、
先のエントリーで「コメントしにくい...」とほぼ無意識に書いてしまったように、
ちょっとコメントしづらい立場ですね。
IT業界アナリストの立場として見るか、弁理士としての立場で見るかによって
意見が異なってしまうからです。

IT業界アナリストとして言えば、確かに、こんなへ理屈合戦が産業の発展に寄与する
とは思えない、ユーザーインターフェースは相当革新的でない限り特許にすべきでない
と思うのはこの前も書いたとおりです。

一方、弁理士として(正確に言うと私は弁理士登録はしてないので弁理士試験
合格者として)言うと、松下としては、せっかくCUIからGUIというテクノロジーの
変革期にうまく強力な特許を取れたのですから、どんどん武器としてして使って
いくのは当たり前です。
普通は交渉してライセンス料取ることになりますが、最後の手段として侵害訴訟
にもっていくのも当然の特許戦略です。

一方のジャストについて言えば、去年の関連する判決において文字だけなら
アイコンじゃない、絵が入るとアイコン、という裁判所の判断が出されたのですから、
どんなにおかしいと思ってもそれを尊重すべきです。あえて絵を入れたというのは
特許と言うものを甘く見ていたとしか思いません。このあたりは機器メーカーであれ
ば、めちゃくちゃ気を使うところでしょう。

#また、記者会見で「こんな特許が認められたらWindows上のアプリは全部侵害に
#なってしまう」という発言をしたようですが、これは全然防御になってないですね。
#松下の特許が如何に強力であるかを認めているようなものです。

弁理士モードでの私の意見をまとめると、日本のソフトウェアベンダーも機器メーカー
並に、特許権による攻撃と防御と言うものをもっと考えるべきということです。

「松下は競合他社でもない相手を訴えて汚い」などと甘い考え方をしていては、
これから先、特許侵害訴訟をすることだけを生業にしているような特許ゴロ企業に
いいようにやられてしまうでしょう。

これが正しい姿かと言う議論は当然あります。
しかし、たとえば、サッカーでオフサイドを取られた選手が、
「そもそも、オフサイドと言うルールはおかしい」と文句を言っても始まりません。
オフサイドと言うルールがあることを前提に戦略を立ててプレーをするのが当然
です。

あるべき姿は何なのかという議論と、現状で何をすべきなのかと言う議論は
分けて考えた方がよいと思うわけです。

投稿者 kurikiyo : 15:14 | コメント (1)

2005年02月02日

Sunの発表の中心はユーティリティサービス

本日、サンタクララのSun本社にてプレス向けの発表会があったわけ
ですが、なんとその中身はグリッドを含むユーティリティコンピューティング
サービスの発表でした(OpenSolarisの話しは全くなしです)。
内容は、ほぼこの記事で網羅されてます。

方向性としては正しいと思いますが、結構課題はあります。

たとえば、1ギガバイト当たり毎月1ドルと言うプライシングのディスク
容量の提供ですが、外部のサービスプロバイダーが提供するディスクを
使うと言うアイデアは、SSP(ストレージサービスプロバイダー)という
呼び名で数年前にも話題になりました。実際には、あまりSSPは普及しま
せんでした。大きな理由はセキュリティだったといわれています。本当に
重要なデータはさすがに社外で管理はさせないというのが大手企業の
考え方というのは日米変わらなかったようです。

また、サービスにしても、今のところは、ほぼ科学技術計算向けオンリー
のソリューションですから市場としては限定的でしょう。

COOのJonathan Schwartz氏は、自分のセッションで
「グリッドは科学技術計算ソリューション」ということを明言してました。
他の多くのベンダーは、あたかもグリッドが今あらゆるコンピューティング
ソリューションに適用可能であるかのように言ったりするんですけどね。
正直な人です。

#Jonathan Schwartz氏のblog、たまに読んでますがなかなか面白いです。
#コメントもトラックバックもできないので、これをblogと呼ぶべきかという
#議論はありますが。

方向性は正しいのですが、これらの戦略がSunの業績にどの程度貢献するか
は何とも言えないところです(こういう話については、証券アナリストの人の方が
敏感ですから、すぐに株価に反映されるでしょう)。

投稿者 kurikiyo : 10:54 | コメント (0)

ユーザーインターフェースを特許にしちゃっていいの?

先に書いた、松下特許の件ですが、やはり請求項で松下側が「アイコン」
という言葉を使っていたので、文字しか書いてないボタンでヘルプ機能を
表示するときは侵害しない(これが去年のケース)、ボタンに絵が描いてあると
アイコンとみなされ、侵害する(これが今年のケース)というロジックのようです。

#注:請求項=特許出願で権利の範囲を規定する部分

ですから、ジャスト側としては、画面のデザインを変更して、ヘルプボタン
から絵を除外し、「ヘルプ」とか「?」とかの文字だけにすれば、松下特許
の侵害を回避できることになります。(もちろん、これだけだと過去の侵害
行為に対して損害賠償を請求され得ますから、松下特許の有効性については
依然として裁判で争う必要はあります)。

しかし、ボタンに絵がなければOK、絵を描くとNGというのも何かひどい話です。
特許法の第1条には、「この法律は...産業の発達に寄与することを目的とする」
と書いてありますが、こんなへ理屈合戦が産業の発達に寄与するとは到底
思えません。

私個人のポジションとしては、ソフトウェアに関する知的財産権は何らかの形で
保護しなければいけないと思ってますし、であれば、特許法で保護するのが
一応の最善策ではないかと思っているのですが、現行のソフトウェア特許に
関する運用はどう見ても適切とは思えないのですね。

#仮に、松下側が請求項で「アイコン」という言葉を不用意に使わないで、
#「絵又は文字を記した画面上のボタン」とでも言っていれば、もっと大変な
#ことになっていたでしょう。

そもそも、今回の件のように、ユーザーインターフェースに特許を与えるべきかと
いう疑問がわきます。

ユーザーインタフェースを複数のプログラムで共通化することによって、ユーザーは
どのプログラムも同じように操作できるようになり生産性があがります。
ところが他者の特許を回避するために、各メーカーがちょっとづつ違うユーザー
インターフェースを実装したとすると、迷惑を受けるのはユーザーですね。
これが産業の発達に寄与するとは思えません。

ユーザーインターフェースに限らず、外界とのインターフェースにあたる部分の特許
については進歩性の敷居を高くした(よほど革新的でなければ特許しない)方が
良いのではと思います。
一方、プログラム内部の実装については、各メーカーが競うべきところですから、
どんどん特許化を推進すればよいのです。

このへんのお話しは、たぶんマッキントッシュのごみ箱アイコンに著作権があるか
等々、10年以上前から議論されてると思うのですが、今こそ、また真剣に議論
すべき問題であると思います。

#ところで、私は、松下のやり方を非難しているのではないですよ。彼らの行為は
#法律に基づいた営利追求行為ですから。私が問題にしてるのは、政府(日本
#さらには米国)の知財政策についてです。

投稿者 kurikiyo : 04:08 | コメント (0)

2005年02月01日

コメントしにくい一太郎特許問題

「ジャスト『一太郎』の販売中止を命じる 松下アイコン訴訟で判決」という
ちょっと衝撃のニュース

地裁判決ですし、仮処分も出てないですし、ジャストは確実に控訴する
でしょうから、今すぐに一太郎や花子が販売停止や回収になることはない
でしょうがこれらの製品のユーザーにとっては気が気ではないでしょう。

この訴訟の元になった松下電器の特許は簡単に言うと、
「ヘルプアイコンを押した直後に別のアイコンを押すと、(そのアイコンの
機能が実行されるのではなく)そのアイコンのヘルプ情報が表示される」
と言うもの。要するに、WordやPowerpointにある?アイコンの機能ですね。

#と思って、今、Word 2003の画面を確認すると?アイコンがない?!
#ひょっとしてこの特許に抵触するということで、削除されたのでしょうか?

この特許には、去年実はもう1つの訴訟があって、「ジャストホーム2
家計簿パック」というソフトに関するもの(被告はジャストではなく、この
ソフトをプリインストールしていたソーテック)。この時は?は、図形では
なく文字なのでアイコンではないというかなり強引な理屈で松下側が
敗訴しました。

その後、松下はジャスト側に(おそらくは、一太郎と花子についての)
ライセンス交渉をしていたが決裂したので、再度訴えて勝訴したという
ことのようです。おそらく「文字だからアイコンではない」という理屈が
通用しない画面設計だったんでしょうね(一太郎も花子もここ10年以上
触ったことがないので確信は持てませんが)。

法律論はさておき、かなり納得がいかない人が多いのではないでしょうか?

松下特許の有効性ですが、1989年の出願なので微妙なところですね。
Windows 3.1の出荷開始が1992年なので、1989年当時、自明であったと
までは言えないでしょう。

ジャストについて言えば、ちょっと脇が甘かったのではという気がします。
和解するなり、画面のデザインちょっと変えるなりで対応できたと思うのですが。
やはり、2004年度特許成立件数世界第2位の松下電器知財部とまっこうから
戦うのはちょっと無謀だったのではないでしょうか?

#今回の内容、限られた情報と時間で書きましたので、事実誤認があるかも
#しれません。後になって修正する可能性もあることをお断りしておきます。

投稿者 kurikiyo : 18:06 | コメント (0)

Sunの特許問題続報

前回、えらそうなことを書きましたが、そこで書いた問題点は
news.comの記事でほぼまとめられていますね
(cnet日本語版での翻訳は、このエントリー執筆時点でまだのようです)。

要は、Sunは「特許権を行使してLinuxコミュニティを訴えることはしない」
と口では言いつつ、文書ではそのあたりの法的ポジションが明確に
されていないということです。

Sunがちょっとずるいと思えるのは、
特許を「オープン・ソース・コミュニティに公開する」という言い回しで、
普通はオープン・ソース・コミュニティ≒Linuxコミュニティと思ってしまいそう
ですが、この分脈では、オープンソース・コミュニティ=CDDLで公開された
オープンソースのコミュニティ≒OpenSolarisのコミュニティという意味で
使っている点ではないでしょうか?

明後日の記者会見は私が質問しなくても他の記者からの質問が殺到する
ことでしょう。

投稿者 kurikiyo : 11:23 | コメント (0)

SunとIBM:気前がいいのはどっち?

ちょっと前の話になりますが、
サンがようやくSolaris OSをオープンソース化すると共に、1600件以上の
特許をオープンソースコミュニティに寄贈しました(参考記事)。
オープンソース化の話しは既にいろんなところで議論されてますので、
ここで、特許の寄贈の方の話を。

プレスリリースでは直接的には言っていないですが、IBMが同様に500件の
特許を寄贈していることから「SunはIBMよりオープンソースコミュニティを
重視してますよー」とでも言いたげな感じです。

しかし、どうやら、IBMの特許寄贈の話しと今回の話は同列に考えること
はできなさそうです。

IBMが寄贈した特許がLinuxを初めとする多くのオープンソースソフトウェア
(OSS)で利用可能であるのに対して、Sunの場合にはCDDL(Common
Development & Distribution License)で公開されたOSS、要するに
実質的にはOpenSolarisの環境でしか利用できないのではという疑念が
あるのです(既にSlashdot.jpでは議論されてますね)。

このあたり、いつもクリアなメッセージを発信するSunにしては珍しく、
プレスリリースの記述はかなりあいまいになっています。

おそらく、2~3日中にこの点に関する明確な情報をこの場所で書けるかと
思います。

それは、私が今サン本社に取材に来てるからです。さすがに業務上の
秘密に関することは書けないですが、プレスの人向けの話であれば、
(注:一部のセッションはプレスと共同)ここに書いてしまうつもりです。

投稿者 kurikiyo : 04:37 | コメント (0)